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少し短めです。
自由でいられる残りの時間はたったの4年間だけだからその間にできるだけ多くの情報を手に入れつつ魔力や基礎体力を伸ばしていかないと5年後に不測の事態になった時に少しだけでも長く生きれるようにしないといけないな。
多くの情報を集めるために効率のよい方法を考えている時いつものように数人のメイド達が部屋の中に入って来たがその様子は今までのような気楽さやかわいい幼子を見るといった目をしておらず、その目は異質で異物を見る恐怖に染まり俺の顔を映し出していた。
それもそのはずでこの世界でも赤ちゃんにあれほでの知力と魔法を操るものなどいない。
「おはようございます。今日もよろしくお願いします。」
「はい、よろしくお願いします。」
さすがはリアルメイドといったところだな、俺のことが怖いくせに声や行動には一切出てきていないな。
でも嫌われることや避けられることなど一切気にならないし、怖がられる事なんて気にしている暇は無い。早く情報を集めないと。
「あの、本が大量にある所ってありますか?」
「それなら、書庫に行けば大量にあるかと思います。」
「誰か案内をしてくれませんか?」
皆が赤ちゃんの事を怖がっているのを知っているので俺はダメ元で聞いたつもりが一人のメイドが手を挙げ案内役をかってでた。
そのメイドは他のメイド達より若干若く見え18歳くらいだが、内包する魔力が一切分からないのがとても面白い。
そんなことよりも最も目を惹かれたのがこの世界で初めて見た長いが綺麗に纏められた光を呑む様な黒髪だ。
「意外ですね、あなたも僕の事を怖がっていると思っていました。」
「もちろん私でって怖いですよ。」
その顔は言ってることとは真逆でとても嬉しそうで楽しそうだが少し悲しそうな眼をしている。
「ならなぜ案内役をかってでたのですか?」
「それはもちろん目的があるからです。」
「それがはどんな目的ですか?」
「それはまだ言えません。」
メイドはそう言うとニッコリ微笑んだ。その顔には何も話さないと無言の圧力を出していた。
そのまま無言で少し歩くと木でできた重厚な扉の前でメイドが立ち止まり無言のまま扉を開けるとそこには溢れてこぼれそうになっている大量の本が所狭しと本棚に詰め込まれていた。
すごいな、異世界は普通は製本技術が発展してないから本なんか数十冊あればいい方だと思っていたが少なくとも数百冊はあるもしかしたら千冊あるかもしれないほどの量だ。これは異世界の技術が発展しているのかそれともこの家が強い力を持っているかだな。いいところに産まれたな。
「では、私は通常の仕事に戻ります。」
「戻るんですか?」
「私は坊ちゃまの専属のメイドではないので他にも多くの仕事があるのです。」
すこし意外だった俺の事を監視するために一緒に残ろうとすると思ったが監視しないということは俺の事はそこまで危険視されて無いって事だな。
メイドが書庫から出た後に俺は一つとても重要な問題を忘れていた事に気が付いた。それはが俺が本を開き読もうとした時だった、その問題とは
「何を書いてあるのかさっぱり分からん。言葉が分かるからって字が読めるわけじゃないのか。」
今さっきメイドが帰っていったばかりなのにすぐに字が分からないからって帰るのは少し恥ずかしいな。しかし残ってもやることが無いしこの部屋を物色でもするか。
そうして手が届く範囲を手当たり次第に物色していき一冊の本を見つけた。
その本には動物や家や食べ物などの簡単な絵と言葉が書いてあった。単純だが分かりやすく大量の単語が書いてあった。
その本から単語を学び数ヶ月が経ったころには完全に異世界の言語を取得していた。
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