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第134話「心配事が尽きない」

 あの後周りの生徒たちが更に騒いでしまい、大騒ぎとなってしまった。

 おかげで騒ぎの中心である俺は、通りがかった女教師(まぁ、アリスさんの護衛の人だから、どうせ通りかかったんじゃなくいつの間にかアリスさんが呼んだんだろうが……)その人に連れられて、職員室に来ていた。

 ちなみに、連行されたのは俺だけである。


 本当に、俺の扱い方だけ差別を感じるんだが……。


 てか、青木さんだっけ? 

 そういえばこの人、アリスさんの護衛兼担任の教師もしてたんだったな……。

 

 最近会ってなかったから、すっかり忘れていた。


 ただ、アリスさんがいるのにこの人が俺たちの担任ならなかった理由がわからない。

 この人は一年生の担任になったらしい。

 まぁこんな中途半端な時期に変わってきて、担任になっている時点で驚きではあるが……。

 一体どれだけ手を回したんだ、アリスさんは……。


「神崎さん、こちらをどうぞ」

 どうせ俺だけ怒られるんだろうなと思いながら青木先生の言葉を待っていると、彼女は怒るんじゃなく何か紙を渡してきた。

 どうやら、怒られずに済むらしい。


「なんでしょうか、これは?」

「今日転校してきた生徒たちの名前と割り振られたクラスです。あなたには必要だということで、アリス様から神崎さんに渡すように言われていたのです」


 さすがアリスさんだな。

 俺がこの後如月先生に頼んで調べようとしていたことを、先に準備してくれていたなんて。


「ありがとうございます。それではホームルームに遅れるのでもう戻りますね」

「お待ちください」


 そろそろ教室に戻らないとまずいと思った俺が急いで職員室を出ようとしていると、青木先生に呼び止められてしまった。

 俺が困った顔で彼女を見ると、彼女は笑顔で返してきた。


「あなたの担任の先生は、まだそこにいますよ。ですので、問題ありません」

「……何してるんですか、如月先生……?」


 俺は、泣きそうな顔で部屋の角で落ち込んでいる如月先生に声をかけた。

 さっきまで、存在に気付かなかった……。


 俺が声をかけると、如月先生がムスッとして俺の顔を睨んできた。


「誰のせいで、こうなったと思ってるの?」

「……俺、何かしましたか?」


「始業式が終わった途端あんな大騒ぎを起こしたから、騒ぎの中心である神崎君とアリスさんの担任で、桃井さんが所属する生徒会の顧問でもある私が怒られたの! 教頭先生に!」

 どうやら如月先生は、俺たちのせいで怒られたからご立腹のようだ。

 しかし、それだけであんな涙目になるのだろうか?


 というか、俺が連れて来られる前に怒られてたってことは、俺たちが騒ぎの中心だということを学園側はすぐに気付いていたということだよな?


 学園で有名な咲姫や、平等院財閥のご令嬢で転校してきたばかり――しかも、学園内に三人しかいない金髪のアリスさんが目立つのはわかるけど、なんで俺のことまでバレてるんだ?

 如月先生が自分で言ったんだろうか?


「神崎さんは、既に問題児として教師の間では噂になっているみたいですよ? 今日赴任してきたばかりの私も、『よく目を光らせておくように』と言われましたので」

「……」


 俺はあまりのことに、言葉が出てこなかった。

 どうして何もしていないのに、問題児扱いされないといけないんだよ。

 絶対雲母がまとわりついてくるせいだろ……。


「それと、如月先生が涙目になっていたのは、神崎さんたちのことで怒られるついでに、日頃の態度について怒られただけです。巻き添えみたいなものとはいえ、自業自得ですので、お気になさらないでください」

「あぁ、はい。そうですね、気にしません」

 確かに悪いことをしたなとは思うが、教頭に目を付けられてるのはポンコツ教師の日頃の行いだから仕方がない。

 

「ちょっとちょっと!?  (まな)ちゃんだけでなく、海斗ちゃんまで酷い! 今日の宿題海斗ちゃんだけ一杯出してやるんだから!」

 俺たちのやりとりを聞いていたポンコツ教師が、頬を膨らませて涙目で拗ね始めた。


 そんなポンコツ教師に俺たちは――

「いえ、宿題を出すのは教科ごとの担当教師であって、あなたにそんな権限はありません」

「次この学園で『青木先生』と呼ばなかったら、この学園にあなたの居場所はなくなります」

 と、バッサリ切り捨てた。


 俺が言うのもなんなんだが、青木先生優しそうな見た目をしてるくせに言う事容赦ないな……。

 さっきまで俺相手に優しい言葉遣いをしていたのが嘘のようだ。


 ……そういえば前にこの人、アリスさんの命令で俺のことを平気で殴ろうとしてた事もあったな……。

 うん、優しそうな見た目で油断してたけど、警戒しておこう……。


 まぁそれはそれとして、ポンコツ教師が涙目で青木先生に抱き着いているから、今のうちに教室に戻ろう。

 青木先生の用事は、また後で聞けばいいだろう。

 俺はそう結論づけると、職員室を出た。


 教室に戻る最中、青木先生から貰った紙に目を通すと――俺は頭を抱えた。


 カミラちゃんが転校してきたクラスは、桜ちゃんのクラスだった。

 これはいい。

 大方予想通りだ。

 そして、青木先生がこのクラスの担任になっていることから、おそらく彼女はカミラちゃんのストッパー役として一年生の担任にされたんだろう。


 問題は――咲姫のクラスに、春花と鈴花さんが入ってしまったということだ。

 どう考えても、この先問題が起きる気しかしない。

 

 春花はともかく、鈴花さんを咲姫と同じクラスにしたのは絶対アリスさんだろうが……一体何を考えてるんだ、あの人は……。

 

 他の転校生たち八人は、どれも聞いたことがある会社の社長令嬢ばかりだった。

 ただ、大なり小なり会社の規模に差はあるが――全員IT系の会社を持っていて、平等院システムズと関係がある会社ばかりだ。

 

 中には俺が取引をした会社もある。

 

 ……全く、妙なことになってきたものだ。

 俺がKAIだとバレることがなければいいんだが……。


 次から次へと心配事が増え、俺はいつか倒れるんじゃないかと思うのだった――。

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