第八章《力の差》〔02〕
「昔…暴走したAIが、私の仲間を殺した」
ウェリの瞳は暗く深い闇に目を向けていた。
「私はそのときまだこれをはじめたばかりで、暴走したAIに相手にもされなくて。
死んでいく仲間には、私の好きな人もいたのに、私、怖くてそこから逃げてしまったの」
「ウェリ……」
「どうしよ…私の仲間を殺したのは他のАIなのに……どうしてもイオのことを信じられない。」
その場に泣き崩れこむウェリ。
「私……ごめん…一人にして」
「……まぁ、崩壊も止まったみたいだし…ちょっとここで休もうか」
クロラの提案で、皆はそれぞれ近くにある岩に腰をかけた。
「………ウェリ」
崩れこんだウェリの横に、イオが三角座りで座った。
「…何、ほっといてよ…どっか行って」
「嫌、デス。」
「どっか行って!!本当に動けなくするよ!?力の差ってもの、アンタ分かってんの!?」
「ソノ‘力の差’ガ分カッテイナイノハ貴女ノ方デス」
そういうとイオは手をサーベルに変形させて立ち上がり、ウェリの首元に切っ先を当てた。
「なっ……!?」
「本当ノ‘力の差’とイウモノハ、力ダケデハナイ。教エテアゲマス、ソノ差ヲ」
イオの目からは、何も感じられなかった。




