第221話「お気に入りのキャラ」
漣十兵衛さんからとても素敵なレビューを頂きました(*´▽`*)
書いて頂きありがとうございます!
読者の皆さんも是非とも読みに行ってみてくださいヾ(≧▽≦)ノ
武道場で待っていた俺は平然とした表情をしているが、内心アリアの恰好に動揺を隠せなかった。
現在アリアが着ているのはコスプレ衣装なのだが、『ダンジョンで出会うために潜るのは間違っているだろうか?』という作品に出てくるアイル・バレンタインというキャラの衣装なのだ。
ご丁寧に髪まで下ろしているせいで一見本物のアイルに見えてしまう。
アリアはアリスさんの双子の妹だけあって、美少女と言って差し支えないほどに顔が整っている。
それに引き締まった体をしているし、スタイルは文句なしにいい。
身長が少々低い事が残念だが、後は強気な吊り目さえどうにかすれば本当にアイルになってしまうのではないだろうか?
というかアリアでこれだけ似合うなら、いつも気だるげな表情をしているアリスさんがこのコスプレ衣装を着ればまんまアイルになる気がする。
今度頼んでみたらあの人は着てくれないだろうか?
『ダンジョンで出会うために潜るのは間違っているだろうか?』に出てくるアイルが大好きな俺は、完成形に限りなく近いアイルを見たくなってアリスさんに淡い期待を抱いてしまう。
だけど視線を向けてみると珍しくも凄く冷たい目で返されてしまった。
どうやらアリスさんはコスプレをしてくれる気はないらしい。
まぁわかってはいたのだが、視線を向けただけで全てを理解するのはやめてほしいと思った。
「よそ見とは余裕ね、カイ」
アリスさんに視線を向けていると、目の前に立つアリアが顔を赤くしながら声を掛けてきた。
そんなに恥ずかしいなら着なければよかったのにと思うが、アリスさんの事だから着るしかない状況に持っていったんだろうな。
だけどまさかアイルのコスプレをさせるとは……これ、アリスさんが見たかったんじゃないだろうか?
あの人も意外とラノベなどを読んだりするし、カミラちゃんに猫耳ヘアーをさせたりするくらいにはオタク文化にも理解がある。
何よりあの人自身がそういうのを見て楽しんでいた。
どうせコスプレをさせるなら自分が好きなキャラのコスプレをさせたかったのだろう。
アリアにも似合っているし、俺も見れて満足だから文句はないのだが……アイルが相手だと思うと少々やりづらくなる。
もちろん手を抜く気はないが、怪我をさせないように気を付けないとな……。
「コスプレなんかしてくる馬鹿を目の前にしてやる気が失せたんだよ」
「――っ! だから言ってるじゃない! 私が自分からしたんじゃないって!」
「だけど着たのはお前だろ? それとも服まで着させてもらわないと駄目なのか、お嬢様は」
「ば、馬鹿にしてぇ――! もう怒ったわよ!」
「元から怒ってるだろ」
「更に怒ったって事よ! あなたの顔ボロボロにしてやるわ!」
アリアはそう言うと、グッと重心を落として構えを取る。
その様子からは完全に冷静さが欠落しているのが窺え、構えにも何処か余裕のなさがあった。
もうこれ以上の煽りは必要ないだろう。
審判としてアリスさんが用意した執事が立った事を確認し、俺も同じように構えを取る。
そして開始の合図があった直後――鞭のようにしなるアリアの右足が、俺の顔面目掛けて飛んでくるのだった。
新作で『不思議な少女と出会った俺は、自分の命を賭け金に好きだった人を助けるためもう一度人生をやり直す』という作品を載せております!
ジャンルは現実恋愛になり、ヒロインたちがかわいい物語にしていくつもりです!
後悔させませんので、是非とも読んでみてください(*´▽`*)