第253話「アリスルート15」
ネコクロ新作ラブコメ、『お互いの秘密を知ってからクール美少女が仔犬のように付きまとってくるようになった件について ~アマチュア作家の僕とエッチなイラストレーターである彼女の秘密の関係~』を公開致しました!
今回は新たに挑戦した作品になりますので、是非とも読んで頂けますと幸いです!
作品にはあとがきの下にある作品名をクリックして頂けますと飛べますので、よろしくお願いします!
「ア、アリスさん、どうして……?」
「カイは人の顔を見てニヤニヤするから、こうした」
「なんだか俺が凄く酷い奴みたいな言い方ですね……」
「うるさい」
怒られた。
さすがにちょっと理不尽じゃないかと思うけど、アリスさんの顔が真っ赤なため照れ隠しなんだとわかる。
だから何も言わず――かわいい彼女に我慢できず、ギュッと抱きしめてみた。
「~~~~~っ!」
すると、アリスさんが声にならない声を出す。
彼女のこんな声初めて聞いた気がする。
そして俺は自分がやらかした事に気が付いた。
「す、すみません……!」
自分がやっては駄目な事をしたと気が付いた俺は慌ててアリスさんの体から手を放そうとする。
しかし――。
アリスさんの手がそれを拒んだ。
「ア、アリスさん……?」
「いい、このままで」
まさかの許しが下りた。
いや、うん、本当にいいのか?
服越しとはいえアリスさんの柔らかい感触が腕から伝わってくるし、天然で綺麗な金色をした髪からは花のようにとてもいい匂いがする。
アリスさんは香水をつけるような人ではないからシャンプーの匂いだろうか?
本当にいい匂いだと思う。
「変態……」
「あっ、いや、違います」
アリスさんの匂いを嗅いでいると、とても物言いたげな目を向けられた。
いわゆるジト目である。
「こういう事をよく甘えん坊にしてるの?」
「いや、別に……」
「だったら、どうして半ば無意識に抱きしめてくるの? 癖付いてるからじゃない?」
あぁ、この目は完全に疑われている。
確かに咲姫とくっつく事はよくあるし、求められれば抱きしめる事もあるけど……別に、癖付くほどはしていない。
「そもそも付き合ってないのに抱きしめてる事自体がおかしい」
「はい、おっしゃる通りで……」
ぐうの音も出なかった。
咲姫が甘えてくるとどうしても甘やかしたくなるのだけど、だからといって線引きをしなくていいわけではない。
付き合ってもないのに抱きしめるという事は線引きが出来ていない証拠だった。
「えっと、放しましょうか?」
「それはさっきいいと言った」
アリスさんにしている事も同じ事なためまた放そうとすると、先程と同じようにアリスさんに手を押さえられてしまった。
暗に放すなと言われている。
あの、アリスさん……言ってる事とやってる事が違うんじゃないでしょうか?