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第150話「春花と鈴花」

重要なお知らせがありますので、後書きを読んで頂けると嬉しいです(*^^*)

「小鳥居様、よろしければお食事にご一緒させて頂けませんか?」

 お昼休みに入ってすぐ、昨日私と同じタイミングで転校してきた女の子が声をかけてきた。


 確か名前は――朝比奈さんだったと思う。


 あまり人の名前や顔を覚えるのは得意じゃないけど、凄くお嬢様っぽい子だったのと、同じ転校生という事で私は彼女の名前をすぐに覚えたの。


 でも、それだけ。

 私と彼女は接点がないはずだけど……。


「え? 私?」

「はい、そうでございます」


 一応聞き間違いじゃないか確かめてみたけど、やっぱり私を食事に誘ってくれたみたい。

 そういえば朝比奈さんって昨日は元気がなかったけど、今日は明るくて素敵な笑顔を浮かべてる。

 

 何か、悩み事でも解決したのかな?


 一日で見違える程雰囲気が変わってるから気にはなったけど、私は彼女と知り合ったばかりでお世辞にも仲がいいとは言えなから、聞かないほうがいいよね。


 それよりも困っちゃったな……。


 本当は今から、海斗君と一緒にお弁当を食べようと思ってたんだけど……。

 約束はしてないけど、これから誘いに行くつもりだったの。

 けれど折角声をかけてくれたのを断るのも悪いし……。


 私はチラッと朝比奈さんを見る。

 朝比奈さんは少し困ったような表情をして私を見ていた。


「もしかして……先約がございましたでしょうか?」

「あ、ううん! 大丈夫だよ! それじゃあ一緒に食べよ!」

 申し訳なさそうな顔をして私から視線を逸らした朝比奈さんを見て、私は慌てて彼女の申し出を受け入れた。


 折角誘ってくれた人にこんな表情をさせたのが申し訳なかったの。


 それに、別に焦らなくてもこれから一年半は海斗君と学園生活を送れるんだもん。

 だから、今日は朝比奈さんの好意に甘えちゃおう。


 …………でも、少しだけ、海斗君があの西条さんって子達と一緒に食べてると考えると、モヤっとする……。

 だけど、海斗君があの子達と食べてるのは仕方ないよね。

 あの子達からしたら、私のほうが後から出てきた子になるんだし。

 

 だから、海斗君とあの子達が一緒に食べるのを私が嫌って言うのはおかしいよね。

 この気持ちは、心の中にしまっておこう。


「ありがとうございます、小鳥居様。それと、実はもう一人お誘いしたい御方がいらっしゃるのですが、よろしいでしょうか?」


 もう一人?

 転校してきたばかりなのに、朝比奈さんって交流関係を広げるのが早いんだね。

 私は昔の事があるからどうしてもその部分に対しては臆病になっちゃうんだけど、朝比奈さんの事を見習いたいなぁ……。


「うん、いいよ。誰を誘うのかな?」

 断る理由がない私は笑顔で頷いた。

 それに、自分から話しかけるのは苦手だけど、話すのは好きだから人数が多いのは嬉しいもん。


「桃井様をお誘いしたいと思っております」


 ――桃井さん!

 海斗君のお姉さんで凄く可愛くてカッコイイ子だ!

 

 私もあの子とは仲良くしたいと思ってるの。

 だって、もし海斗君と上手くいけばあの子がお姉さんになるわけだし、何よりあんな可愛くてかっこいい女の子に私はなりたいと思ったから。

 きっと、海斗君もああいう子が好きだと思うし。


 …………大丈夫だよね?

 姉弟だもん。

 お互いを恋愛対象としてなんて見てないよね?

 

 学園で付き合ってるって事にしてるのは、桃井さんがモテ過ぎて困ってたからって話だったし……。

 どうしよう、これで二人が恋仲とかだったら、私立ち直れないかも……。


 海斗君に恋人がいるかもしれないと思うと、凄く胸が締め付けられる。

 それだけ、私は海斗君の事が好きなんだもん。


 でも、きっと大丈夫。

 だって海斗君は私の告白に対して考える時間がほしいって言ったんだもん。

 もし彼女がいるんだったら、すぐに断られてたと思うし。


 ……本当は、すぐにOKしてもらえる事を期待してたんだけど、やっぱり離れていた時間は大きいみたい。

 これから、今までの分も取り戻せるといいなぁ……。


「――困りましたね……。桃井さんの御姿がお見えになりません。もしかして、もうお食事に行かれたのでしょうか?」

 私が海斗君とのこれからの事を考えていると、朝比奈さんが教室を見渡しながら困ったような声を出した。

 頭を切り替えて私も教室を見渡してみるけど、こちらを伺うように見ている男の子達が数人いるのと、仲良くお弁当を食べようとしている女の子達がいるだけで、桃井さんの姿はなかった。


 朝比奈さんの言う通り、もう食事に行ったんだと思う。


「仕方ないね、今日は二人で食べよっか?」

「そうでございますね」

 桃井さんを待ってても戻ってくるとは限らなかったから、私達は二人で昼食をとる事にするのだった――。

ついに第150話まで来ました(*´▽`*)

そしてそして、『ボッチのオタクである俺が、学内屈指の美少女たちに囲まれていつの間にかリア充呼ばわりされていた』が、講談社ラノベ文庫様から書籍化致します!


いつも皆さまが応援してくださったおかげです!

本当にありがとうございます!


そして、これからも『ボチオタ』をよろしくお願い致します!

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