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第155話「意外な生徒たち」

「探す手間、省けたな……」


 アリアを見つけるために食堂に来た俺は、食堂に入った瞬間になんとも言えぬ光景を目にして、思わず呟いてしまった。


 アリアが食堂で食べる事をアリスさんから聞いて食堂に来たのだが、正直この広い学園の食堂で探すのは苦労すると思っていた。

 しかし、予想と反してすぐにアリアを見つける事が出来た。


 ある一角だけ、二つの意味で際立って目立つテーブルがあったからだ。

 明らかに高そうなテーブルに九人の女生徒が着いており、その周りを囲むようにメイドや執事が立っている。


 テーブルの上に並べられている料理も、この食堂で出されているものではない。

 今居るメイドたちが準備したものなのだろう。


 …………一応ここ、公立校なんだけどな?

 金持ちが好き放題できるお嬢様学園や私立校とは違うはずなんだが……?


 色々と思う部分はあるが、そんな事よりも、あの中に突っ込まないといけない事を考えるとかなり憂鬱な気分になった。

 どう考えてもあのメンバーには歓迎されないだろう。

 それに、食堂で食事をしている他の生徒たちの視線があのテーブルに集まっている。

 そんな中俺がアリアに話し掛ければ、またあらぬ誤解と噂話が生まれるかもしれない。


 要は今俺がしようとしてる事は、自ら火の中に飛び込もうとしているようなものなのだ。


 しかし、アリアに話を持ちかけるならアリアのお付きとなっている女生徒たちの前じゃなければならない。


 そうする事でしか、おそらく俺が持ち掛ける話は成立しないから。


 ――もう、あの人の反対を押し切ってでもやると決めたんだ。

 今更噂の一つや二つ増えたところで、それがどうした。

 周りの生徒たちにどう思われようと、大切な人たちのためになるならいいじゃないか。


 俺は自分にそう言い聞かせると、意を決してアリアの元へと足を踏み出した。


「――お待ちください」

 アリアのテーブル近くまで行くと、俺の目的がアリアたちにある事を察した執事が呼び止めてきた。


 必然、多くの視線が俺たちに集まる。


 周りの生徒たちは今から何が始まるのかと、期待と動揺が入り交じった表情で俺たちを見ている。

 

 肝心なアリアは意に介した様子もなく食事を続けていたが、お付きの女生徒たちは他の生徒たちと同じように俺の事を見ていた。


 執事に素直に話した所で通してくれるのか疑問に思いながらも、話さない限りは通れないだろうと思い俺は用件を口にしようとする。

 だが、俺が口を開くよりも早く、一番近い席にいたお付きの女生徒が立ち上がった。


 彼女は俺と執事の間に来ると、執事のほうを見ながら口を開く。


「相手は同じ学園生です。お下がりなさい」

「しかし、お嬢様……」

「相手が殿方だからお気になさってるのかもしれませんが、不要なお気遣いです」


 お嬢様と呼ばれた女生徒の言葉を聞き、執事は迷いながらも引き下がった。

 彼女たちの関係について全く知らなくても、 この女の子が先程の執事の主であるというのはわかった。


 ただ、この女の子を含めたアリアのお付きの生徒たちを見ていて、いくつか驚いた事がある。


 まず、アリアが連れてきた人間という事で、俺は彼女たちの性格も攻撃性の高い人間だと予想していた。

 しかし、アリアを除いて八人の女の子は、全員おしとやかそうだ。


 中には、俺の事を怯えたような目で見ている子たちも数人いる。

 多分、俺が男だからだろう。


 彼女たちのようなお嬢様学園で育てられる女の子は、結構箱入り娘が多いらしい。

 しかも、幼い時からその学園で育てられてるそうだ。


 だから、家族以外の男を見慣れていないんだと思う。


 先程俺たちの間に入ってきた子に関しては、俺に対して好意的な笑顔を浮かべてくれていた。

 少なくとも彼女は、俺たち一般市民を下に見ていないと思う。


 それも、意外だった。

 

 まぁ漫画やアニメの見すぎなのかもしれないが、俺のイメージするお嬢様は一般市民を見下してる感じだったから。


「どうなさいました、神崎さん(・・・・)?」

 

 俺がジッと見つめていたせいか、笑顔を絶やさない女の子が首を傾げながら聞いてきた。

 上品な仕草は朝比奈さんに近いものがある。


 他の女の子たちを見てもわかるが、どうやらアリアや雲母のような奴が特殊みたいだ。


 ただ、なんというか、この子も曲者そうだというのはわかった。

 俺は自己紹介をしていないどころか初対面なはずなのに、彼女には俺の事がわかるようだ。

 おそらくアリア経由だろうが、それならば慕ってるアリアが俺の事をどう思っているか知っているだろうに、それでもこの笑顔でいられるという事は、感情を表に出していないだけだと思ったほうがいい。


 まぁ名前と顔が一致しない他の子はともかく、この子に関してはおあいこか。

 俺も、この子に関しては顔も知っていたからな。


 ――なんせこの子こそが、俺が取引した事がある会社の令嬢で、朝比奈さんの忠告がなければ俺が一番最初に利用しようとした女の子なのだから。

いつもボチオタを読んでいただき、ありがとうございますヘ(≧▽≦ヘ)♪


久しぶりにスマホから更新しました(笑)


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