表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

194/272

第185話「特訓」

「なんで……既に疲れてるの……?」

 待ち合わせ場所に着くと、凄く怪訝な表情でアリスさんに迎えられた。


「いえ……気にしないでください……」

 とりあえず、誤魔化しておく。


 正直疲れているのは、桜ちゃんを説得するのに苦戦したからだ。

 あの子、俺の心が読めるんじゃないかってくらい、嘘が通じない。

 誤魔化そうとすると、すぐに見破られてしまうんだ。

 おかげで全て白状させられてしまった。


 ……おかしいな?

 俺の事を信じてくれているって言ったのに、なんで疑われたんだろう?

 そんなに嘘っぽいかな、俺……?


 自分の言葉を妹が全然信じてくれなかった事に、不安になってくる。


「カイ……何を首傾げて悩んでるの……? 早くおいで……」


 気付けば、アリスさんが一人先に進んでいた。

 俺も慌てて後を追う。


 今俺たちは二人は、平等院財閥が所有するトレーニング場を訪れていた。

 ここで今日から一ヵ月の間、俺はある人に鍛えてもらう約束になっている。

 アリスさんしかいないという事は、その人は中で待っているのだろう。


 ……アリスさんが迎えに来たのはなんでだ?

 普通、逆の気もするが……。


「カイ……一ついい……?」

 考え事をしていると、隣を歩くアリスさんが俺の顔を見上げていた。

 

「はい、なんでしょうか?」

「絶対……無理はしないで……。体を壊して……ほしくないから……」


 アリスさんにしては珍しい、不安そうな表情で俺の事を心配してくれていた。


 納得はしていても、未だに本心では反対なのだろう。

 何を考えているのかわからない事も多いが、やっぱり優しい人だと思った。


「えぇ、わかってますよ。無理はしないので心配しないでください」


 出来るだけ安心させられるように、俺は笑顔で答える。

 桜ちゃん以上に、この人には嘘が通じない。

 きっと、俺が今ついた嘘も見透かされているだろう。


「うん……約束……」


 ――だけど、アリスさんは俺の嘘を見逃してくれた。

 嘘だとわかっていても、俺の事を信じてくれている。

 この信頼を、俺は裏切るわけにいかない。


「はい、約束です」


 俺が頷くと、アリスさんはそれ以上何も言ってこなかった。

 二人とも喋らないせいで沈黙の時間になってしまうが、別に気まずいという事はない。

 むしろ、落ち着くくらいだ。


 ――それから少しして、目的の部屋へと着く。

 アリスさんは先に入ってしまったが、俺は足を止めて一度深呼吸をした。


 部屋に入る前に気を引き締めておきたかったのだ。

 生半可な気持ちで臨めば、大怪我をしかねない。

 今からするのは、武術を極めているアリアに負けないための特訓なんだから。

 しかも鍛えてくれるのは、アリア以上に武術の達人――青木先生だ。

 ドSなあの人の特訓を受けるんだから、覚悟しておかないとすぐに脱落しかねない。


 ――うん、大丈夫だ。


 気持ちを作る事が出来た俺は、ゆっくりと部屋のドアを開ける。


 ドアを開けると待っていたのは――

「久しぶりだ、カイ」

 ――なぜか、アメリカにいるはずのマリアさんだった。

話が面白い、キャラが可愛いと思って頂けましたら、感想を頂けると嬉しいです(*´▽`*)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『新作です……!』
↓のタイトル名をクリックしてください

数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました

『数々の告白を振ってきた学校のマドンナに外堀を埋められました』5月23日1巻発売!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
数々1巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』8巻発売決定です!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊び6巻表紙絵
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  


『迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について』コミック2巻発売中!!
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★ 
お隣遊びコミック2巻表紙
  ★画像をクリックすると、集英社様のこの作品のページに飛びます★  

― 新着の感想 ―
[一言] うわっもう一段上の実力者(異次元)だ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ