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第五章《愚者の足掻き》〔05〕
「あーっ……だからこの格好見せたくなかったのに」
敵が間近に近づく中、クロラはため息を漏らしながら構えた。
同じようにアイザたちも、それぞれの武器を構えて敵を待ち構える。
「これ終わったら、なんか奢ってね」
「はぁ!?何で」
「約束、破ったじゃん」
「約束なんてしてねーよ!!」
「おっ、いいな。じゃあ私はアイスー!チョコミントで!」
二人の口喧嘩にのって、キリコが挙手をする。
それに続いて、今度はセブが言った。
「では、ザッハトルテでお願いします」
「あ、あったなぁ、ミリエスのカフェ!」
「ボクもそれがいいー!!」
「じゃあ私はキリコと一緒ので」
「お前らなぁ……」
アイザがため息をついた。
呻き声がだんだんと大きくなっていく。
構えた一行は、その先をにらみつけた。
「いい、皆。僕のあとに続いて、ノイシュタットに近づけさせないことが重要だよ」
「「「「「了解!!」」」」」
クロラの合図で、アイザたちは雪の上を駆けだした。




