第二章《不老不死を狙う者》〔03〕
魔物の中を一人の傭兵が走る。
大きく空に飛び上がり鎌を鳥型の魔物に叩き込む。
崩れた魔物の近くに倒れていたカーバンクルの体が空に飛ばされ、それをセブが捕まえる。
血を噴いて倒れた魔物の体から引き抜いた鎌は黒から血の赤に染まっていた。
「キリコ!大丈夫ですか!!?」
「う……」
キリコと呼ばれたカーバンクルは、HPがすでに5分の1になっていた。
セブは無表情のまま、キリコを抱えて傭兵のクロラの方を見る。
クロラは後ろからくるアイザに、馬車を用意させていた。
「本当に有難う御座います。私は00-07、セブと呼んでください。
AIを搭載した人間型で、剣士です」
「私はキリコ。カーバンクルだ。本当に助かったよ…あのままだったら私だけじゃなく
セブまでやられてた」
ウェイスの小さな宿の一室のベッドに腰をかけ、クロラたちは自己紹介を始めていた。
「いやいや。見たところアンタら、結構強いみたいだし油断してただけでしょ?
ボクはクロラ・アンデリカ・シュリーカー。傭兵で今はこの子の依頼に付き合ってるんだ」
そう言って、クロラがアイザを指差す。
「俺はアイザ。アイザ・ノーツアルトだ。レベルは10」
「チャームポイントはこういうバカ正直なところでーす」
クロラが悪戯な笑みを見せながら茶々を入れる。
アイザは「なんだとー!!」といってクロラに怒っていた。
「さて、アンタら何でこんなトコに来てたの?」
クロラがキリコとセブに問う。
「あー…えっと、ここにはキラーが居るって聞いたから…」
「ふーん、キラーハンターなんだ」
キラーハンターとは、キラーという殺人鬼を倒し、善良なプレイヤーを守り、この世界を平和に保つ、
いわば死刑執行人だ。
「で、そのキラーは誰を特定に狙ってるのさ」
「……いえない。一般市民に仕事を代行させてはいけないから」
キリコが苦い顔で答えた。
クロラは、その言葉に顔を顰め、キリコの首を掴む。
「ふぐっ!!?」
「あのさぁ、アンタらを助けたのは誰?
お礼としてそれぐらいのことぐらいは聞かせてくれたっていいんじゃない?」
キリコの傍にいたセブが、静かに口を開いた。
「……ギルドキラーです。数は二人。情報では大きな大型魔法を使うと聞きました」
「セブ!!何言ってんだ馬鹿!!」
「ふーん、面白そう。アイザ、ここに料理持ってくるようにマスターにいってきて」
クロラがにまにまと笑い、アイザの方を向いて言う。
「付き合うよ。そのギルドキラーをアーリアに引き寄せてもらう」
クロラの手にはタクティカルナイフが両手に二本握られていた。




