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猫と能力と夢映し  作者: れぇいぐ
『昇と黄華とハク』
62/75

#1 後日談4

6月9日


マッドグループの残党数名対SSTとの抗争により、3人が死亡。

2人がまだ行方不明となっている。


またその抗争によりSSTの今までの法に触れる実験などが警察に流れ、それはマスコミにも漏れ世間へ明るみにされた。


SSTの責任者である綺能(きのう)月夜(つくよ)は辞任およびSSTの解散、SSTへの信頼や支援をしていた警察や政府は国民へに謝罪の意を見せ、これからも能力と共存して行く上で国民の安全を確保するよう宣言した。


能力事件の際に警察に深く関わっていたSST取り締まり課はSST解散と同時に警視庁へまるごと委任された。


現在SSTの開発実験のさい連れ去られた学校の生徒、その開発部の責任者の行方を捜索している。


なお、今回の出来事で死亡を確認された3名は水屯高校校舎の崩壊と関連性があるとして校舎の復旧までに調査を続けたが、のちのSST創設者の話によると部下の火炎系能力者による爆発現象によるものだと判明し、死亡者3名の身元も確認された。


行方不明者2名はSST取締り課の名簿から一名とこの事件の出来事に関わった人たちの証言からSSTのメンバーが一名と判明した。


水屯高校生徒の行方不明者と同様捜索を進めている。


故に、様々な事が発覚された6月9日というこの日を『SST事件』と総称されるようになった。




アハハ、愉快愉快!

人間は何て愉快なんだろう。

自身の欲望には抗うことも出来ず、あるものは好意を持つものを自分のものにしようとするもの、あるものは自分の過去を引きずるもの、あるものは自分に正直になれないもの、あるものは同じ人間への復讐を抱くもの、あるものはある子を救うため能力の禁忌にまで手を出す自己犠牲するもの。けど結果生き返ったけど死んじゃったんだよね〜

意味分からないって?そんなの知る必要ないさ。

そしてこの僕の遊びを一生懸命邪魔しようとするけど、無意味だと気づかない愚かなもの....


ねぇ、偽ソースのく〜ろづ〜かく〜ん♪


オープニングはここまでだよ、僕も待ちくたびれちゃったしねぇ。


そろそろ僕も本格的に動かさせてもらおうかな。

さぁ、ゲームを始めようか?



7月12日


「はぁー。まじかー、学校かよー。」


教室にはいって初めの一声はそんなだるそうな台詞だった。

そんな昇の台詞に反応したのがすぐ目の前に座っている黄華だった。


「朝からうるさいよ昇。」

「なんだよ、お前は学校が始まって嬉しいのかよ。」

「学校が始まるのはいいんだけど、みんな元気ないんだもん...」


SSTが解散し、水屯高校は政府の新たな機関、『能力教育委員会』というところに託され、ここの校舎もその機関が急遽立て直してくれたらしい。


しかし、教室には40人近くいた生徒は半分以下に減り、全体的に40%の生徒しか登校していない状況だ。

その要因としてはあのSST事件によってこの学校への安全への信用が無いからだ。

それでもなお、この学校は能力の可能性を引き出すことを教育方針から除外せず、能力対決のある『能コミ制度』を廃止することはなく、始める際は教師の承諾を必要としたり、過剰殺傷の阻止を目的として一定数以上の立ち会い人を必要としたりと厳しくした。

やはりこの制度をやめない限りこの学校への信頼取り戻すのはだいぶ難しいだろう。


「このクラスも昨日より減ったわね。」


青野は自分のクラスからわざわざこのクラスへ会いに来た。


「香恵ちゃんおはよう。」

「おはよう黄華」

「おはー」

「....」

「無視!?」


相変わらず俺には厳しいなー...


「それで、やっぱりE組も減ってるのね。」

「一番行方不明者の多かったD組の方がもっといないわよ。」

「そうか...」



・・・・・・・・・



「この校舎も静かになっちゃったね...」

「だね」

「だなー。」


やはりみんな元気がない、他の生徒が少ないから?

違う、足りない。

足りないんだ。


「夢渡くんまだ目が覚めないのね。」

「うん...やっぱり香恵ちゃんは夢渡がいないと寂しい?」

「え?な、なに?私は夢渡君がいなくても...寂しくなんて...」


今更なんの見栄をはっているのか、顔は寂しそうにしている。


1人いないだけでなんでこうも不安で寂しくなるのだろう。

年明けからここへ入学するまで全く連絡もせず、会っていなかったけどここまで不安だとは感じてはいなかった。


あの時はまた会えるのだから少しくらい大丈夫だろうと気にしていなかった。

ゆめにはそれが凄くきていたらしいが....

けど、今回は違う。


殺されたカンナちゃんを生き返らせるため、ゆめは〈夢映し〉でコピーしたある能力を使った。

その能力は絶対存在してはならない能力、能力の禁忌に触れる能力。

そういった能力は使用者自らへの負担が大きいらしい。

そしてゆめはその能力で無事にカンナちゃんを生き返らせることが出来たが...


ゆめは能力を使った後倒れ、それから目を覚まさなかった。

カンナちゃんが先に目が覚ましてもゆめは起きない。

もう一ヶ月経つのにゆめの声を聞けない。



(くそ...俺がもっと〈限界突破(リミットブレイク)〉をうまく使えていればゆめは.....)


「昇が気に病むことはないよ。」


黄華は俺の肩にポンッと手を置き、慰めてくれた。そしてある方向にを向いて言い続けた。


「今1番辛いのは....ね。」


見た先は本来後ろにゆめが座っている席の前の席で1人物静かに座っているカンナちゃんだった。


(そうだ...カンナちゃんの方が助けてもらった分辛い思いをしているんだ...)


「よし!!」

「な?なに?突然立ち上がったりして?」


(ゆめは死んだわけじゃない。

バカ担当の俺がこんなんじゃダメだ。

今更自分の感情のままに従ってどうするんだよ。)


心の中ではゆめはあのまま目が覚めないじゃないか...それなのに俺はいつも通りに笑って過ごしていていいのか?

周りはそんな俺をどんな風に見るだろう、無神経な最低なやつ...そう思うだろう。



(こういう時こそ俺の出番だ。

今俺に出来ること、ゆめの分まで俺が(希望)とやらを...

っぷ....だ、だめだ。恥ずかしぎる!!

ってか夢って書いて希望ってなんだよ!痛すぎるだろ!!よくあんなセリフゆめは言えたな!!

限界突破(リミットブレイク)〉も人のこと言えないか....)


突然表情を変えてにやにやしている昇を見て青野と黄華は心配そうにこっちを見てボソボソ話した。


「昇どうしたの?」

「きっと何か変なもの食べたんでしょ。変態の考えることは分からないわ。」


俺は席を離れてカンナちゃんの座る席へ向かっていき、彼女はこっちに気がついて振り向いてくれた。


(....!)


まるで自分がここにいないかのような表情を真っ向に見ては驚き、喉を詰まらせた。


「カンナちゃん久しぶり!

病院での見舞い以来だっけ?」

「....」

「どう?体調は大丈夫?」

「....」

「学校なんてだるいだけだし、まだ無理して学校来なくてもいいんだぜ〜」

「.....」

「え、あ....今日も暑いね〜」

「.....」


顔をこっちを向いているの全く話を聞いてくれていないのか、一向に返事が返ってこないのが辛すぎる!


ゆめのように分かってて無視しているのとは違ってこっちの方が凄く悲しく感じる。


「そういえばそろそろ夏休みだねー。」

「...」


(やっぱり心ここにあらず...か?)


「....ムリしてない。」

「え?」

「....ムリしてない。」

「学校のこと?」

「...うん。

...いま私に出来るのはいつも通りでいることだけ....

....夢渡をこうして待つだけ。」


(この子もちゃんと考えて行動していたのか...ごめんね、学校めんどいなんて言った俺が悪かった。)


「そ、そう。

それじゃあ夏休みさ、みんなでプール行こうぜ!

ほら、ゴールデンウィークはあいつ(青野)が邪魔したからいけなかったからさ。」

「....ありがとう昇。

けどまだいい。

....夢渡が戻るまで私は待たなくちゃいけない....

...それに夢渡も一緒がいい。」

「お、おう。そうだよな!夢渡が戻って来てからだ。それからみんなで行こう!!」

「....うん。」


そんな絶対に叶うか分からない約束を交わしてじーっと俺の行動を見つめていた二人が周りに座っている自分の席へ戻った。


椅子に座れば否や、二人が俺をからかい始めた。


「昇、フラれちゃったね!」

「変態じゃあ夢渡君に勝てないわよ。」

「な!お前ら俺はそんなつもりで誘いに行ったわけじゃ無くて!!」

「いいよいいよ、無理しなくて、辛かったよね〜、心が苦しいよね〜。」

「黄華てめ!!」

「それに下心丸見えよ。」

「青野!それは違うぞ、俺はちゃんとした過程を経てから手を出すつもりだ!」

「だから下心丸出しじゃない。それにカンナちゃんに手を出したら夢渡君に殺されるわよ。」

「そうね、夢渡君が目が覚ましたらまず昇を殺して...能力(スキル)で生き返らせて、また殺して...能力で生き返らせてって感じで苦痛を...

そして昇はそのうちそれを快感を思うようになって男同士の....ふふふ」

「黄華さん?なに物騒なことを言い出すん出すんですか!?」


さっきまでとは違って場の雰囲気が少し明るくなったような気がする。


(いま俺に出来るのは目が覚めることを信じながら、いつものように過ごしてゆめを待つだけだ。

それにお前にはまだちゃんと謝れていないしな...)




昨年


12月29日


「え?再婚!?」


先日霧狐山でのユキエとの出会い、そして黒塚という男と謎の戦闘をして、挙句の果てユキエとの約束は俺だけ理不尽な感じで終わってしまった。


そして、1週間も経たないうちに母親から予想もしなかった知らせを聞いた。


「え?そんなの初めて聞いたよ!?」

「あら?うそ?結構前に伝えたと思ってたわぁ〜。」

「そんな大事なことを...しかもこの年末年始にって...急じゃない?」


まだ40にもなっていないのにボケ始めたのか。

いや、もとより天然な要素があって正直俺と母さんどっちが親なのか分からなくなることがある。


「仕方がないわね〜、あの人はお医者さんだし、私も看護婦の仕事をしているからこの休暇しか時間が無いのよねぇ。」

「そっか。」

「その人ちょっと無愛想だけど優しいのよ。」

「ふーん...」

「まぁ、私はもちろん昇が一番だから昇が嫌だって言うなら私は我慢するわぁ。」


不意に自分に気遣った言葉をもらって、嬉しい反面母親への申し訳なさで揺れた。


「え、いやいや。俺は別に大丈夫!母さんがそうしたいなら俺は構わないよ。お母さんの幸せが一番だから。」

「そう?....けど昇はお父さんのこと嫌いだったでしょ?」

「あの人のような人じゃ無ければいいよ!」


小さい頃から厳しく、理不尽なことで怒り出す親父が嫌いだった。

いつも考えが見透かされているような、それが気に食わなかった。

頑固で自分勝手な親父が嫌いだ。


父が死んでも自分だけは泣かなかった、むしろ清々したと喜んでいたぐらいだ。けど、そんな風に思う自分が嫌だった。

自分を嫌いで、自分を信じられず、自分を見失う。

親父の性格のせいだろうか、自分のせいか?そんなの誰のせいでもない。


「それでね、役所が閉まっちゃう明日には婚姻届をだして、その次の日にはその人の家へ引っ越すことになるわよ。」

「え?まじで!引っ越すの!?」

「ええ、大丈夫よ。今の学校までは電車を使えばいけるわ。それでも面倒だったら転校しても構わないわ。」

「いや、後3ヶ月もないし学校もこのままでいいよ。」

「そうそう。後ね、苗字も「上ヶ赤(じょうがせき)」から「落合(おちあい)」になるから気おつけてね〜。」


(そうか、この場合母さんと俺が苗字を変えるのか。

それじゃあもう上ヶ赤(じょうがせき)じゃ無くなるのか....)


この苗字には懲り懲りしていた昇だ。

簡単な漢字のわりには読みづらく、キーボードで打ってもかならずキレイな変換がでなくて面倒だった。

けど、それでもこの苗字には15年間切っても切り離せない関係だったからか、愛着があり慣れてしまっているので、本当のところこのままでいたいと思っていたが、仕方がない。


「忘れるところだったわ、貴方に兄妹ができるわよ。」

「え!?まじで?年上?年下!?可愛い!?胸は...いやなんでもない!」

「貴方と同い年って言ってたわね〜

、名前は黄色と華麗の華と描いて黄華(おうか)よ。

可愛いわよ〜。仲良くしてちょうだいね。」

「ヘェ〜楽しみだな!」


(ん?その名前昔にも聞いた気がする....

きっと気のせいだよな)


早速引越しの準備を始めた。



12月30日 17:40


「そうか、引っ越すのか。」

「そんな遠く無いらしいから会いに来ようと思えば来れるけど、だぶんしょっちゅうは来れないと思う。」

「そうかそうか...寂しくなるのう。」


引っ越す前日、念のためにと霧狐山へ訪れ、ユキエへ挨拶をしていた。


「嘘だ!全然寂しそうな顔をしていないじゃん!!」


ユキエはよだれを垂らし、昇の持っているタッパーを目を光らせて見つめていた。


「そらそうじゃろ!目の前にワシの大好物があるのじゃから!我慢できるわけなかろう!!」


たまたま家の冷蔵庫に余っていたいなりの皮に味の無い白ご飯を詰めたいなり寿司をユキエにあげようともって来ていた。


「お主がこの山の(ふもと)に入った時点でワシのいなりレーダーが探知しておったぞい。」

「あの無駄に凄い嗅覚設定って本物だったのかよ!!」

「それはそうと、それだけじゃない....ゴホッ....じゃろ?」

「っな!?いつの間にいなりを!?それに食うか喋るかどっちかにしろよ。」

「うむ。だらしないところを見せてしまったのう。」


ユキエは俺との会話よりいなりとった。


美味しく召し上がったユキエは住処の一番奥に置かれたツボに何かの器にを入れ、中から透明な水をすくい上げた。


「ほれ」


そういって二つ持っていたコップのようなものを渡した。


「水?」

「そうじゃ?この山のミネラルウォーターじゃ。」

「まじかよ、こんな山にこんな綺麗な水が....」

「こんな山とはなんじゃ!ワシが一生懸命手入れしておるんじゃぞ!」


(そっか、一応守り神なんだっけ?)


「一応ってなんじゃ!立派な神じゃぞ!!」

「はいはい、どうせろくなことしてないんだろう。」

「な!わしだってお主らのために....」

「俺らのために?」

「いや、なんでもないのじゃ。」


(なんだよ....何隠してるんだよ....)

「お主は気にせんでもええぞ。」

「・・・そうか・・・」


相変わらずユキエの〈読心術〉は今日も絶好調のようだ。俺の考えなんて容易く見抜かれる。


「さて、お主がはわしにいなりで釣ってなにを企んでおる....」

「お!うまっ!水なんてどれも一緒かと思っていたけど美味しい水があるなんて...」

「お主人の話を聞かんか....」

「あ、うん。わり。」

「ちなみにこの水は本当はワシが麓の水道からもって来ていたただの水じゃ。」

「ッブ!!」


思わず口に含んでいた水を吐いてしまった。


「ただの水道水かよ!!」

(しかもあそこの駐車場にあるあれか!!)

「....」

「あ」



吐き出した水は目の前のユキエに豪快にかかり、濡らしてしまった。


「ごめんごめん。ってあ、服濡らしちゃった。」


ユキエの着ている唯一の服である着物の上のあたりに吐いた水が少ししみていた。


「大丈夫じゃ、ほとんど顔じゃし、着物はそんなに濡れておらぬわ。」

「いやいや、冷えるとまずいだろ!

そうだ!

今日引越しの準備で母さんが着ないで要らなくなった服をもらって来たんだ。」


そういってもって来ていた紙袋の中を探りはじめた。


「いや、だからワシは大丈夫じゃと。」

「ユキエはその着物一着しかもってないじゃん。だからさ、あげるよ。

捨てるのも勿体無いし。」

「そうか?なら遠慮なく貰おうではないか。」

「お、あったあった。はいこれ。」


取り出したものをユキエへ渡した。

それを受け取ったユキエは一回狐の姿に戻り、その受け取った服の中に潜り込んで再び人間の姿になった。


「ッチ!」

「お主も懲りぬのう。本当の目的はワシの着替えを見ようとしたんじゃろ?

お主にワシの裸はそう簡単には見せぬぞ。」

「やっぱりばれたか!」


(やはり〈読心術〉には敵わないのか....)


「ふふふ...甘かったな。」

「何じゃその余裕な笑みわ。」

「俺の目的はそれだけじゃあない!?」

「なんじゃと?それにしても...胸のあたりがキツイのう....」


(ユキエに渡した母さんの着なくなった服、それはナース服だ!!

そして、ユキエほどの巨乳には厳しいサイズ...服は今にもボタンが外れそに胸に引っ張られ、それがまたその胸を際立たせ....)



「うおおおお!見えるうう!!見えるぞお!!」

「お、お主・・・・図りおったな!?」

「どうだ!!俺なりに自己催眠を利用して心を読まれないようにする作戦!!

お色気お着替えシーンはばれちゃったが、これだけでも満足!!!」

「な...ワシの〈読心術〉を掻い潜るのにそんな方法があったのか....不覚じゃった....」


そんな悔しがるユキエの頭にポンっと何かを乗せた。


「はい、これで完璧。」

「な....」

「うん!完璧!!俺の好みだ!!」


ピンクのナース帽をのせ、完全なナースのコスプレ?が完成しガッツポーツを決めた。


「....お主、もういいか?」

「あ、ちょっと待った。写メ撮るから。」


パシャ


パシャ


パシャ


「もういいじゃろ、こんな服早く脱ぎたいぞ。」


(なんだよ...にあってるのに....)


「ってか、ポーズとるとか満更でもないないだろ!!」

「まぁ、せっかくじゃしな。

その携帯とやらの待ち受けにするがよいぞ!」

「ちょっとまて、地味に携帯を知らないような言い方して、待ち受けとかだいぶ知ってるじゃねえか。」

「なんじゃ、わしがガラケーやらスマートフォンに憧れて悪いか!?わしじゃっていつもクマ吉をいたぶるばかりじゃつまらないんじゃよ!」

「それは悪かった・・・」


(ってかなんで逆ギレされてるんだ?)


「あれ、そういえばクマの名前クマ吉だっけ?」

「で、早く別の服を来させてくれぬか?」

「おい、無視か。

まぁ、わかったわかった。

で、本当はこっち...」


そういって、紙袋からまた別の服を取り出して渡した。


「それじゃあ、そのナース服セットはそのまま捨てるよ。」

「...いいぞ...」

「なにが?」

「勿体無いからワシがもらっておく。」

「そう?」

「うむ。それよりそのニヤニヤ気持ち悪いからやめんか!」

「はいはい。」


「それじゃあ、用事は済んだし、明日は忙しいから帰るね。」

「そうか。」

「そのうちまた来るよ。」

「うむ待っておるぞ。今度はいなり寿司だけじゃなく大トロなども食いたいのう。」

「大好物は何処へいった!!

しかも高い!!」



そして、家へ帰り明日の荷物の移動の体力を温存するためにも早く寝た。

次回は来月中盤

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