第一章《ハンドガンと君》〔06〕
「う、嘘だ」
壊れた店の瓦礫の上で、ルドルフは言った。
ルドルフの目の前に立っているのはクロラ。
クロラは腰に手をあて、何かを取り出して、
「嘘なんかじゃないよ。なんかたまたまこんなのが出来ちゃっただけ。
それにしてもすごいね!このボクに一発喰らわせるなんて」
そう言ってクロラが取り出したのは血に濡れた銀の弾丸。
それはクロラが油断していたときに喰らったものだった。
「アーリアの言ってた闇ギルドのマスターはアンタだね。ルドルフ・イルザミ・エラリド?」
「貴様っ…!!二重スパイを演じておったのか!」
ルドルフは顔を真っ赤にして手持ちの杖をクロラに向かって殴りつける。
「ぶっ」
クロラの口から血が吐き出される。
クロラは膝をつき、ぜいぜいと息を漏らした。
ルドルフはにやぁっと不吉な笑みを見せ、杖を鋭い剣に変えてクロラの上へと掲げる。
「お前を殺しさえすれば、私が不老不死になれる!」
「……ボクのアバターを取るっての?」
「ああそうだ。アシグラウムスの魔法と、お前という体さえあれば、私は、不老不死にっ!??」
クロラの問いにルドルフが答えかけた刹那。彼の背後から響く銃声音とともに
彼は崩れ落ちた。
ハアハアと言いながら両手でハンドガンを持つ人物は、いつの日かに見たノイシュタットの
少年だったのだ。
「君…確かノイシュタットの」
「そんなことは後!!今、この人の呼んだ加勢メンバーがこっちに向かってる!
早く!!」
クロラは少年の手に引かれ、瓦礫と化した店を後にした。




