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消滅10
「ちょう・・・・・・・・・・・」
静かになっている部屋の中、絶望の声が私の口から、私の耳へと届いた。娘はまだ、蝶々が好きだった。だからまだ、そう名乗っていた。そう、私は思った。懐かしい風がまた、吹いた。もう、春がやってきていた。春の風がカーテンを揺らして、私を揺らした。では、あれは幻想、だったのだろうか。
「・・・・・・・・・・おばあ様・・・・?只今戻りました。」
でも、確か娘は私のことを『おばあ様』なんて呼ばない。だとしたら一体だれが・・・・・?「・・・・・・・・・・・・・おばあ様!!」
「ハっ!?え、な、何?」
「あ、すみません。おばあ様があまりにも無視されるので、つい、叫んでしまいました。」
「あ、ちょうちゃん。あなたは・・・・・」
「はい?」
「どうして、あなたは娘の姿をしているの?」
「それは・・・・・・・・・・・」