第111話「意外な助っ人」
読み専(?)の AYA8 さんからレビューを頂きました!
ありがとうございます!
率直な意見を述べて頂いたレビューになっております(/・ω・)/
良い点と悪い点を述べられるという、本当にレビューらしいレビューだと思います!
まぁ、ネコクロの作品にはそういう意見が出る事もわかっていましたが、これからも頑張っていきます!
「はぁ!? カミラちゃんが襲われた!?」
アリスさんからカミラちゃん達の状況を聞いた俺は、思わず驚いた声を出してしまった。
そんな俺の問いかけに、アリスさんは深刻そうに頷く。
「カミラちゃんって、神崎君達と一緒にアメリカに来たって子ですよね? 一体どうしてそんな事に……」
俺の横で腕を組んで話しを聞いていた黒柳君が、右手を口に当ててアリスさんに尋ねる。
黒柳君の問いかけに、アリスさんは首を横に振った。
一瞬理由が分からないのかと思ったけど、そうではないみたいだ。
その事は、アリスさんの次の言葉でわかる。
「詳しくは後で話す。今は、あの子達の安全を確保するのが先」
アリスさんのその言葉に、俺と黒柳君はお互いの視線を交わせて頷き合う。
アリスさんの言うとおり、今は理由を突き止める前にカミラちゃん達を助けるのが先だ。
それにアリスさんが後で詳しく話してくれるという事は、この人は理由を知っているという事だ。
だから、その事は後で聞けばいい。
しかし……だからと言って、どうする……?
助けに行こうにも、カミラちゃん達の場所がわからないんじゃあ……。
「カイ、これ返す」
俺が考え込んでいると、アリスさんが何かを俺に差し出してきた。
一体何かと確認してみると、アリスさんが渡してきたのは俺のスマホだった。
あ……そういえば、アリスさんの別荘に行って以来、俺のスマホはアリスさんが持っていたんだった。
朝から晩まで走らされ続けていたから、スマホの存在なんてすっかり忘れていた。
だけど、彼女がこのタイミングで俺にスマホを渡してきた理由はわかる。
今、カミラちゃん達の傍には桜ちゃんが居る。
だからこのスマホがあれば、カミラちゃん達の位置がわかるのだ。
「すぐに居場所を確認します」
俺がアリスさんにそう言うと、彼女はコクリと頷いた。
俺はすぐにスマホを立ち上げる。
すると、連絡をくれる相手なんて数える程しかいないはずなのに、かなりの量の通知が来た。
だけど今はそれを見る暇はないから、ほっといて桜ちゃんの位置情報を取得する。
そんな俺達のやり取りを、黒柳君は不思議そうに見ていた。
「カイはね、かなりのシスコンだから、妹の位置をいつでもわかるようにしてるの」
「え……」
桜ちゃんの位置情報を俺が取得していると、なんだかアリスさんの悪意ある言葉が聞こえてきた。
当然、そんな言い方をされた黒柳君は戸惑っている。
「ちょっ、なんでそんな言い方するんですか!?」
これ、完全に引かれただろ!?
というか、こんな切迫した状況で言う事でもないだろ!
俺は心の中でそう叫ぶが――もちろん、アリスさんに直接言ったりはしない。
だけど、黒柳君は予想外の言葉を呟いた。
「いいなぁ……」
「……え?」
意外過ぎる黒柳君の言葉に、俺は思わずスマホから視線を外して彼の方を見た。
今黒柳君、俺の事を羨ましがったのか?
え、もしかして、妹の居場所が常にわかる事を羨ましがったの?
「カイ、手が止まってる。……全く……カイもクロも、シスコン過ぎて困る……」
「「す、すみません……」」
俺はスマホから意識を外してしまった事を――黒柳君はこの状況に相応しくない態度をとった事について、アリスさんに謝った。
そっか……黒柳君ってシスコンだったのか。
そういえば、病院で彼の過去について話しを聞いていた時も、妹の話は惚気に近かったな……。
俺は意外な共通点を見つけてしまい、黒柳君に親しみを感じた。
……てか、アリスさんも十分シスコンだよな……?
だって、アリアに凄く甘いし。
……今の雰囲気でそんな事言えないけど……。
まぁ、スマホから意識を離していたといっても、桜ちゃん達の居場所はもうわかってる。
だから、その事をアリスさんに告げる。
「桜ちゃん達の居場所がわかりました」
「ありがとう。なるほど、ここにいるんだ……」
俺からスマホを受け取ったアリスさんは、一人画面を見てそう呟いた。
アメリカについては全く詳しくないけど、俺の位置情報から桜ちゃんの位置情報の距離間で計算すると、結構離れた位置に彼女達は居た。
「どうするんですか? 流石にここから合流するとなると、時間がかかると思いますが……」
「大丈夫、助っ人がもうすぐ来る」
アリスさんがそう言った時、車のクラクションが鳴り響いた。
俺達がそちらを見ると、白い高級車が一台停まっており、中から一人の女性が降りてきた。
その女性は真っ直ぐ俺達を目指して歩いてきている。
「相変わらず、早いね」
アリスさんはその女性を見ると、笑顔を浮かべてそう呟いた。
今こちらに向かって歩いて来てる女性が、アリスさんが先程言っていた助っ人みたいだ。
歳は――二十代くらいか?
アリスさんのような綺麗な金髪をしており、若くて綺麗な人だった。
『久しぶり、アリス』
『うん、久しぶり。来てくれてありがとう、ママ』
アリスさんはそう言うと、その女性にハグをした。
……え!?
「マ、ママ……?」
流石に英語が話せないとは言っても、さっきアリスさん達が交わした会話程度の英語なら聞き取れた俺は、アリスさんが女性に対して言った言葉に驚いた。
いや、俺だけではなく、黒柳君も驚いている。
「ん? あぁ、日本の子なんだね。じゃあ私も日本語で話をしよう。改めて、アリスの母親のマリアだ」
「「あ、あぁ、どうも……」」
自己紹介をされてもなお、こんなに若い女性がアリスさんの母親と信じられない俺達は、全く同じ態度でマリアさんに挨拶を返してしまう。
いや、確かに見た目はよく似ている。
綺麗な金髪や顔の形はアリスさんそのものだし、目なんてアリスさんの双子の妹である、アリアにソックリだ。
しかし、これならお姉さんと言われた方が全然シックリくる。
「あ、あの、アリスさん……マリアさんって何歳ですか? ちょっと若すぎません……?」
俺が思わずアリスさんに尋ねると、口を開こうとしたアリスさんの口を抑え、マリアさんが答えてくれた。
「嬉しい事言ってくれるね、君。だけど、女性に年齢を聞くのはNGだぞ?」
マリアさんは、笑顔でそう言ってきた。
笑顔なのになんだか並々ならぬ雰囲気を感じ、俺は思わずコクコクと頷く。
多分この態度、見た目が若く見えるだけで、実際は一般的な高校生の母親くらいの歳なのだろう。
しかし……まさかあの平等院社長の奥さんが、こんなに若く見えて美人な人だとは……。
いや、実際アリスさんやアリアは美人だし、この人の気は強そうだから、平等院社長にお似合いなのかもしれないが……。
――とはいえ、なんでアメリカに居るのかとか、どうしてこのタイミングで呼んだのかと色々な疑問が浮かんでくる。
「言ってた物、持って来てくれた?」
俺が考え込んでいると、アリスさんがマリアさんに声を掛けた。
「あぁ、持ってきたさ。車の中に置いてあるけど、どうせこのまま車で移動するだろ?」
「うん、お願い。カイ、クロ、とりあえず、後は車で移動しながら話をしよう」
黒柳君と俺は、アリスさんのその指示に従いマリアさんの車に乗る。
「はい、アリス。こんだけあればいいんだろ?」
「うん、十分。性能はどう?」
「うちの組織でトップクラスのを持ってきたさ」
「それは凄く有難い。本当にありがとう」
「いいさ、可愛い娘の頼みだからな」
車に乗ってすぐ、マリアさんとアリスさんがそんな会話をしていた。
最後の辺だけを聞けば微笑ましい会話に聞こえるけど、組織ってなんだ?
ここ最近いろんな事に巻き込まれすぎてるけど、なんだか一段と危険な香りがする……。
もう今までの平穏な生活は何処に行ったんだと聞きたくなるくらい、ここ最近俺は変な事に巻き込まれすぎている。
いい加減、嫌になった。
日本に帰ったら、最低でも夏休み中はもう家から出ないようにしよう……。
俺が一人そう考えていると、アリスさんがノートパソコンを俺に渡してきた。
「カイ、死ぬ気で頑張ってね」
「は……?」
なんだか不穏な言葉を言ってきたアリスさんを、俺は首を傾げて見つめてしまう。
すると、アリスさんがゆっくりと口を開く。
「今からしてもらう事はね――」
アリスさんはこれから俺がする事を指示してくれたが――その内容に、俺は苦笑いしか出てこなかった。
「ま、まじですか……?」
「カイならできるでしょ?」
そんな事を言うアリスさんの瞳は、俺の目を真っ直ぐ見据えていた。
その瞳から伝わってくるのは、俺の事を信じているといった意志。
アリスさんからそんな瞳を向けられた俺は、覚悟を決める。
「……あぁ、もう! わかりました、やりますよ!」
別に、やる事自体は実際問題ない。
俺が凄く大変ってだけで……。
しかし、それで桜ちゃん達が助かるのなら、やってやる!
俺はそう決意すると、ノートパソコンを立ち上げてキーボードを必死に叩くのだった――。
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