第二章《不老不死を狙う者》〔02〕
「到着ー!!」
クロラとアイザのたどり着いた先は南の町、太陽が照りつけるウェイス。
ここは服屋が多いことで有名で、女性のプレイヤー達が多い。
そんな中、アイザはナンパにあっていた。
「ボク、可愛いわねェ!お姉さん達と一緒に遊ばない?」
「は?俺、急ぎの用があるんで…」
「そんなこと言わないでェ、遊びましょうよぉ」
「そう。まったくその通り!!」
大きな声が聞こえて、アイザと女性は声のした方を振り返る。
そこには顔が真っ赤になったクロラが。
クロラはズンズンと二人の方へ歩み寄り、アイザの首を捕まえると、腕で締め付ける。
「こっちはただでさえ急がなきゃならないのに、なにナンパされてんの!!?
アーリアが待ってんだから、早くきっぱり断んなさい!!」
「むぐぐぐェェ!!?クロラ痛いっ、痛い!!!」
「それにしても、酷ェよなぁお前」
「何が?」
クロラが真っ赤なままの顔でアイザを睨みつける。
「いくら俺がナンパされたからってやきもち焼くこたないだろ?」
アイザはその睨んだままの目を見ながら冗談を言った。
アイザの言葉にクロラはにやっと笑みを見せると
「馬鹿じゃないの??ボク男の子だよ」
「はっ?え、おまっ…マジで!!?」
アイザは驚きを隠せないのか、左手をブンブンと振っていた。
そんなアイザにクロラはベッと舌を出し、言う。
「う・そ☆」
「さーて。ここからが本番だよ?アイザ君」
そう言ってクロラの出したものは、大剣以上の大きさの鎌。
クロラはその鎌を左右に振って、近くにあった木を切り倒す。
「南の町ウェイスに繋がるダンジョン、海の広がるイルノラテネテイス海。
ここ周辺の魔物のレベルは大体50から70くらいだから余裕じゃないかな?」
「…俺、レベル10なんだけど」
アイザの告白を聞いたクロラはぷっと吹き出してしまった。
「ふ、あははははははっ、ふひひぃ、ははははは!!」
「なっ、何だよ!!」
怒るアイザにクロラは
「ふふ…ごめんごめんっ。さて、なんかハプニングが起きてるみたいだよ?」
といって鎌を地面に立てる。
彼女の視線は、ダンジョン内で魔物に囲まれているカーバンクルと剣士の二人に注がれていた。
「キリコ、どうしますか」
魔物に囲まれた二人の内の一人、剣士の男がカーバンクルに問う。
「んなもん決まってるだろ!?早くその剣でぶった切れ!!」
キリコと呼ばれたカーバンクルが、剣士に命令する。
「了解」
静かに呟いて、剣士は地を蹴る。
魔物の群れの中に潜り込み、剣士は剣を魔物の体に突き刺す。
そして再び地を蹴る。勢いのついた体で剣を振り回し、キリコの周りに居た魔物を倒した。
「も、もう居ないか?」
キリコが辺りを見回す。剣士はそれを見て無表情のまま
「おそらくは。ですが私の満腹値が下がりっぱなしです」
という。キリコはその言葉にうんざりした顔で
「うへェェ……」
といった。
そのときー…。
鳥型の大型魔物がカーバンクルの体を貫く。
「がっ…!?」
小さな体が地面に叩きつけられるのを見た剣士は無表情の顔のまま、殺気をはなち
魔物にむかって飛び掛っていった。
その体を魔物は大きな翼で跳ね返す。
キリコと同じように地面に叩きつけられた剣士に魔物がトドメを刺そうとする。
「アイザ君、行こ。あの人ら、結構苦戦してる」
「え!!?ちょ、待て…」
アイザがそういっとときにはもう遅く、クロラは身の丈以上の鎌を持ち
魔物にむかって走り出していった……。




