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第244話「アリスルート6」

 お金持ちの帰宅といえば、メイドさんや執事の大袈裟なお出迎えが有名だろう。

 そして派手好きなアリアや平等院社長の家だ。

 絶対たくさんのメイドさんが出迎えてくれる――という俺の期待は、あっさりと裏切られてしまった。


「メイドさんのお出迎え、ないのか……」

「えっ、何? なんでカイは急に落ち込んでるの?」


 大量のメイドさんのお出迎えを密かに楽しみにしており、それを裏切られた事で落ち込んでいると、隣を歩くアリアが心配するような視線を向けてきた。

 車を降りてから急に態度を一変されれば怪訝な視線を向けられて当然だ。


「カイは……オタクだからね……。メイドのお出迎え……楽しみにしてたんだと……思う……」


 そして俺がどうして落ち込んでいるか理解しているアリスさんが、俺の代わりにアリアへと説明をしてくれる。

 この人は本当に察しが良すぎると思うけど、もう今更なため驚きはしない。


「あっ、そうなの……? ごめんなさいね、メイドや執事のお出迎えはうるさいってお姉ちゃんが嫌ってるから、お姉ちゃんがいる時はしない事になっているのよ」


 なるほど、確かにアリスさんはうるさいのが嫌いだ。

 大量のメイドさんたちに出迎えられるなどストレスでしかないだろう。

 今の口ぶりから察するに、アリア一人の時は大量のメイドさんがお出迎えをしてくれるという事か。

 今度機会があったらアリアと二人だけで訪れてみようか。


「アリスを……除け者にするつもりとは……いい度胸をしている……」

「――っ!?」


 大量のメイドさんのお出迎えを見れる事に希望を見出していると、アリアとは反対側の俺の隣を歩くアリスさんが細めた目で俺の顔を見上げてきた。

 見るからに不機嫌な事がわかる。

 言われた言葉も皮肉と取っていいだろう。

 自分の事はほっとけと言うタイプに見えるけど、除け者にされるのは許し難いらしい。

 まぁ誰だって除け者にされるのは嫌か。


 というか、相変わらず人の心を読むのはやめてほしいのだが。


「い、いやですね、アリスさんを除け者にするはずがないじゃないですか」

「そこの部屋……拷問部屋……なんだよね……」

「――っ!? なんでそんな部屋持ってるんですか! 嘘です、すみませんでした!」


 アリスさんがわざわざ言葉にした理由を早々に察した俺は、即座に頭を下げる。

 拷問部屋の事を口にしたのは、嘘をついて誤魔化すのなら拷問してでも白状させるという意味なのだ。

 拷問されてまで真実を話さないといけないような嘘などついていないのだが、この人の場合俺相手なら面白がってやりかねないため危ない。

 もちろん拷問とはいっても命に別状はなく、後遺症も残らないような内容だろうが。


 アリスさんの機嫌を損ねないよう頭を下げていると、俺の態度を見ていたアリアが呆れたように溜息をつく。


「嘘に決まってるでしょ」

「だ、だよな。さすがに拷問部屋なんて――」

「こんな屋敷に入ってすぐの場所にあるわけないじゃない。拷問部屋は屋敷の奥よ」

「存在自体はするのかよ!」


 てっきり拷問部屋があるという事が嘘だと思ったのに、どうやら部屋の位置が嘘だったらしい。


 駄目だ、平等院財閥はやはり危険すぎる。

 西条財閥だったら絶対そんな部屋はないのに。


「アリア……カイが……引いてる……」

「言い出したのお姉ちゃんなのに!? 私のせいにするの酷くない!?」


 俺がドン引きしていると、アリスさんに罪(?)をなすりつけられたアリアが心外そうに抗議をしていた。

 アリアがアリスさんにツッコむなんて珍しい気がする。


 ただ、それよりも気になるのは――その拷問部屋、実際に使われているのかどうかって事だ。

 とはいえ聞くのは勇気がいるし、正直聞きたくない。

 だからここはあえて使っていないという事で思い込む事にした。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] カイ「今度二人で訪れてみようか」 こんな台詞が出てくるほどに打ち解けたんだなぁ……うんうん^_^
[一言] 読み始めて一気読みしちゃいました。明日学校なのに、時間を忘れてこの時間まで読んじゃいました。これも全てこの作品が面白すぎるせいです。 どうしてくれるんですか!笑
[良い点] 拷問部屋には、拷問官も必要だね。 拷問は特殊な技術、技能がいるからなぁ。
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