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この世界の崩壊と愛まで。  作者: 赤白雪
第一章 契約の始め
2/5

第1話 『 悪魔 』


「ーーー」


今まで真っ暗だった視界が一瞬にして

薄暗い荒らされた様な部屋を映す。


「また、ぼーっとしてたのね…」


そう耳に聞こえた声は、正しく彼女の声なのだろう。その声は、大人の様に低く色気のある品の良い声ではなく、子供の様な高い声であった。


「ーーパルポニ母様 。」


"パルポニ" それは、血の繋がっていない母の様な存在…いや、母である。

《このレゼット王国で最も美しい女性》

それが我が母か"パルポニ=レヴァリィ"なのだ。ちなみにその血の繋がっていない娘というのが、彼女 "エルゼ=レヴァリィ" である。


「パルポニ母様…パルポニ母様……」


彼女はずっと、そんな母の名前をずっと呟きながら、乱れた亜麻色の長い髪に薄汚れたベージュのドレスを身につけ その瞳は紫の死んだ瞳で 手には



ーー赤黒い液体が入った瓶を持っていた



「パルポニ母様…嗚呼、何ということでしょう…貴女様が…愛しの貴女様が、あんな船の事故で死してしまうとはっ!!!…私は悲しいです…」


彼女の瞳からは大粒の涙が零れ落ち、笑顔で赤色のチョークを床に走らせる


その顔は狂気に満ち溢れており、彼女の心の中はモヤが掛かったままだが、彼女はそんなの気付かぬまま、ただ自分の行動に自分の母様に対しての熱愛に溢れ尽くしていた


「パルポニ母様…今、私が…貴女を殺したこの世界を……」


ーー 滅ぼしてさしあげますわ。



その紫色の瞳には、光が何もさしていないにも関わらず、彼女は何かに目を輝かせていた。最後の言葉には間違いなく"殺意"が篭っていたのが感じられると共に、完成されたその赤色の魔法陣へ"赤黒い液体が入った瓶"が1滴注がれたのだった。


その瞬間の出来事は、簡単に説明できるものである。


1滴の液体が、魔法陣に辿り着いた途端

薄暗い部屋は次第に赤い光に包まれその光が消えてしまえば そこには人を喰い殺せる程の尖った牙"だけ"を持つ黒い"何か"が顔を出していた。


「お前が私を呼んだのか……?」


「嗚呼、私が呼んだのよ。悪魔様ーー」


そう、彼女は悪魔の召喚を実現させたのだ。

本来レゼット王国での召喚魔法というのは願いが叶うもので親しく好まれたものだが、それに虜になる人が続出し、実行されれば死刑という魔法である。


「この魔法を行ったお前は、ポリスに見つかれば一発死刑だが…勇気あるところは、我が大悪魔の名において…認めてやろう。」


「ククッ、大悪魔に認められただけで私は揺るぎませんわぁ。」


「して、お前。我が大悪魔を召喚したとなれば…願いがあるのだろう?」


そう。願い。

彼女は大悪魔の"願い"という単語を耳にした途端興奮が沸き上がり牙を光らせる大悪魔様に歩み寄りその口を開いた


「えぇ、私の望みは……この世界を壊すほどの力を手に入れることっ!!!パルポニ母様を殺したこの世界を滅ぼす為に!!!!」


「ほぅ…中々面白い願いだ。お前の育ったこの国を壊す力…初回限定サービスだ。有難く思え、人間。」



彼女は、今自分の頭の中に一つしかない言葉を大声で口に出した。

その声は甲高く、耳につく声だが…それと共に、大悪魔様には"揺るぎのない、本当の望み"だと心に受けた。



次の途端、彼女の身は赤色の炎に包まれ一瞬にしてだがその炎が消えた途端、彼女は何かが自分の中に生まれた感覚が身体中に身につくのを感じたことに驚きを見せた


なんだ、この身体が湧き上がる"もの"は

なんだ、この心臓の高鳴る"もの"は


なんだ、なんだ、なんだなんだなんだ、


ーー なんなんだ?


「何が起こったのか"疑問"のご様子だなぁ?人間。」


「実際…私に何が起こって………」


次に見た光景というのは、何故か"外"であった。だが、いつも出入りしている光景とはまた別であった その光景は黒い煙に包まれ鼻には何かが燃える匂いが伝わる


「おい人間。後ろを見たまえ…驚いて失神するかもな?」


そう、笑いながら彼女に指示を出す悪魔の声を聞き彼女はそっと、身体を後ろへと向けた次の途端見た景色はーーー



屋敷が、燃え盛りほぼ無くなった状態だった



「ッハハ!!、驚いたか?人間。ちなみに我は一つも手を出しておらん…ということは、分かるよな?」



「これを……私が…?」



「そうだ!!これをお前がやったのだ!!!…さて、お望み通りであるな?」



「っっ…はは……ハッハハハ!!!!ァーッハハハ!!ククッ、んっ、ハハハ!!!」



燃え盛る屋敷を目の前に彼女は笑いを我慢せず、炎にぶつけた。

彼女の瞳は映し出す炎に包まれ、口は裂けるほど開き 正しく"悪魔"であった



「いい笑い声を出すな?人間。まるで"悪魔"だ。気に入ったぞ…?」



「気に入ってもらえるのはとても光栄…だが大悪魔様…聞いていただきたいの…」



下を向き、甲高い声で大悪魔様に一つ申し出る。その言葉を聞いた大悪魔は、少し疑問を生み " なんだ " という形に返答してみれば

彼女の顔が狂気に満ち溢れそれと同時に快感を感じたかの様な顔を浮かべ 一言。



「もう一つ 、お願いをしたいの!!!」



その一言を聞いた悪魔は、少し驚きを見せた。それもそのはず、悪魔に願い事を二つもする輩など、この世では珍しいものなのだから。



「おい人間。お前は餓鬼だから分かんないかとしれない…だから言っておく。一つ目は初回限定サービスでタダであるが…二回目となると"代償"が必要だぞ?」



「そんなのとっくに、知っているわ…それを踏まえて聞いてるのよ!!」



「そうか…なら聞かてもらおう。では人間、お前の願いはなんだ…?」



「……" 大悪魔様を仲間にすること "」



「我を…か?」



「ええ、大悪魔様を召使みたいなものにしたら…今後便利でしょう?扱える道具は扱うもの。」



「ククッ…ッハハ!!、お前…気に入った。その願いの代償…払ってもらおう。」



その大悪魔様の言葉を耳にした途端

彼女の左腕は吹き飛び、一瞬にして彼女の立つ周りは赤黒い液体の海となってしまった。



「ッッウァァァ!!!! ック…クク…ハハっ!!…ッハ……。」



彼女から発した声は、甲高く悲鳴のように聞こえるが、でも大悪魔様には " 感激 " と受け止めた 。



「 ーーまた、面白い主人を見つけた。」



******************



次に目が覚めた所は、小綺麗で

木の匂いが染み渡る個室のベッドであった。


「ーーー」



「目が覚めましたでしょうか?お嬢様。」



その声は、何処かで聞いたことがあるような…いや、聞いた声であると、はっきり分かった。ついさっきの記憶で聞いた声。



身体を起こし、乱れた髪を少し手ぐしで整え

声のする方へ顔を傾けた途端そこには ーー


黒の清楚な召使服を来た、一本結わえの黒髪であり、真っ赤な瞳を輝かせた男性が黒の手袋をはめたその長い綺麗な手を彼女へと差し出す。



「召使というものは、こんな感じだろ?人間。」



「やっぱり、大悪魔様か…いや、私の"召使"となったのだから…悪魔ではなく、名前で呼ばないとね…?私も貴方も。」



「ーーでは、人間の名前を聞こう。そして俺には名前は無い…貴様が決めろ。」



「では、 "ガルネット=ヴァンピィ" これでいきましょう…そして私の名前は" エルゼ=レヴァリィ" 好きに呼ぶといいわ。」



そう、彼女は彼に命名した。

ガルネット=ヴァンピィ、それは何の思い出の名前でも、何か憎ましい名前でも何も無い。ただ、彼女の中でふと浮かんだ"名前"

なのだった



「ガルネット=ヴァンピィ……いい名前だ。そして、2人の間は "エル" そう呼ぼう…親しみやすいだろ?大悪魔様から親しみやすさ前提に呼んでやるんだ、感謝しろ。」



「召使という立場のくせに偉そうですわっ!!、ふんっ!では、私は"ガル"と二人の間でも人前でもそう呼びますわ!…主人にそう呼んでもらえること…有難く思って?」



「…だが、元の立場は大悪魔と金持ちな餓鬼だ。主人になったくらいで偉そうにするな、エル。」



ガルネットは、彼女の両頬を親指と人差し指でつまみ上げ 楽しげな表情で顔を近づけ続ける。それに腹を立てた彼女は眉間に皺を寄せ召使の手を振りのけ 顔を逸らしたのだ。



「でも、今の関係は主従関係。そんな主人の頬を強く摘む召使がおりますこと!?…ふんっ!…そんなことより、ここはどこですの。」



そんな、馬鹿みたいな会話や行動をし終えれば、お屋敷は彼女の力によって炎に包まれ燃えてしまったはずなのに、起きたこの見慣れない屋敷について話を聞いてみたのだ



「ここは、悪魔の屋敷…と呼ばれるものだ。先代の悪魔が作った屋敷。見えないが…悪魔の力が宿る屋敷と、別名ではそう言う。何を宿ってるか、というと…一生錆びず、腐らずこの綺麗なまま保たれる力だ。」



そんな言葉を耳にした彼女は、少々の微笑みを見せ 乱れた髪…そして乱れたドレスのまま

濃赤に染まった綺麗な絨毯を踏み、この個室から出ていく、その背後には召使も。



廊下は、真っ白な木造の屋敷である事を把握すれば彼女は満足そうな笑を見せ

陽が当たり、煌めいている廊下の中心に立ち後ろを振り返り背後に立つ召使に対して

悪意な笑を浮かべ 右しかない腕をめいいっぱいに広げこう叫んだのであった ーー




「 ガル。貴様は私の召使だ…私の命令には従ってもらう…そこで、最初の命令を下してあげましょう 。それは……」




ーー この世界 を 滅ぼす 手助けをしろ。




その言葉に、目を見開き 少々口に出して小さく笑えば ガルネットは跪き 彼女の右手を取り 優しくゆっくりと、目を瞑り





「 主人の、命令通りに 。 」



こうして ーー 召使 ガルネット=ヴァンピィは、主人 エルゼ=レヴァリィ の命令を脳内へと記憶し 、命令に従うことを誓い




今後 の 二人の"世界滅亡story" が

幕を開けたのだった。



──────────────────



「私エルゼ=レヴァリィですわ!」



「我がガルネット=ヴァンピィ…又の名を、大悪魔だ。」



「遂に私達の物語が始まったのよ!!素敵で最高で狂気に満ち溢れたこの 世界を滅亡するstoryがっ!!」



「そう、興奮してる所気に入っているぞ?エル。この物語は、とある大悪魔の召使と血の繋がらない母を愛しすぎる幸運の少女との世界を滅ぼす物語だ。」



「ざっ、とまとめるとそんな感じよ!そして、これが"第1話"なんでしょうね!そんな記念すべき1話を見てくれたそこの貴方!とても嬉しいわ!ありがとうございますのっ」



「嗚呼、ありがとう。っと…おい、エル。そそろそろ次回予告だ。」



「言われなくても分かっているわガル!!では、次回、 《第2話 滅亡の始まり》見てくださることを…心よりお待ちしていますわぁ!」


〜 第1話 " 悪魔 " END 〜

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