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第158話「思惑」

『ボチオタ』の表紙絵を活動報告に載せました!


「そうか、安心したよ。思う存分可愛がってくれ」


「……何? まさか言葉通りに受け取ったわけ?」

 俺の返事を聞いたアリアは先程までの笑顔をやめ、俺の顔を訝しげに見てきた。


「そうじゃない。お前がわざわざ明言したって事は、するつもりがないただの脅しだからだ。本当にするつもりなら、お前は絶対に俺に言ったりしないはずだからな。俺に妨害されないよう、影で行動に移すだろ?」


 ――そう、俺が桜ちゃんは心配いらないと確信できたのは、アリアがわざわざ口にしたからだ。

 こいつは荒い性格をしてるように見せ掛けて、実際はかなり手の込んだ事をするし、陰湿だ。

 実際雲母が嵌められた時、あいつどころか、話を持ち掛けられた生徒はみな、アリアが他の生徒にも同じ事をしているとは思っていなかったはずだ。

 だからこそ、自分一人の票なら結果にそれ程影響しないと思い、雲母を慕ってた子たちは保身のために裏切ってしまった。


 結果、みながその考えを持っていたせいで、雲母にはあいつ以外の票が入らないという事になった。

 逆に、そのような状況以外では無投票なんて結果が生まれるはずがない。

 アリアと雲母の人気が同じくらいで、完全に二つの派閥に別れていたというのなら尚更だ。


 そこまで巧妙に手の込んだ事をするやつが、わざわざ相手に宣言して妨害の余地を与えるわけがない。

 だから、これは俺を不安にさせるための脅しでしかないというのが、俺の出した結論だ。

 

「……ふん、つまんないの」

 

 俺がアリアの思った反応とは別の反応を示したからか、アリアは不機嫌そうにソッポを向く。


「そうね、あの子に手を出す気はないわよ。もし何かすれば、カミラが泣きそうだもの」


 おそらく、嘘ではない。

 わざわざこのタイミングで桜ちゃんを標的に切り替える必要はないし、口にした理由が桜ちゃんへの罪悪感ではなく、自分側につくカミラちゃんの心配だったからだ。

 ここでやらない理由が桜ちゃんへの罪悪感などであれば、疑う必要があった。

 まぁとはいえ、あんなにも無邪気で可愛い子に酷い事をするとなれば、さすがのアリアでも罪悪感を感じるかもしれないが。


「それで、そろそろ本題に入ったらどうなの?」


 俺が黙ってアリアの事を観察していたからか、向こうから本題へ移るよう促してきた。


 カミラちゃんがこの場にいない理由には触れなかったな……。

 アリスさんと一緒にいると思ってるだけなのか、それとも――。


 一応、気にしておいたほうがよさそうだが……これからの俺に、そんな余裕はないかもしれない。

 さて、どうするか……。


 カミラちゃんが誰の元へ行ったかを知った時、白兎の名前を聞けばこいつがどう行動に移すかわからない。

 白兎の名前について、こいつが忘れてるはずもないだろうし。

 こいつにとって、白兎が恨みの対象に入っていてもおかしくない。


 カミラちゃんのお気に入りというか、多分想い人であろう白兎に何かすれば、カミラちゃんが悲しむ事は間違いない。

 だが、今の白兎がしている事は、カミラちゃんを裏切る行為だ。

 アリアがどこまで知っているか、どこまでを知るかはわからないが、カミラちゃんを悲しませる結果になっても、白兎がカミラちゃんに隠してる事を暴露する可能性はある。

 

 白兎は優しくていい奴だ。

 いつまでもカミラちゃんに嘘をつき続けるとは思えない。

 一時はカミラちゃんを傷付けてしまうかもしれないが、あの二人なら仲直りできるとも俺は思っている。


 だから、アリアには邪魔されたくない。


 朝比奈さんに関して言わなかったのは、どっちだろう?

 気にもとめる存在ではないという事か、あるいは俺との関係に既に気が付いていて、知らないふりをしているのか。


 …………おそらく、前者だな。


 朝比奈さんとの接触はまだ一回だし、学園ですらない。

 こいつが気付いてると考えるのは被害妄想に近いだろう。


 まぁもし気が付いていたとしても、問題ない。

 朝比奈さんを利用する余地を与えるつもりはないから。

 ただ、彼女に手を出されるとしたら困る。

 今度はあの子が傷付けば、自分のせいだと思い込んだ雲母がまた傷付くだろうから。


 俺に全員を気にする余裕がなくなる以上、それも条件に加えておく事にしよう。


 アリアも聞く耳を持っているみたいだし、時間もあまりないからそろそろ頃合いか……。

 後は、どれだけ感付かれないかだな。


 俺はアリアの目を見つめ、わざと挑発的な笑みを浮かべて口を開く。


「アリア、一つ賭けをしないか?」

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