表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/48

故郷へ

第二章 建国編(仮)ですー。

ちなみにいま、剣黒変と誤変換されましたーw

……なんで?(汗)

いつ何処で学習したの?(大汗)

 月の奇麗な夜だった。


 魔の森……そう呼ばれているこの一帯にも、月は淡く優しく降り注ぐ。


 月の光は、向かい合って立つ男女を優しく照らしていた。


 静かに語り合う二人を気遣うように……今夜は風もなかった。


「そう……マークト、あなたはニホンと言う国から来たの……」


 夜の静けさを壊さないよう気遣っているかのように、ハイファは静かに……自分の真正面にいるマークトに応じた。


 その言葉に……マークトもまた、静かに答える。


「………ああ。


 異世界……そう、【この世界】とは【異なる】世界。


 そこから、僕は来たんだ。


 ……ごめんな、ハイファ。 今までずっと黙ってて………」


 言いながらマークトは……目の前の少女に静かに頭を下げる。


 それに慌てたように、ハイファは前に進んで……マークトの手を取った。


「……ううん、そんなことは気にしてない。


 私もあなたに、【血筋】のことを隠してたし……私の方こそ、あなたに謝らないといけないわ。


 ごめんなさい……あなたをずっと騙してて。


 そしてずっと……あなたの事をずっと好きだったのに。


 素直になれなくって……子供みたいな強がりばかり言ってしまったわ。


 本当に、ごめんなさい……今までずっと……そしてこれからも大好きよ、マークト」


 真剣な表情で……瞳を潤ませながら、ハイファは真っすぐにマークトの瞳を見つめていた。


「………」


 そしてマークトもまた……静かな表情で、ハイファの瞳を見つめるのであった。

 その内心で、マークトは超焦っていた。


「(やばい………ハイファ、超デレてる!!


 【あれ】からずっと……ずっとデレてる!!


 え? え? なんで急にこんなコトに!?


 何そんなに熱い目で見てんの?


 なんでそんなに物欲しそうに瞳うるうるしてんの?


 どうしてそんなにオッ(und)パイプルーン(betrogen)プルン(worden!)してんの?(混乱)


 ……ちゅーなの?


 ……ちゅーしようっての!?


 どうしてそんなにデレちゃってんの!!??


 つ、ツンデレって……【ツン】と【デレ】の二面が交互ぐらいに来るんじゃないの!?


 そ、それが……【ツン終了のお知らせ】とばかりにずっとデレてる!?


 昆虫の脱皮かってーの!!


 昆虫の脱皮……いわゆる、【変態】!?


 つ、つまり……【ツンデレ】と【HENTAI】は同義語という事なのか……っ!?)」


 爆乳ツンデレツインテ幼馴染さんの急激な変化に、平静を装いながらも【状態異常:大混乱】にあるマークト君。


 一応注釈しておくと。


 【ツンデレ】と【HENTAI】は同義語ではないが、親和性は高い。

 なお、マークトの言う【あれ】とは……当然、プロポーズ直後の大混乱である。


 意を決して自分の思いを伝えたハイファは……それからずっと【状態異常:デレ】である。


 よほどのことがない限り、それは解除できないであろう……つける薬が、ないのだ。


 ちなみに……マークトは知らなかった。


 知らない世代だった。


 【ツンデレ】とは、今の世でこそ、マークトの言う通り、【ツン】と【デレ】の二面性を持つ人物、あるいはその状態を指すが………昔は【初期症状はツン、やがて末期症状のデレ】という、不治の病を指す言葉だったのだ。


 言うなれば【慢性ツンデレ症候群】に、【ステージ移行型ツンデレ症候群】。


 ハイファさんは、後者であるらしかった。


 で。


 マークトは今まで見たこともない、ハイファの恋愛麻疹はしか状態に、大いに戸惑っているのだった。


 そしてその好意は全て……マークト一人に向けられていたのだ。


「(お、落ち着け、僕。


 そ、そう……僕はもう、プロポーズしたじゃないか。


 いまさら、ち、チューぐらいで、な、何をそんなにうろたえているんだ、僕。


 まるで【ヘタレ】の【テンプレ転生者】じゃないか……あっ」


 そこに思考が及んだところで……マークトは、ふと我に返った。


「(……そうだった。 僕、【テンプレ転生者】だった。


 てことは……)


 ……おい、ミリア、リリア、やめろ」


 不意にマークトは、鋭く制止の言葉を口にした。


 その言葉に……夜陰の中、二つの気配が大きく動いた。


「「 ……… 」」


 がさり。


 【魔の森】の木陰から……二人の少女が歩み出ていた。


 マークトの言葉通り、それは彼の義理の妹の双子……ミリアとリリアだった。


 夜陰の中、同じようにくらい目を見せながら……ぼそり、と呟く。


にー……さすがは【勇者】……私たちの気配を察するなんて……」


にー……いくらにーが【勇者】だったからって……それで即にーねーの交際を認める訳にはいかない……」


「そう……いくらにーが【王国復興】に手を貸すと言っても……とーさまがそれを受け入れるかどうかは別問題……」


「せめてとーさまの許しを得るまで……私たちは、ねーの操を守らないといけない……」


「「……そう、仕事だから仕方ない……」」


 朴訥な口調で、静かに言う妹ズ。 最後は奇麗にハモっていた。


 それに、マークトはため息をついた。


 二人の言葉の内容もそうだが……マークトは、自分が【テンプレ転生者】であることに、歎息を隠せなかった。


 それはまさしく【テンプレ】……【肝心のところでHなチャンスを逃す】ということ。


 言うまでもない事だが………マークトが夜陰に潜んだ二人の行動を制することができたのも、【テンプレ】だからである。


 【どうせ邪魔が入る】……そんな気がしたのである。


 馬鹿馬鹿しいようだが……彼は【テンプレ転生者】。


 彼は、まさしくそういう人生を送ってきたのだから。


「だからお前ら……わかったから。


 ナイフを仕舞え!!


 いいかげん、僕の頸動脈を人質に取ろうとするんじゃないよ!?」


「「 ……… 」」


 マークトに行動を見抜かれ、完全に機先を制され……妹ズは憮然としながらマークトに従った。


 その光景に、マークトはようやく安堵のため息をついていた………どう見ても、疲労の色が隠せていなかった。


 なお。


 【テンプレ】は…………まだ終わっていなかった。


「な、なによ、あなたたち……ずっと見てたの!?


 も、もう!! 知らない!!」


 そう言ってハイファが『きー』とぷんすこして見せる。


 ここまでが、【テンプレ】であった。

 と……テンプレ御一行四名様に、不意に声をかける者がいた。


「全く……あんたたちは、夜中になにやってんだい……。


 ここは【魔の森】だよ?


 まあ、私たち三人は今更だけどさ。


 あんたたち四人は、レベルもまだ低いんだ………油断してると、本当に死んじまうよ?」


 呆れたように言うのは……鈴木さん@山田さんの肩の上。


 つまり、【ダークエルフ】山田さんの肩の上に座った小人コロポックル鈴木さんだった。


 鈴木さんの言葉に、【ダークエルフ】山田さんは苦笑を見せながら応じる。


「まあまあ、鈴木さん。 いいじゃないですか。


 我々がいるんですから、【滅多なこと】にはならないと思いますよ」


「そうじゃな。


 仮に【滅多なこと】になったとしても、山田君の【闇魔法】があるからな。


 はて……【死霊術ネクロマンシー】だったかな?」


「【死体使役(クープードル)】ですよ。 つまり、【ゾンビ作成】。


 【滅多なこと】になっても……自分の足で歩くことはできるようにして差し上げますから」


「まあ自分の意志じゃあないんだけどね」


「そりゃそうですよ、ゾンビなんですから」


「「「わーっはっはっは」」」


 いつの間にか混じったドワーフ佐藤さんも交え、三人は昔の日本映画のように【どっと笑い】を見せていた。


「「「「 ぞ、ゾンビ化って…… 」」」」


 年上三人のブラックな【どっと笑い】に……マークト一行は、ドン引きしていた。

 説明が遅れてしまったが……マークト一行四人と鈴木さんたちのパーティ三人は今、【魔の森】の中にいた。


 マークトたちは自分たちの故郷に帰省、鈴木さんたちはその護衛である。


 単独パーティでは【魔の森】を抜けるのが精一杯のマークト一行、その護衛を務めているのが鈴木さんたちである。


 ちなみに今は、野営中。


 【日本製】のレトルトな夕食も片付き、そろそろ不寝番を決めようかというタイミングであった。


 なお……移動手段は、徒歩であった。


 もっと文化的で文明的な移動手段はないのかと問いただすマークトだったが……帰ってきた返事が、『健康の為』、だった。


 【日本人】は……確かに運動不足に陥りがち。


 呆れつつも思わず納得してしまったマークトであった。


 『あとは……気分の問題』、そう言った鈴木さんは【異世界生活】を満喫しているようだ。


 で。


 ……なぜ、故郷を目指しているのか。


 それは……【例の計画】の下準備をするためである。


 【例の計画】……つまり【王国再興】。


 【異世界日本人村】の有志のバックアップにより……ハイファ達の悲願、【王国再興】が成されようとしていた。 ほんのイベント感覚で。


 暇を持て余した百人規模の【勇者】の【遊戯】が、静かに始動しようとしていたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=409226581&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ