オタカ王
オタカ王
<この人がこの国を滅ぼそうとしているオタカ王なの?>
「オタカ王!ここは、薄挼梳の領地です!即刻立ち去りなさい!」
「まぁ、そう焦らずとも良いでしょう。アリシア女王。此度は、伝説の少女を拝見しに来ただけなのですから……」
オタカ王は、そう言いながら美月の方を見た。
じーと暫く眺められた美月は、なぜかその場から動けなくなってしまった。
<何……体が動かない……>
アリシア女王は、何が起こっているのか気がつき、呪文を唱えようとしたその時……
いつの間に美月に近づいていたのかいきなり、オタカ王は美月の唇を奪ったのだ。
「あっ!?……美月様…」
『(え!?何?この唇の感触)……!?』
「フム……悪くはない。確かに何らかの力は持っているようだな」
『な、な、な、何するのよ!!』
美月は、そう言うとオタカ王を殴りにかかったが、それはオタカ王の前に現れた眼鏡をかけた男に腕を掴まれたことによって出来なかった。
「我が主を殴るのはお止めいただきたい。伝説の少女」
「遅かったな…コテツ」
「オタカ様がさっさと行ってしまわれるからですよ」
2人は美月や女王様が側にいるにも関わらず、話を続けていく。
そんな2人をそろそろ見てはいられなくなった女王は、2人に向けて話し出した。
「オタカ王!ならびに従者のコテツ殿!先程も申したように、ここは我が領地でございます。即刻立ち去りなさい!」
2人は、女王の方を見ると先程までの顔とは違う冷めきった目をしていた。まだ、コテツに手を掴まれたままの美月は、冷たいオーラを近くで感じていた。
「では、こちらも先程も申したように此度は、伝説の少女を拝見しに参ったまでのこと。すぐ立ち去りますよ。………伝説の少女…名は何と言う?」
『えっ……美月……高星…美月…』
「……美しい月か…覚えておこう……」
そう言うと、風が吹きその場にはオタカ王とコテツの姿はどこにもなかった。
2人が消え、アリシア女王は美月の側へと駆けつけた。
「美月様!大丈夫でございますか?」
『あっ…うん!大丈夫です……あの人がオタカ王なんですね?……人の唇を奪って!許せない!』
「昔はあのようなことをする方ではなかったのですが…」
アリシア女王は、下を向き悲しそうな顔をした。
『昔?昔から知っていたの?』
「ええ…私とオタカ王とコテツは、幼馴染みなのです。」
<へー!そうなんだ!アリシア女王とオタカ王と従者さんがおさ……>
私はビックリして、大きな声をあげて言った。
『お、お、お、幼馴染み!?』