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殲滅のピエロ  作者: タカ
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7

 リーファとの試合をした次の日の朝に朝食を食べた後に外ではなく屋敷の中の一室に行くように命じられた。

 その部屋は四方を溢れんばかりの本が入った本棚に囲まれてその真ん中に机と椅子が二つだけあるシンプルな内装だった。

 部屋の中にいたのは鮮やかな赤茶色の髪の20代前半の若くとても美人の女性が一人だけだで少年が部屋の中に入ったのに気づくと本から無表情な顔を上げて

「はじめまして、私はアルイド伯爵夫人のアテネシア・アルイドです。親しみを込めてアテネと呼んでください。あなたの座学と魔法の教師になりました。」

 淡々と氷のように一切の感情を込めずに表情も変えずに最低限の自己紹介をすませると椅子から立ち上がり目の前まで歩いてきて少年を見下ろすように立つとそのまま何もせずに何もしゃべらずにただ立っていた。


 なんなんだこの人は、なんでずっと目の前で立っているんだ?思い切って話しかけてみるか。


 「あの、なんで目の前にずっと立ってるんですか?」

 「・・・・なんでもありません。早くそこの椅子に座りなさい。」

 

 少し理不尽だと思うけどなぜか怒りも反抗する気が全く湧いてこない。

 この人の事を見るとなぜか嬉しくて安心するのはなぜだろう、その感情にムカついている自分がいるのも理解ができない。


 そんなことを考えつつも言われたとおりに椅子に座ると。その対面にアテネが数冊の本と紙を4枚を持って座った。

 

 「ではまず、一通りの教科をテストをしてどれくらいできるかを見ていきます。教科は数学・歴史・読み書きそして魔法学です。」


 そう言って4枚の紙を渡された。その4枚の内容は数学はテンプレ通りの一番難しくても四則演算レベルしかなかったが少年は歴史などに一切興味がなかったし魔法は自力でしてきたのでテストの結果はボロボロだった。

 

 「あなたは地頭はいいようですがそれに甘えて全く勉強をしてないようですね。あなたは自分の才能に溺れて努力をしない人の典型例ですね。」


 酷い言われようだったが一切苛立ったりしなかったが苛立たない自分に対して怒りが湧いてきていた。

 アテネはその後も長々と説教をずっと繰り返していたがそのどれもが少年を思っているのが分かる内容だった。

 

 「以上のことからあなたには先ずは魔法について基礎から学んでもらいます。その後は歴史です。歴史といってもこの国の成り立ちなどの無駄なことではなく神、人類や魔法の成り立ちから始めます。では今から始めましょうか。」


 そう言ってアテネは持ってきていた数冊の本を一通り開いて内容を吟味してから一冊の本を少年の前に置いて授業を開始した。


 「まずは基礎の基礎の魔力とは何かから始めましょう。なにか疑問があったら質問してください。」


 そう言って始まった講義は長かったが分かりやすい内容で少年の質問に対しても完璧な回答を返していた。

 魔力についておおまかに纏めるなら

 1.魔力とは森羅万象が宿している力である

 2.魔力とはありとあらゆる事を可能にする

 3.魔力とは生命力が力になったものである

 4.魔力とは想像力によって事象を改変する

 5.魔力とは詠唱の有無に左右せず発動する

といった五つに分けられ、そのほかにも細かいことがあるが気にしなくていいレベルの事だった。


 「さて授業も一段落ついたところですし外に出ますよ。」

 「あの、なんで外に出るんですか?」

 「座って話を聞くだけでは意味がありません。学んで実践して初めて身につくのです。分かったのなら早く外に行きますよ。」


 そう言ってアテネは椅子から立ってスタスタと早歩きで部屋を出て行ったが曲がり角で待っていてついて来ているのを確認してからまた歩き出していった。

 移動するときに今さっき聞いた話について考えながら歩いていた。


 魔力について知れたのは楽しい時間だったな。今さっきの話で今までの経験についても大分納得がいった。魔法の行使に詠唱がいらないならなぜあのメイドは詠唱みたいなのを唱えていたんだ。もしかしたら詠唱をすることで想像力を高めていたのか。

 考え事をしていたら外についたみたいだな。


 「さて、ここからは実践の時間です。その前にあなたは魔力を火に変えれますか?」

 「それぐらいなら簡単にできます。」

 「なら自分の魔力の半分を火に変えてください。」

 

 そう言われ少年は自分のこぶしくらいの大きさの火を手のひらの上に出した。

 それを見たアテネが火炎放射器のような威力の炎を出してみせた。


 「さあ、次は残りの魔力でもう一度火を出して。」


 次に少年が出した火はアテネの火炎放射器まではいかないものの初めに出した火よりは一回りも二回りも大きい火だった。


 「よく出来ているわ。これはあなたが私の魔法を見てそれを無意識に想像していてから始めよりも火が大きくなったわけ。これが教えた魔力が想像力によって変わるのと詠唱の有無に関係なく発動するのがよく分かったかしら。」

 「ああ、よく分かった。だったらありとあらゆる事が少ない魔力で出来るのか?」

 「いいえ、魔力量によって出来ることの限界があるわ。そこら辺は今から経験を積めば分かってくるわ。それに他の要因が関わってくるけどそれは後日教えるわ。」


 それからも空が暗くなるまで二人にとっては興味深く楽しい時間が続いていった。

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