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材料5
そして外を眺める。木漏れ日がカーテンの隙間から入ってくる。昔のことはもう、年のためあまり覚えていない。
「おばあ様。できました。」
そして彼女はご馳走を持ってきた。一人暮らしになると、ご飯をつくる機会が少なくなる。それに年のためあまり動くことがない。そしてここからお店まで少しかかる。そうなると余計に料理をする機会をなくしていく。年のためかあまり食べなくてもいいようになっていた。
「あ、ありがとう。」
そして彼女がおいた料理に目をおく。おいしそうなにおいがする。おいしそうな見た目。
「ん~おいしい。」
素直な感想を述べた。でも彼女は顔色一つ変えなかった。
「おいしいわね。」
聞えていなかったのかと思って私はもう一度いった。
「おばあ様。その言葉は二度目です。認知症の疑いがあります。」
「あ、いえ、大丈夫よ。これくらい。しっかり覚えているから。でもただ、反応がないからもう一度いっただけよ。」
「そうですか。それなら、よかったです。」