第六章《死神は高らかに歌う》〔02〕
「私は唄う」
キリコが巨漢に向かって火を吹く。
「空へと届けて」
セブがその巨漢を剣でなぎ払う。
「思いは声に」
ウェリが魔法陣で巨漢を束縛し、リテュールの召喚した水精霊で吹っ飛ばす。
「声は唄に変わる」
吹っ飛ばされた男に向かって、アイザが銃を撃つ。
「今、過去の存在へと叫ぶ」
「飛んで」
そのとき、クロラの目の前に傷を負った巨漢が一瞬で戻ってきた。
そしてその言葉通り、男の体は見事に上空に飛んだ。
雪上に勢い良く落ちてくるところをクロラの鎌で仕留めてウイルス感染者の集団は全滅となった。
「よしっ、これで御終いだね」
山一帯に倒れたプレイヤー達を呼び出した救護班たちに渡しながら、ウェリが言った。
「でも残念。クロラちゃんの新しい格好まだちゃんと見てなかったのに、戦いが終わったら直ぐ元に
戻しちゃうんだもん」
「だってあの格好、狙われやすいし」
「誰に?」
「四十代のおっさんプレイヤーに?」
「あー。一回捕まったねーセクハラされそうになったもん」
「まあ前の格好より、さっきの格好の方がマシだったけど」
二人の女子トークにアイザは耳をふさぐ。
若干顔を赤らめながらアイザがその話を聞こうとするリテュールの耳を片手でふさいだ。
「アイザ、何すんだよー!!」
「聞くなっ聞いてもお前には理解できないと思うけど聞くな!!」




