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第四章《死霊使いと笑う悪魔》〔01〕

午後3時のこと。

リアルセカンドにログインしたクロラのプレイヤー、清羅はパソコンの前にある椅子に

座り、持ってきたホットカフェオレの入ったカップに口をつける。

「なーんか、まだわかんないんだよねー」

清羅の動かすアバターのクロラは、不老不死というゲームでは有利なアビリティらしきものを

持っている。

清羅はそれが気に入らなかった。

何でも、清羅がリアルセカンドに世界に触れたのは一年前のことだ。

友達が「すっごく面白いよ!!清羅もやってみなよ」としつこく進めてくるものだから、

清羅は嫌々これを始めることになった。

最初にアバターの設定を決めることになり、清羅は面倒くさいといって

ランダムでアバターを決められるお任せボタンに任せた。

それで出てきたのが不老不死の死神、クロラ・アンデリカ・シュリーカー。

始めだした頃からアバターはレベルが高かった。

だからレベル上げを進めようとはしなかったが、その分リアルセカンドで知り合った

アーリアに頼まれ、今は傭兵をやっていた。

普通に採取依頼を受けて、氷山を登ったこともあるし、強い魔物の討伐をしたこともある。

平和にこの世界を楽しんでいたが、何故か面白みが無い。

自分より強い敵にも遭遇したことはあったが、攻撃をされて傷を受けるたび、回復を繰り返すのだ。

多分それが不老不死の効果なのだと清羅は思っていたが、毎度それが続くたび、清羅はだんだん

と《クロラ》アバターが嫌になっていた。


不老不死だけでも消そうと清羅はクロラの装備やら設定やらをいじりだした。

だがそれは叶わず、噂に聞いた人物を探していたのだ。

噂によるとその人物は、リアルセカンドの創立者なのだとか。

そしてノイシュタットを訪れたとき、依頼契約をしていたアイザに出会った。

最初は遅れてきた彼の姿を見たとき、いかにも弱そうだったので契約を完全破棄したが

カンバレイスで彼が助けに来たとき、クロラである清羅はアイザの手を取ってしまった。

聞けば、レベル上げを手伝ってもらうためだけに清羅を追ってきたのだとか。


そうして清羅はアイザを連れて、

アーリアから頼まれた依頼、アイザのレベル上げ、そして自分の目的と、やることを進んでいった。

今はとんだ失敗で、無駄足を踏んでしまった上、リテュールに追いかけられている。

アイザが連れて行った先はノイシュタットのある屋敷。

真っ白な雪が屋根に降り積もるその屋敷はアイザがリアルセカンド内で買った家だった。

ログインして目覚めたクロラは辺りを見回す。

そこはまるで城にある一室のようで、クロラは暫く部屋の中を回り見ていた。

そのとき、無駄に広い一室のドアが開いた。

「クロラ」

アイザの声だ。クロラは安堵のため息を漏らし、アイザが入ってくるのを待った。

アイザは手に二丁のハンドガンとクロラの鎌を手に持ち、入ってくる。

「これ、どうやって直したらいいかわかんなくてさ」

クロラの漆黒の鎌はところどころ罅割れて今にも壊れてしまいそうな状態だった。


ギルガメシュレイシアスを離れてからも、リテュールは二人を追いかけてきた。

「おとなしく僕に殺されろぉおおぉぉおおおぉ!!!!」

拳が勢い良くクロラの左肩にヒットする。

HPは既に120程度しかなかったクロラはアイザを守るために賭けに出た。

アイザをリテュールとは反対方向に突き飛ばし、鎌を展開陣から引き抜く。

そして風のように早い拳に鎌をぶつけ、リテュールを再起不能にさせた。

だが完全に倒せたわけではない。彼はまたクロラを狙ってくるだろう。

そのときに犠牲にした鎌は見事に使い物にならなくなっていた。




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