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第八章《力の差》〔03〕

「ちょっ、まってまって!!」

ウェリがイオに背を向けて来た道を逆走する。

「嫌デス。死霊使イナラ僕ヲ殺ス事グライ、造作モナイデショウ?」

イオはそのウェリの頬に剣を切りつけて言う。

滴る液を拭うウェリはきっと、視界の先のイオを睨みつけた。

「サァ、構エテクダサイ」

「……」

「サァ!!」



「旋律の戒めよ、ネクロマンサーの名の下に具現せよ!!―――ミスティック・ケージ!!」

突如ウェリの唱えた詠唱のあとに続いて、イオの頭上に暗黒色の檻が現れた。

「………っ!!」

「消え得ぬ炎えお宿せ!! ブレイズエミッター!!」

続けて詠唱するウェリ。

檻に閉じ込められたイオは焼け焦げる白の炎をまともに喰らって悲痛の叫び声を上げた。


「アアアァ!!!」

「これで……もう分かった?」

ウェリが息を吐きながら倒れたイオに聞く。


その瞬間。イオの体が発光して、暗黒の檻をガラスのように割った。

「ウオォオオ!!」

「やっ…焼き尽くせ シアリング・ソロー……」

詠唱を再び唱えるも既に遅く、足をつかまれ体は地面に叩き込まれる。

ウェリが動かなくなると、イオは手の擬態を戻してウェリに近づいた。


「……アノトキ貴方ハ諦メタ。仲間ヲ助ケルコトヲ。今ダッテ、同ジコトナンデスヨ」

「…っ!?」

イオはウェリの足を取ると、回復魔法陣を展開した。

「アンタ…だから私に…」

「もう、終わった?」

端に座っていたクロラがウェリとイオの近くによって、話しかける。

「…うん。イオ、ごめんね。力の差が何か、私今まで勘違いしてた。それと、AIのことも…ごめん」

「……イエ、コチラコソ。刃ヲ向ケテシマッテゴメンナサイ」

「よし!終わったね全部!じゃあ行こう!今すぐ!」

「いこーいこー!!」

クロラとリテュールの号令で、一行は再びギルガメシュレイシアスへの道を走り出した。





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