第九章《End Tale, True beginning 》〔05〕
アイザ君。
最初に合った君は、とても頼りさそうに見えた。
でもそれは、ただの見間違いだったみたいだ。
だって、僕の手を握る君の表情は――
おとぎ話のとても勇敢な、騎士の表情だったのだから。
第九章《End Tale, True beginning 》
「あぁああぁあぁっ!!」
クロラの体にまとわりつく光はみるみる鎖へと姿を変え、きつく彼女の体をしばる。
鎖に巻きつかれる腕は、どんどん青ざめてゆく。
「クロラ!」
「ふはははははっ!」
アイザは引きずられてゆくクロラの体にしがみつき、叫ぶ。
「てめぇ、この野郎!」
クロラの体力はまだ十分に残っているがアイザの体力はもう限界寸前。
アイザは腰のポケットから一丁のハンドガンを取り出し、バスタの足元狙って一発撃ち込んだ。
「ぐっ…!?」
バスタの手から離れて、地面に落ちる杖。
アイザはそれを見て、再び叫んだ。
「リテュール頼む!!」
「うん!」
「何っ!?」
バスタの杖を手に取る一人の少年。
それは彼が愛していた孫、リテュールだった。
「やめろ…」
「お爺ちゃん…僕、クロラ達と一緒にいて、わかった」
「やめろリテュール…」
「いくらゲームでも、酷いことをしたらいけないことも。」
「頼む、やめてくれぇ…」
「仲間と一緒にいると、とっても楽しいってことも。
クロラ達と一緒に戦えたから、わかったんだ。だから―――」
「僕は、もうお爺ちゃんのところに戻れない」
リテュールの魔法で砕け散った杖は、黒い霧と化して消えていった。




