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お知らせ

多分、ここから次章という事になるかと思います。

 唐突だが、恐ろしいお知らせがある。


 マークト君が……プロポーズしました。

 ………彼的に、それはいろいろ妥協した結果だった。


 まず第一に……彼の性的嗜好ファンタジスタは、封印されることになった。


「まあしょうがないよな……僕も実年齢は三〇越えたし。


 社会に適応して……いつまでもロリロリ萌え萌え言ってられない訳だし。


 【現実】と折り合いをつけないとな、ははは…………あ、あれ?


 なんかさっきからじんわりと視界がぼやけて………………視界が赤いんですけど……?」


 そう言って彼は、血の涙を流したという。

 そして思い出す……先日のバイオレンス白髪【後期高齢者】の言葉。


 『なにせ……最悪は、お前さんの連れも含めて、【機密保持】を実行せねばならんかったから。


 一応、【外部】には、この村の事は秘密だからの』


 どう考えてもバイオレンスハゲエルフの関係者と思しきバイオレンス白髪【後期高齢者】は、対戦車ライフルだか重機関砲だかよくわからない武器を携えて笑顔でそう言った。


 要するに、【異世界日本人村】の存在を知る【外部の者】は、機密協力者以外始末する、という事だろう。


 この場合始末される対象に該当するのはマークト一行……マークト本人と、爆乳ツンデレ幼馴染さんと、爆乳予備軍妹ズの四人。


 始末すると言われても、抗うしかないが……抗う術がない。


 この四人が束になっても、この【異世界日本人村】の村人一人にさえ倒せないのだから。


 なぜならこの村のほとんどの人口が……古竜エンシェントドラゴン種の【織田信長】を筆頭に、古参の【日本人転生者】と【日本人転移者】で占められているのだから。


 仮に村人を一人や二人倒したところで……【倍返し】どころか一族郎党根絶やしにされるレベルの報復を、しかも片手間で実行されるだろう。


 ということで……マークトはこの村の【関係者】となることを選んでいた。


 つまり、この村に移住し、この村の【村人】となること……それは、身の安全を確保するためだった。

 そうなると、立場が微妙になってくるのがヒロインズである。


 マークトがこの村の【村人】となって身の安全を確保したところで、彼女たちの立場は?


 ただの【幼馴染】であり、【血のつながっていない妹】たち。


 【関係者】と見なされるには、少し【縁】が弱い。


 そのため、マークトを残してこの三人が出て言ったら【機密保持】のため……最悪、彼女たちは始末されてしまうかもしれない。


 考えすぎかもしれないが……それを実行できる人間たちがアホほどいる状況で、【大義名分】を与えてしまう訳にはいかなかった。


 それゆえに………マークトは決断した。


 それが、爆乳ツンデレ幼馴染さんとの婚姻である。


 【村人】の【嫁】とすることで、彼女の立場を明確にし、安全を確保するためだ。


 妹ズは……まあ、【義理】とはいえ妹、親族として押し通すしかない。


「(……まあ、順当な選択だよな。


 付き合いも長いし……何より、あの爆乳に【この若い身体】の方が反応しちゃうんだよな。


 僕のロリコンに反してまでも。


 気心も知れてるし……アイツで【妥協】するしかないな……。


 ああ、これで僕も人生の墓場入りかぁ……」


 マークトは、とんだ下衆野郎であった。


 いや……爆乳ツンデレ幼馴染さんよりもむしろ、マークトの方が【ツンデレ】だったのかもしれない。

「ハイファと……結婚しようと思う」


 【異世界日本人村】の【中古住宅】に入居したその日、マークトは三人の目の前で宣言していた。


 畳の敷かれた居間。


 長座卓に四人分の座布団があり、そこに座る【西洋人】が四人。


 上座に座り、なぜか【新大阪】と書かれた湯飲みで、マークトが熱いお茶を飲んでいる……よく考えれば、奇妙な空間であった。


 マークトのその発言が、その空間に静かに響いていた。


 静寂が、数秒。


 やがて……爆発した者がいた。


 ハイファと呼ばれた………爆乳ツンデレ幼馴染さんであった。


「はぁ!? はああ!?!?


 な、何なの!? なに言ってんの、マークト!!??」


 ずがん!!


 冬には裏側にヒーターを取り付けられこたつ机になると思しき長座卓に足をぶつけながら、爆乳ツンデレ幼馴染さんは立ち上がって叫んでいた。 真っ赤っかの顔はデフォである。


 応じるマークトは……静かに答える。


「冗談で言ってる訳じゃないし、ふざけている訳でもないんだ。


 僕には……僕たちには、それ以外の選択肢が、ないんだ。


 わかって欲しい(じゃないと……抹殺されるかもしれないしね)」


「せ、せ、選択肢がないって……え? ええ!?


 そ、それって……私だけ………ってこと……?」


 言葉の後半、消え去りそうな口調で、爆乳ツンデレ幼馴染(ハイファ・ピアス)さんは問い返す。


「ハイファ以外、ほかに、誰がいるってんだ……?


(さくらちゃん? NO! 後ろ髪はひかれるけど……それだけは絶対NO!)」


 すっとぼけた口調で、素で問い返すマークト。


 こいつだけは、本当に人間の屑である。


 だが……その言葉の『こうかはばつぐんだ』った。

「………っ!!」


 心臓を射抜かれたように……ハイファは言葉を詰まらせた。


 言葉を詰まらせ、目を見開いた。


 そしてその奇麗な瞳が、大きく揺れた……熱い、温度を持った涙で潤ませながら。


 しかし。


 マークトを射抜くように捉えていたその視線が、不意に大きく反らされていた。


 ハイファが、顔を伏せてしまったからだ。


 その動作に……それまで目蓋に留まっていた涙が、頬を伝って畳の上に落ちた。


「………本気、なの?」


 静かな問いかけ。


 それに、マークトは真顔で応じる。


「『本気』ってそれは……何に対して?」


「だ、だから……っ!! わ、『私でいいの』って……そう聞いてるのっ!」


「『それ以外の選択肢がない』って言ったはずだけど?」


 ばっ!!


 マークトの返答に、ハイファは勢いよく顔を上げる。


 その顔からは……冷静さが、完全に失われていた。


 そして……状態異常【目がナルト】に陥っていた。


 そして……状態異常【頭から湯気】も併発していた。


「ああっ、あのっ!? あのあのあのっ!?


 私、わたし……私っっ!! か、家事とか下手だしっ!!


 す、素直になれないしっ!!


 じ、実は……寝相わるいしっ!! 軽くイビキをかくらしいしっ!!


 ね、寝相!? 寝るって……ああっ、私何を言っちゃって……もうわけわかんないしっ!!」


「落ち着け、自爆してるから。


 いいから、落ち着け」


「……ぁぅ……っ!!」


 両手を顔に当てて、再び下を向くハイファ。


 和室の居間に、沈黙が舞い降りた。


 その静寂の中を……ハイファが小さく、「ぅー……」と唸っている。 唸り続けている。


 やがてハイファが、沈黙した。


 そして……ハイファはもう一度顔をあげた。


 潤んだ瞳で……縋るような瞳で。


「そ、それに私……まだ、聞いてないし」


「……なにを?」


「ま、ま、マークトが……『私の事をどう思ってるか』って。


 一五年間……一度も……聞いたことが……ない……し………っ………」


 そのハイファの言葉は……誰にも聞き取れないくらいに小さく、そしてかすれていた。


 それは誰しもそうなのだろう。


 自分の知らない事、それを誰かに聞くときは……自信がなければないほど、それが大事なコトであればあるほど、声が小さくなってしまうものあった。


 それは、爆乳【ツンデレ】幼馴染さんの……それは一五年越しの問いかけ。


 その問いかけに……マークトは、力強く答えた。


「知らなかったのか?


 そんなこと………言うまでもない事だろ?」


 ある意味日本男児らしい、すがすがしいまでに抽象的な答えだった。

 だが『こうかはばつぐんだ』った。


「……ズルイ……そんな言い方って……」


 そう言ってハイファは……雄か雌かで言えば、少なくとも雄じゃないんじゃないかなーという表情をしながら顔を反らし、拗ねたようにマークトの顔を横目で見た。 チラッチラ見た。


 視線でいくら催促しても続報が来なかったため……ハイファは、ため息をついた。


 そして思い起こす……この一五年間を。


 一度も自分の事をどう思うか言ってくれたことは無かったが……もしかしたらこの先もそうかもしれない。


 それでもいいと、ハイファは思った。


 もし自分が【勘違い】していたとしても。


 目の前の男の気持ちがもしかしたら……自分の【勘違い】だったとしても。


 ずっとそばにいられるのならそれでいい……その確信で、ハイファの言葉は決まった。


 ハイファは、その言葉を口にした。

「はい………はい!!


 マークト・ケィ・ドゥーイン、あなたの婚姻の申し込みを、私、ハイファ・ピアスは……っ!!」


 そこから先の言葉を、ハイファは言えなかった。


 喉元に、短剣を突き付けられていたからだった。


 そしてそれは、マークトにも付きつけられていた。


「「 !!!??? 」」


 愕然とする二人。


 その二人の目の前で……マークトの双子の妹たちが、真剣な表情を見せていた。


「「 ………………… 」」


 そして、ある種の決意を秘めた目で、マークトとハイファにそれぞれの短剣を押し付けていた。

「な………っ!? …………」


 マークトは、一瞬で理解していた。理解させられていた。


 双子の妹たちの、本気。


 挑発ではない、脅迫の制止。


 それは……短剣に込められた力であった。


 それに……【喉元に刃物を押し付ける】と言っても、刃物の背や腹を当てているのではなかった。


 二人はすでに刃物の【先端】を皮膚に潜らせていた……すでに薄く血がにじみ出ていた。


 頸動脈を人質に取っている、と言っていいレベル。


 【デモンストレーション】ではなく……【刺殺寸前】と言った方が正しい。


 いったい何が起こっているのか。


 なぜ急に、こんなことになったのか。


 その急な出来事に……マークトは推察するのをやめた。


 素直に、問いかけることにした。


「……理由を聞こうか」


 肩の力を抜きながら、マークトは素直に問いかけていた。


 応じて双子の妹たちは……双子の義妹たちは、視線を一度だけ交わし合った。


 そして、一度だけ頷きあってから、口を開いた。


ねー………いえ、【姫殿下】。


 それ以上先は……口にしては……なりません……」


にーも……それ以上先は……ダメ……不遜……」


 必殺の凶刃を握りしめたまま、義妹たちは二人に命じた。


 その言葉に……二人の反応は分かれた。


「【姫殿下】……? それに、【不遜】って言ったか?」


「………………………………」


 無意識に問い返すマークトに……問い返しもせず、マークトから視線を反らして沈黙するハイファ。


 そして義妹たちも問いかけに応じなかった……室内に沈黙が落ちた。


 その状況に……マークトは思わず苦笑していた。


「おいおい……まさかハイファが実は【亡国の美姫】だったって訳じゃないだろうな?


 いくらなんでも、そんな【テンプレ】………」


「「「ど、どうして知っているの!!!???」」」


 三人の反応に……マークトは絶望した。


 彼の【テンプレ転生者】としての【人生】は、まだ【途上】であった。

妹ズの名前は、まだ考えてませんw

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