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第14話「裏での行動――」

 あの後――桃井が制服に着替えるのを待ち、西条達を置いて俺達は家を目指して帰っていた。


 体育倉庫を出ても桃井の調子は戻らなかったため、俺は桃井を軽く引っ張るようにしながら、手を繋いで歩いていた。

 時折桃井は、甘える様に俺の手をニギニギするだけで、何も言ってこない。

 俺は彼女の気が済むまで、好きなようにさせていた。


 やがて、桃井が足を止めた。

 俺は桃井の方を振り返り、彼女の事を見る。

 彼女は眼をうるわせながら、俺の事を見ていた。


「どうした?」

 俺がそう尋ねると、桃井はゆっくりと口を開いた。


「どうして……助けてくれたの……?」

「どういう意味だ?」

「だって……あなたはこんなことする人じゃないのに……」


 俺は桃井の聞きたい事を理解する。

 確かに、俺は西条を相手にこんな事をするような人間じゃないな。

 というか、本当ならしたくなかった。 


 何故――俺はあの場に現れたのか?

 どうして――あれだけ周到に準備が出来たのか?

 それは一週間前に遡る――。





「お兄ちゃん……お姉ちゃんを助けて……」

 桜ちゃんは泣きそうな表情で、俺の部屋に訪れてきた。

 俺は桜ちゃんを部屋に居れ、ベッドに腰掛けさせる。

 

 こんな焦っている桜ちゃんを見るのは、初めてだった。

 余程の事が起きているんだろうが……。


「一体どうしたんだ?」

 俺の問いかけに、桜ちゃんがゆっくりと口を開く。


「お姉ちゃんの様子が変なの……」

 桜ちゃんの言葉に、俺はここ最近の桃井を思い浮かべる。


 ……。

 

 別段変わったとこもなかった気がするが……?

「別に俺は変わったとこはわからなかったけど、気のせいじゃないのか?」

「ううん、そんな事ないよ! だって、お姉ちゃん最近、お兄ちゃんに突っかかってないもん!」


 ……え?

 様子がおかしいってそこ!?

 何か思いつめてるとかじゃなくて、俺が桃井に罵倒ばとうされていないのがおかしいの?


 た、確かにここ数日文句を言われた記憶がないが……。  

 桃井が俺に突っかかって来るのが当たり前になってるのって、どうなんだ……?   


「ほ、他には変わった所はないかな?」

 俺はちょっと、悲しい気分になりながら桜ちゃんに問いかける。

 それに、それだけで様子がおかしいって言われるのは、桃井も納得いかないはずだ。


「えっとね……無理して笑ったような顔をしてて、時々一瞬だけど、凄く思いつめた表情になるの……。それに、最近生徒会の方にも顔を出してないらしくて……。きっと、おかしなことに巻き込まれているんだと思う……」

「なるほど……」

 なんだ……ちゃんと思いつめてるんじゃないか……。

 ――って、思いつめてたら駄目だろ。

 なんで俺逆に安心しちゃってんの? 

 

 桃井の異変は俺にはわからないが、生徒会に出ていないのは、あの真面目な桃井からして、おかしい。

 それに、桜ちゃんだからこそ気づけたという事は考えられる。

 今までずっと桃井の傍に居た桜ちゃんなら、桃井に少しでも変化があればわかるのかもしれない。


 とは言え、どうする?

 俺が桃井に聞いて素直に話してくれるとは思えない。


 なら桜ちゃんに聞いてもらうか?

 ――いや、桜ちゃんが聞いて教えてくれるのなら、きっとこの子は先に桃井から聞いてくるはずだ。

 それを聞いていないという事は、桃井が話してくれないとわかっているから俺のとこに来たのだろう。


 ………………これ、しかないか? 

 うわー……バレたら……というか、これで何もなかったら、俺、桃井に殺されるんじゃないか……?


 ――俺は桃井が何に巻き込まれているのかを知るために、桜ちゃんに協力してもらいながら、意を決して桃井のスマホをハッキングした。


「……まじか……」

 俺は桃井のスマホから抜き取ったログデータを眼にして、驚きを隠せなかった。

 

 まさか、この件に西条さんが関わっていたとは……。

 しかもやり取りを見るに、西条さんは段階を細かく分けて桃井を追いつめている様だった。

 

 恐らくは、桃井の逃げ道を塞ぐ為なんだろうが……。

 

 ……駄目だ、これ……最初で詰んでる……。

 

 わざわざ西条さんが段階を踏んでいるのは、桃井を警戒しているんだろうが――これはどうあがいても、桃井が逆らえるはずがない。

 

 別にあいつが優等生のイメージを大切にしてるとか、そう言う事じゃない。

 桃井は気付いてないかもしれないが、最初の万引き犯として写真を撮られてる時点で、桃井は人質をとられている……。


 まず、画像データや動画の方を消させるしかないな……。  

 データを消させるにはこちらが接触出来ない以上、アプリにするしか――そうだ!


 俺は少し前に西条さんといつも居る、西村さんがスマホの動作が重たくて困っていると会話していたのを思い出した。

 彼女の性格なら、十中八九こちらの思い通りに動いてくれるだろう。


 西村さんの連絡先は、桃井のスマホから手に入れていた。

 だから俺は、前に作ったパソコンの動作を速くするアプリと、桜ちゃんの為に作ったスマホのアプリを改造して西村さんが使う様に仕向けた。

 そうすれば、彼女の性格上、必然的に西条さんの手にもアプリが行く。


 だが、その為には時間が足りない。

 こういうアプリは、同じWinsowsでも7と10で動作が正常に動かなかったり、スマホのAnbroidによっても正常に動かない。

 だから、全てのバージョンに合わせて作り直す必要がある。

 

 しかし……OS――要はWinsowsなどでも、俺の手元にはWinsows10しかない……。

 失敗は許されないから……仕方ないな……。

 

 ――俺はネットで、テスターをしてくれる人達を集める事にした。

 あらかじめこのアプリを入れていないパソコンなどに、データさえ移動させていれば問題ない為、かなりの人数を募集にかけたが、テスターはすぐに集まってくれた。


 ……その代わり、今まで俺が稼いだ貯金は大分無くなったがな……。

 同じOSでも複数人にしてもらう必要があるせいで、かなりの大人数にテスターをしてもらわなければいけないから仕方ないのだが……。

  

 まぁ、これも桜ちゃんの為と思えば納得できる。


 決して――桃井の為ではない!


 ……俺は誰に言い訳をしているんだ……?

 睡眠不足のせいか、思考回路がおかしくなっているのかもしれない……。


 



 ――西村さんに上手くアプリを使わせることが出来た俺は、遠隔操作で西条さん達の会話ログを入手し続け、状況を全て把握していた。

 だが、その時に西条さん達を追い込む決め手が見つからなかった。


 会話ログだけでは、西条財閥の力で揉み消されてしまう。

 だからと言って、物的証拠として桃井の写真を使うつもりはない。

 そんな事をすれば、彼女の写真は多くの人間の目に晒される事になるし、何より西条さん達が画像を送っていない限り、誰が写真を撮ったのかを証明できない。


 彼女達が写真を撮ったという会話は残っているが、それだけでは先程述べた通り、揉み消されてしまう。

 だから俺はあいつらが言い逃れをする事が出来なくなるまで、待ち続けた。


 西条さん……いや、西条は俺の期待通りに証拠を作ってくれた。

 ただ、スマホは体育倉庫内に隠していたため、俺は中の状況が聞こえる所に身を潜め内容を聞いていたのだが……。

「クソ……だな……」

 俺は中から聞こえてくる、楽しそうに話している西条達の笑い声に怒りが込み上げてくる。

 

 内容もそうなのだが、こいつらの声を聴いていると、()()()を思い出す。

 元々は証拠さえ手に入れば、18時で全て消える様にしていたため、乗り込むつもりはなかったのだが――桃井の悲鳴が聞こえた時に、俺の怒りは頂点に達し、体育倉庫内に乗り込んでしまったのだ。





 ――それが、俺が体育倉庫内に乗り込むまでにしていた行動だった。


 だが、今思えば、どっちみち乗り込まなければいけなかっただろう。

 桃井が決定的な写真を撮られたとして、それがバラまかれる前――そして、あいつらの行動が終わるであろうギリギリの時間を狙ったのだが、結局18時になる頃にも終わっていなかったからな。

 むしろ怒りで我を忘れかけてた分、助かったかもしれない。


 ――しかし、それらの事を俺は桃井に言うつもりはなかった。


 だから、桃井が聞いてきた、助けた理由に対してはこう返すとしよう――。

「――家族を助けるのに理由なんていらないだろ、義姉さん」

 ――と、桃井に笑いかけた。


「……キモい…………」

 俺から顔を背けた桃井は、頬を赤くしたまま、そう呟いた。


「お、お前……あの場に助けに入ったヒーローに対して、その言い草はないだろ……?」

「あなた、自分の事をヒーローって思ってたの? 本気でキモいわ……」


 うん、言った俺自身もそう思ったけど、何故だろう、やっぱお前に言われるとムカつく!

 

 でも、微妙に気が削がれる。

 お前そう言う事は、いつもみたいな冷たい表情で言えよ。

 

 なんで頬を赤く染め、瞳をうるわせながら、罵倒してきてるんだよ。


 恐らく先程泣いていたのを引きずっているんだろうけど、文句を言いづらい。

 ……うん、今日はもう言い返すのはやめよう……。


 別に、桃井の表情を可愛いと思ったから言うのを止めたわけじゃないからな……?

 ただ、先程まで追い詰められていた子に文句を言うのは可哀想だと思っただけだ。

 

 ……本当だぞ?


「――ねぇ、もう一つ教えて欲しいんだけど……なんで、最後西条さんに優しくしたの……?」

 俺が一人葛藤していると、桃井が先程の事を聞いてきた。

 その言い方は少し口をとがらせ、拗ねている様に見えた気がする。


 ……彼女を陥れようとした相手を、見逃した事を怒っているのだろうか?

 俺は少し迷ったが、今後の桃井の為に正直に教える事にした。


 今の雰囲気の桃井相手ではやりづらいが、俺は今まで桃井に接してきた態度を意識して、話し始める。

「なんだ、あのままあいつらの人生を終わらせて、仕返ししてほしかったか?」

「そ、そういうわけじゃないけど……」

「じゃあ、なんでそんな事を聞く?」

「え、えっと……」


 俺の言葉に、桃井が言いづらそうに視線を彷徨さまよわせる。

 中々答えそうになかったため、俺は先に言葉を発する事にした。


「あいつらをこのまま放っておいたら、仕返しをしてくる――か?」

 俺の問いかけに、桃井は不安そうに頷いた。

 俺はそんな桃井に対して、首を横に振る。


「あいつはそんな事しない」

「え?」

 俺の言葉に、桃井が不思議そうに俺の事を見た。


「お前、西条の事を馬鹿だと思っていただろ?」

「そ……それは……」

 桃井は俺から目を逸らす。

 図星だったのだろう。


「なんで、そう思った? テストの成績が悪いからか?」

「う、うん……」

「そこがそもそも間違っている。学力で人間の賢さがはかれるなんて思うな」

「どうして……? 学力が賢さに繋がるのは、当然の事じゃないの?」


 俺は首を傾げる桃井に、溜息をつく。

 そんな俺の態度に、桃井はムッとした。

 お――暴言が来るか……?

 だが、桃井は口を開こうとして閉じた。

 

 ……本当、やりづらいな……。

 ……ちょっとまて、俺……。

 これじゃあ、桃井に罵倒されるのを心待ちにしてるみたいじゃないか……。


 俺は慌てて首を横に振り、今頭をよぎった考えを吹き飛ばし、話をつづける。

「俺は一年生の時から西条と同じクラスなんだが――あいつは、授業を一切聞いていない。だから、テストの成績が悪い」

「それは結局、頭が悪いと思うけど……? だって、授業聞かないって……」

 そう言って、桃井が顔をしかめる。


「本当にそう思うか? なぜ、あいつは授業を聞いていないと思う?」

「それはめんどくさいからじゃないの?」

「違う、必要ないからだ」

 俺の言葉に、桃井は首を横に振る。


「成績は、そのまま将来に影響するわ。だから、必要に決まってる」

「いいや、必要ないさ。あいつにはもう、将来歩むべきレールが敷かれている。きっと、家の力で有名な私立大学に入るだろう。そして、親の後を継ぐ。だから、あいつにとって授業は不必要なんだ。だからといって、他の奴らが授業中寝ている中でも、あいつは寝ていない。じゃあ、何をしていると思う?」


「わ、わからないわよ! だって、一緒のクラスになった事ないもん!」

「まぁ、そうだろうな……。――帝王学、心理学、交渉術、偉人、今挙げた物に関する本を、一年生の時、俺があいつの隣の席だったり、近くの席だった時にあいつは真剣に読んでいた」

 俺の言葉に、桃井は眼を見開いて驚いている。

 まぁ、普通、こんな本を読む学生なんていないよな。

 

 前に俺が西条を危険視していると話した時に、理由は複数あると言ったが、それがそのうちの一つだ。


「あいつは賢い。自分の力が及ぶ範囲をしっかりと把握していて、人を従える(すべ)を知っている。なぁ桃井、なんであいつはお前を追いつめるのに、あんなに回りくどい事をしたと思う? 万引き犯として、仕立てあげられたお前を言う事を聞かせるのに、なんで最初はしょうもない内容からスタートした? そして、段階を踏むにしては細かすぎなかったか?」


 俺の言葉に、桃井は嫌な事を思い出したのか、一瞬暗い表情をした。

 そして、首を横に振る。

 

 わからないか……。


「あいつが甘い内容で命令したのは、お前が言う事を聞くようにするためだ。一度に命令の難易度を上げれば、拒否されやすい。だけど、甘い段階から入れば、お前は万引きの事と、命令を天秤にかけて命令に従う。そして、それから少しずつ難易度を上げて行けばいい。そうすれば、お前は常に命令とリスクを天秤にかけて、命令に従ってしまう。人間は楽な方に逃げる習性があるからな。逆らって何か仕打ちをされるよりも、素直に従った方が良いと考える。実際お前も命令された時は、命令に従った方が良いと判断し、その後凄く後悔したんじゃないのか?」


「う……うん……」

「そして、段階を細かく上げて行く事により、最終段階に入るまでに、お前を恐怖心から心を弱らせ、自分には逆らえないという考えを植え付ける事が出来る。だけど、あいつにとってそのプランは、お前の抵抗により、途中で終了する予定だったんだ」


「え……どういうこと? だって、私がそうしない様に段階を踏んでたんじゃないの?」 

「段階を踏んでたからとしても、命令によっては従わない。まぁ、その度合いは人の気持ちの強さによって変わるんだが……少なくとも、西条は、お前の事を凄く気持ちが強い奴で、絶対に途中で抵抗してくると踏んでいたんだ。だから、あいつはもう一つ策を講じていた」


 俺の言葉に桃井が驚く。

 その事に気付いていなかったからだろう。


「今日、お前が抵抗した時、あいつはお前に何て言った? 言う事を聞かないなら、桜ちゃんに手を出すと言ったんじゃないか?」

「言ってた……。私と同じような事を桜にさせるって……」


「そうだろ? あいつは、お前が言う事を聞かなくなった時点で、桜ちゃんに狙いをシフトさせるつもりだったんだよ。そしてそれは、お前が万引き犯に仕立てあげられた時点で、有効になっていた。だから、あいつはお前の心を弱らせるだけ弱らせて、後は桜ちゃんを使ってお前に言う事を聞かせるつもりだったんだ。だが、あいつにとっての誤算は、お前が言う事を聞き続けた――つまり、お前の心が弱かった事なんだ」


 俺の言葉に桃井は口を一文字に結ぶ。

 悔しいのだろう。


 思い通りにさせられた自分が……。

 素直に従う事しか出来なかった自分の事が。


 正直、俺も桃井があのまま素直に従う可能性は低いと踏んでいた。

 俺もこいつは心が強い奴だと思っていたからだ。

 しかし――結果、こいつは従い続けた。

 少なくとも、俺や西条が思っていたほど、こいつの心は強くない。

 

 だが、俺は今回の件では、むしろ桃井の心が弱くてよかったと思っていた。

「お前は悔しいのかもしれないが……お前が抵抗しなかったおかげで、桜ちゃんは無事だったんだ。だから、そんなに気にするな」

「う……うん……」


「まぁ、あいつは見た目は金髪のギャルだが、それだけ用心深い性格をしているんだ。そして、桃井達に手を出さない限り、俺があいつらを潰しにかかったりはしないという事も理解している。だから、何もしてこないさ」

 俺がそう言うと、桃井は俺の目を見てきた。


「でも……別に、笑いかける事なかったじゃん……それに、壁ドンもアゴクイも……」

 そう言って、桃井は拗ねたように頬を膨らませた。 

 壁ドン……? 

 アゴクイ……?

 桃井は一体、何を言っているんだ?

 多分言葉的に、俺が最後にした行動のことを言っているんだろうが……。


 ……と言うか、お前、誰だよ……。

 まるで、桜ちゃんを相手にしてる気分になってくるじゃないか……。


「俺が西条にしたのは、桃井が西条にされた事の様に、恐怖心を煽るためだ。それで、一度あいつを絶望させた。だけど、あいつを追い込むわけにはいかないから、俺は笑ってあいつに手を差し伸べた。怒りの顔をしている人間の言葉じゃあ、信じてもらえないからな」

「なんで、そこまで彼女を追い込みたくないの……? 彼女の事が好きなの……?」

「はぁ!?」


 何故、そうなる!?

 どんな思考回路してたら、俺があんな奴の事を好きって結論に至るんだよ!


「あのな……『窮鼠猫きゅうそねこを噛む』ってことわざを知らないのか? 俺があの時、あいつを必要以上に追い込んでいたら、あいつは絶対お前を道連れにしようとする。どんな汚い手を使ってでもな。それに、もしあいつらをさばくとしたら、お前が今日までにされた事を、全生徒が知る事になる。どっちにしろ、あいつを裁くことは出来なかったという事だ」


「それを彼女は気付いていないの……? もし、気づかれたら、また別の策で仕掛けてくるんじゃ……」

 そう言って、桃井は怯えた表情をした。

 よっぽど、今回の事がトラウマとして植え付けられている様だ。


「あいつは気付いているぞ?」

「え!?」

 桃井は驚いた表情で、俺の事を見てきた。

 そして、その顔色は絶望に染まる。


「心配するな、あいつは何もしてこない。こちらが裁けないと言っても、あくまで今回の事を知られたくないからだ。だが、桃井や桜ちゃんに実害が及ぶなら、今回の件を公表してでも、俺はあいつらを潰しにかかる。だから、西条は何もしてこないし、今回の件が尾を引かないように、俺はああいう行動をした」


「本当に、彼女は何もしてこないの……?」


 ……まだ恐怖は拭えないか……。

 だが、本当にもう心配する事は無い。


「心配か?」

「う……うん……。ごめんね……?」

「いや、心配になるのはわかる。あれだけの事があったんだからな。だけど――」

 俺は桃井の頭に手を置き――

「あいつが何かする様なら、俺がお前を守るよ」

 俺はそう言って笑いかけながら、桃井の頭を撫でたのだった――。


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海斗君カッコ良すぎ!なんともま~できすぎ君でした!
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