冒険者の覚え書き:『迷宮見聞録』
『迷宮見聞録』
著者であるドランが、迷宮を探検した自身の体験を書き綴った手記。
生息している魔物の種類や対処法、薬効成分を有する植物の分布や効能といったことから、広大な地下森林の歩き方、地底湖を冒険する上での注意点、希少な鉱石が発掘できる鉱脈の位置など、階層ごとに異なる顔を見せる迷宮の情報が事細かに記されており、その情報は多岐に渡る。
出版当初は荒唐無稽な内容から人々に受け入れられず、空想で書かれた物語だと思われていた。人心を乱すとされて、焚書指定を受けたことも。
迷宮が発見されて以降は、記述された内容の正確性から冒険者にとって必携の書となった。現在では、有用な情報をまとめた改訂版が組合によって発行されている。
迷宮の創造主であり支配者である造物主と最深部で出会った記述が確認されており、『迷宮見聞録』を全て入手すれば迷宮の完全攻略が可能になると考えられている。
しかし、前述の理由から多くが散逸、焼失し、全十六巻の内、現存している書物はその内の九種類のみ。そのため、未発見の原書が発見されたならば、その価値は黄金と同価値であるとも言われている。