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第220話「不思議」

ネコクロ新作『不思議な少女と出会った俺は、自分の命を賭け金に好きだった人を助けるためもう一度人生をやり直す』を投稿しました!


ジャンルは現実恋愛です!

またヒロインたちがかわいい物語を書いていくつもりなので、是非とも楽しんで頂けると嬉しいです!


後書きの下にあるタイトル名をクリックして頂けると作品に飛ぶことができますので、是非とも読んで頂けると幸いですヘ(≧▽≦ヘ)♪

「――ねぇ、不知火。私も聞きたい事があるんだけど」


 まだアリアが返ってくる気配がない事を見て、私は未だにアリスにのらりくらりと質問を躱されている不知火に声を掛けた。

 不知火はアリスに不服そうな顔をしていたのに、何事もなかったように笑顔で私のほうを振り返る。

 相変わらずの切り替えの速さだ。

 だけど表情に出してないだけで実際心の中では納得してないと思う。


「はい、どうなさいましたか?」

「前から一つ疑問だった事があるのよね。どうしてあんたのような子がアリアに付くの? アリアがしている卑怯な事ってあんたが一番嫌ってるような事でしょ?」


 私の記憶にある不知火はとても真面目で狡い事を嫌う子だった。

 そして他人を気遣う事も出来るいい子でもある。

 そんな子が昔からアリアに付いている事が不思議で仕方がなかったのだ。

 腹黒いとかならまだわかるけど、不知火はそういったタイプでもない。


「アリア様がいつも卑怯な事をされているわけではございませんので」

「だけどよくしているでしょ?」

「必要があらば……仕方がない事です……」

「嘘ね。だったら私の目を見てもう一度言ってみなさいよ」


 私から目を逸らしてアリアの事を肯定した不知火の事を私は追及する。

 それに何か意味があるのかと聞かれれば微妙なところ。

 正直好奇心のほうが強かった。


 この子たちは私が知らないアリアを知っている。

 だからこれまでアリアにずっと付き従ってきたんだろう。

 私はそれがなんなのかを知りたかった。


「――そんなにいじめたらかわいそう」


 私と目を合わせようとしない不知火を見つめていると、今度はアリスが口を挟んできた。

 さっきまで威圧したり、のらりくらりと質問を躱していた張本人が何を言ってるのかと思ってしまう。

 だけどアリスは私にそれ以上聞くなと言いたいようだ。


 私たちお金持ちのお嬢様には生まれた時から色々な揉め事が付きまとう。

 まぁ私の場合はお父さんが凄く優しかったから何かを背負わせられるという事はなかったけど、周りの子たちは幼い時から色々と抱えていた。

 まだ幼少期なのにもかかわらず許婚がいたりとか、親が後継ぎ争いをしていてそれに巻き込まれているとかね。

 大方、アリアはそういった揉め事から不知火を助けたってところだろう。


 だから公にする事も出来ず、質問にも答えられないといった感じな気がする。


 ……とはいえ、多分アリスがその一件にも裏で噛んでいるのでしょうね。

 私が元の学園にいた頃もアリアは凄かったけど、あくまであいつが持っていた影響力は学園内だけだった。

 財閥自体が関わりそうな問題をアリア一人で解決出来るとは思えない。


 これは予想でしかないけど、アリスが何かしらのアドバイスをしていたか、平等院社長に動いてもらえるようアリスが掛け合ったのだろう。

 あの頃のアリアは平等院社長に対して絶対に逆らえないような従順さを見せていたから、自分から何か頼み事が出来るとは思えない。


 ……まぁその力関係は未だに変わっていないと思うけど。

 アリアは平等院社長の事を凄く怖がっている節がある。

 その辺は話していてなんとなく見えていた。


「別にいじめてないじゃない」

「そう? まぁ、どうでもいいけど」

「どうでもいいなら言ってこないでよ」

「それよりもそろそろ戻ってくる」


 ――アリスがそう言った時、まるでタイミングを合わせていたかのように武道場のドアが開いた。

 本当にこの子は未来が見えているんじゃないかと思ってしまう。

 いったい彼女は何を見ているのだろうか?


 ――ドアが開かれた事により、みんなの視線が入口へと向けられる。

 だけどみんな、入ってきた人物を見て驚いた顔をした後に気まずそうに視線を逸らしてしまった。

 正直私も驚きと戸惑いから言葉が出てこない。

 チラッとアリスに視線を向けてみるけど、相変わらずの澄ました表情でその人物の事を見つめていた。

 どうやらこれも織り込み済みだったらしい。


「随分と遅かったな?」


 武道場内に入ってきた人物――着替えを終えたアリアに対して、海斗が澄ました顔で声を掛ける。

 その顔は何処か冷たく、そしてゾッとさせるほどの怖さを秘めていた。


「服がなかったから買ってこさせたのよ! 急だったんだから仕方ないじゃない!」

「そうか。……それで、それはお前の趣味か?」

「う、うるさいわね! 文句なら青木に言いなさいよ! 私だって文句があるのよ!」


 海斗の質問に対して顔を真っ赤にしながら体を押さえて怒るアリア。

 どうしてみんながアリアを見て気まずそうに顔を逸らしたのか――それは、登場したアリアがアニメものらしきコスプレ衣装を着ていたからだった。


 ――後に聞いた話、この時のアリアは服を脱いで着替えを受け取った後にコスプレ衣装だと気付いたらしく、その時にはもう着ていた服を持ち逃げされた後だったらしい。

 要は、アリアの冷静さをなるべくなくさせようとするアリスの仕業だったのだ。

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