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第191話「不幸」

 ――いよいよ俺のトレーニングが本格的に始まった頃、学園では何事もなく日常が進んでいた。

 アリアが行動に移す様子は特段見えず、他の生徒たちにも目立った変化はない。


 途中に俺は二人のクラスメイトを呼び出してある話をしたが、別段表立って行動する事はしなかった。

 桜ちゃんを人質にとられている以上、下手に動くのはまずい。

 だから俺が呼び出した二人の生徒に話したのは、ただの事実(・・)のみだ。

 アリアとの賭けに関する事は一切明言していない。


 他に何かあったとすれば、桜ちゃんが家に一切帰ってこなかった事と、アリアが賭けについての決着を明確にするために話掛けてきた事くらいだ。


 桜ちゃんに関してはアリアが何か関わっているんじゃないかと思ったが、どうやら関わっているのはアリスさんのようだ。

『心配はいらないから任せるように』と少し前にアリスさんから言われた。


 アリアが賭けに対する決着を明確にしにきたのは、おそらく勝つまでのビジョンが出来上がったのだろう。

 この賭けを持ち掛けた際に、俺とアリアの中では決着の付け方が一致していた。


 その方法が――クラス内投票だ。


 以前アリアは、学園内投票で雲母を嵌めてズタボロにした過去がある。

 当然雲母といつも一緒にいる俺が既にその事を知っているとアリアは考えているだろう。

 だからこそ、『クラスメイトに認められる』という人気取りみたいな賭けの決着は、このやり方以外ありえないのだ。


 あいつは俺が賭けを持ち出してきた裏を探ろうとしている。

 そしてその可能性の一つとして、雲母の雪辱をはたすという考えが頭を過ったはずだ。

 そのためには同じ人気投票みたいな形にするのが仕返しとしてはベスト。


 俺としてもどうせやるならこの方法が手っ取り早いと思っていた。

 投票なら誰がどのような判断をしたかわかりづらい。


 つまり昔アリアがしたように、クラスメイトの間で『自分だけは』という心理が働きやすくなるのだ。

 それは、アリアが不正をしやすくなる事を意味する。


 いや、不正とは言い過ぎか。

 アリアが他の生徒を手ごめにしやすくなるのだ。


 正直いくらでもやるならやってくれればいい。

 万全の体制を整えれば整えるほど、負けた際のあいつを追い込みやすくなる。

 何より、やり過ぎれば最終的にあいつ自身が自分の首を締めるだけだ。


 ――全ては問題なく進んでいる。


 俺がそう確信した頃、まるで神様のいたずらのように問題が起きた。

 どうやら俺は見事にフラグを回収してしまったようだ。



          ◆



 テスト当日、いつも通りの朝だったはずなのに俺は違和感を覚えていた。

 普段起きてくるはずの時間で、咲姫が起きてこないのだ。

 もうそろそろ起きて準備をしないと遅刻になりかねない。

 テスト当日に遅刻なんて洒落にならないし、何よりアリアとの勝負がある。

 咲姫はいったい何をしているのか……。


 なるべく俺は咲姫が起きてくる事を待ったが、いくら待っても起きてこないため起こしに行く事にした。


 コンコンコン――。


「咲姫、どうした? もう起きないと遅刻するぞ?」


 部屋をノックして呼び掛けてみても中から返事はない。

 余程深い眠りについてしまっているのだろうか?

 咲姫が寝坊するなんて珍しい事もあるものだな。


「おーい! 起きろー!」


 起きる気配がないため今度は大声で呼び掛け、ドアも強めにノックする。

 しかし、やはり返事はなかった。


 ……これは直接起こすしかないか……?

 そういえば、俺が咲姫の部屋に入るのは初めてだな……。


 大きな音でも咲姫が起きないため、俺は直接起こす事にした。

 今までは咲姫が恥ずかしがって部屋には入れてくれなかったが、これは不可抗力だ。

 悪いのは寝坊をした咲姫だ。


 俺はゆっくりとドアを開けてみる。

 すると、花のようないい臭いが廊下に漏れでてきた。


 いつも思っていたが、どうして女の子ってこんなにもいい匂いがするのだろう。

 男とは体を作っている成分が違いすぎる気がした。


「咲姫、入るぞ――え……?」


 部屋の中に入った俺は、信じられない光景が目に入り頭が真っ白になった。


 咲姫の部屋に入った俺が目にしたもの――それは、床に倒れこんでいる咲姫だった。

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