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冒険者の覚え書き:『加護』
『加護』
先天的な魔術の才能。一般的に『炎の加護』や『風の加護』などのように、使用できる魔術の種類とともに呼称される。
本来、魔術の修得には体系化された学問的知識の理解が前提であり、修得した魔術の行使には、魔術を組み立て安定化させる構築式の役割を果たす呪文の詠唱や魔法陣などの準備が不可欠である。
しかし『加護』を持つ者はその制約に縛られず、まるで手足を動かすのと同様に感覚的に魔術を扱うことができる。その理由は、魂の構造が魔術の構築式に酷似しているため。知識がなくとも、すでに構築式が魂に刻まれているので『加護』持ちは呪文や魔法陣に頼らずとも、魔術の行使が可能となっている。
ただし、『加護』持ちが行使できる魔術は魂の構築式に依存しているので『炎の加護』持ちが風や水といった別の魔術を使うことはできないし、逆もしかりである。
なお、一部の魔物が持つ特殊能力は、その魔物の種族が授かった『加護』なのではないか、という学説が発表されている。