『カンナ』
遅くなっちゃった。
12月25日22:40
リビングのテーブルに向かい合って座っていた。
「俺の名前は白地夢渡だ。」
「....ゆめと?」
「そうだ。で、お前は?」
「....しらない。」
.....
「さて、もう一度聞くぞ。
お前は誰だ?」
「...さぁ」
「じゃあ、お前は宇宙の遠いところからきた、宇宙人か?」
「....」
冗談半ばで言ったつもりが知らない少女に冷たい目で見つめられた。
「そんな可哀想な目で見ないでくれ!!
可能性を出しただけだ!!まぁ、そんな可能性ないだけどね...」
「....アニメの見過ぎよ」
「ま、まぁ?最近深夜アニメ見るために?寝不足続きで?学校では寝てるけどー!?」
夢渡は指をビシッと彼女の頭に指して言い切った。
「猫耳尻尾をつけてる野郎に言われたくないわ!!」
「....猫耳尻尾??...何言ってるの?そんなことありえない」
(こいつ自覚がないのか?
カゴの中にいた時、触ったら感じてたくせに...あぁ、性的な意味でなければ健全のまま突き進めるんだが....)
「...お前、自分の頭を触ってみろ」
そういうと彼女は頭の上を探り、耳を見つけ何度か触って確かめる。
しかし、表情に大きな変化は見られなかった。
「...」
「ほらみろ!」
「...これは誰かのイタズラよ」
あくまで現実を受け入れないつもりのようだ。
「じゃあ、そのお前の後ろでクネクネ動いている、黒くて細いものはなんだ??」
彼女はゆっくり後ろを確認して表情一つ買えずの冷静に答えた。
(さぁ、どう言い訳する?)
「....これは猿の尻尾」
「お前はサイ○人か!!!ってかそれって結局宇宙人じゃねえか!!」
「...」
「黙るなよ!!」
「.....」
なかなか自分に置かれている状況を受け入れられないようだ。
なら...
「じゃあ、何か覚えてることないか?」
「...牛乳が美味しかったことぐらい」
それって、カゴの中にいた時の記憶だろ。
「それ以外は?」
「...何も
...目が覚めたらカゴにいた...」
「なるほど。そして、牛乳が近くにあったから飲んで二度寝したと...」
「...そう」
(よくカゴの中なんかで寝ていられたな。)
「それ以前の事は全く覚えていないと?」
そう聞くと彼女は少しうつむいて口を小さく開いた。
「...こ....かった。」
「え?」
「....知らない」
(今なんて..?)
「それじゃあ、そのカゴに猫がいたことを知ってたか?」
「...いなかったわ」
(なるほど、やっぱりこいつがあの猫ってことになるのか?)
「つまり、お前は人間でいいんだな?」
「...あたりまえじゃない」
「はぁ...」
猫耳と尻尾があるけど、こいつは人間だと...
あー、もうわけわかんねぇ...
「ねぇ...」
「ん?なんだ?」
「...何でこっち向かないの...?」
「お前がそんな姿だからだろ!!!」
彼女はまだ俺のロングコート一枚だけ着ていて、危うい部分が見えるか見えないかという状況なのだ...
彼女は可愛いし身長は低いが年齢は同じくらいなのに、十分身体つきは良い。
「ん?」
「....なに?」
「お前その右腕見せてみろ。」
「...え?」
彼女の右手をとり、コートの袖をめくった。
「やっぱり....怪我してるじゃん。ちょっと待ってろ。救急箱持ってくる。」
「....別に大丈夫。」
「ダメだ!傷跡が残ったらどうするんだ!」
「....」
救急箱から消毒液とテッシュを取り出し、彼女の腕に消毒液をかけて。
「うっ。」
「我慢しろよ...」
ちょっと深い切り傷か....やけどのような跡は無い...
ならさっきの水圧で攻撃してくるやつのせいか?
絆創膏を貼って。取れないように軽く包帯で巻いてあげた。
「よし。」
「....ありがとう。」
「ああ。」
右腕の傷...この子が本当にあの猫だったら....
「待て、ちょっとお腹のあたりも見せろ。」
「...え?」
今のが彼女はコート一枚だけである事を思い出した。
「あ、いや!別にやましいことを...え?」
彼女は着ているコートを左右に開きお腹を見せてくれた。
「あれ...」
傷は無かった。
「ごめん...後ろ。」
「....うん」
背中を向けてコートを上へ持ち上げた彼女の下半身はほぼ丸出しだった。
(絶対に下は見ない...下は見ない....)
「あった。」
夢渡の予想は当たり、彼女の背中にも右腕と似たような傷がついていた。
やっぱり彼女はさっきの猫ってことになるな。
腕と同じように措置を施した。
「よし!取り敢えず服を着ようか?」
「...何で...?」
「え?」
まさかここに来て疑問で返されるとは思っていなかった。
「いや、裸でいるのはおかしくないか?それに恥ずかしく...」
「....別に。」
「お前は猫耳尻尾ついてることがおかしくて、裸でいることはおかしくないのかよ!!」
「....じゃあ、人間なら猫耳尻尾がついててあたりまえ。」
「勝手に人間の常識をお前の都合で変えるな!!そして、お前がおかしいことを認めろ!!」
「...わかった」
猫耳尻尾がついてることを認めてくれることなのか、服をきてくれるという返事なのかわからない。
(今は後者にしてくれ!!)
「...尻尾は本物、耳は偽物だわ」
(違ったー!!さらにどっちも認める気は無いという!!)
「中途半端だわ!!ここはどっちも認めろよ!!そして服をきてくれ!!」
「...わかったわ」
(ふぅ、やっと着てくれるのか..)
「...どっちも本物...」
「だからそっちじゃねえっての!!」
「...え?なに..?」
「お願いします、見てるこちらが罪悪感で押しつぶされそうなので服をきてください。」
「...押しつぶされちゃえ」
「何、他人事!?それの急に馴れ馴れしい!!」
「....わかった。着る。」
「よし。よく言った!」
夢渡は部屋の壁に掛けられた時計を確認した。
そろそろ姉がバイトから帰ってくるみたいだ。
もしも、コート一枚の少女を家に連れ込んでるところ見られたらまずいことになるだろう。
(ってか、こんな時間に男の俺が女を連れ込んでる時点でアウトだよ。
せめてこれ以上変な誤解をされないためにも....服だけでも着せとかないと!!)
とうとう焦り始めた夢渡は彼女に説明し始めた。
「サイズがでかいかもしれないけど取り敢えず姉の服を貸すから。さぁ、姉ちゃんの部屋に行って着るぞ!!」
こういう時、姉弟がいると助かると思った矢先、逆転の発想で姉がいるからこんなに焦らなくてはいけないことになっていると思い、不便にも感じた。
少女の方を再び向けば、桃源郷...じゃなくて上に着ているたった一枚コートを脱ごうとはしているではないか。
「って、ここで脱ぐなよ!!!」
「...なんで...?」
「あ〝ー!!かまってる時間なないや!!ついて来い!!」
俺は再び全裸の彼女の手を、いやあのときは裸マフラーだ。
そんなこと考えてる場合じゃ無い!
自らコートを脱ぎ、完全に裸になった彼女の手を取り、早歩きでリビングを出て玄関廊下へとでた。
そして、玄関の正面にある2階への階段を駆け上がっていく。
すると突然彼女を引っ張ていた手が重さで後ろへ引っ張られた。
「っ!?」
どうやら、彼女が足を踏み外したらしい。
そのまま体は彼女と一緒に階段の下へ落とされようとしていた。
「あぶないっ!!」
俺は咄嗟に手を引っ張り、彼女を自分の胸に寄せ、全身を包むように抱きしめ、階段を転げ落ちた。
...
(ああ...体が痛い...)
目を開けると目の前には少女が倒れていた。
(俺の名前は白地夢渡、ここは俺の家。
よし、大丈夫だ。俺まで記憶喪失になったら洒落にならないからな。)
「ふぅ、どっちも無事だな。。」
...
「おい、大丈夫か?」
...
(返事がない、まるで屍のようだ....息はしているようだから、きっと気絶してるのか?」)
起きるまで待つなんてことはしていられないので、無理やりにでも起こすことしにした。
(さっきみたいに耳を引っ張れば目を覚ますか?...)
そんな悪戯気味た真似をしようと考えていた。
手を自分の顔下に持ってきて、彼女の頭についた耳を触ろうとした瞬間
ガチャ
「たっだいま〜.....あ?」
今日のニュースのせいかテンションが高かった姉はこの様子をみて唖然としていた。
見知らぬ少女が全裸で、自分の実の弟に押し倒されているのだから。
しかし、俺はどんなことがあろうと、家族には挨拶をするという紳士。
家族にだけじゃ紳士とはいえねえか。
姉の方を向いて真顔で答えた。
「おかえりなさい...」
そのまま彼女の耳を掴もうとしていた手が動いた。
プニ
「キャッ...」
「げっ」
(耳を引っ張て起こそうとしたのは悪かったから、そんな声だすなよ!!!)
しかし、もう遅い...
「ゆめと...あんた...」
「ちょ、これは違う、誤解。そう!誤解だ!!」
姉は笑顔で自分に尋ねてきた。
「警察と、裸で外で追い出されるのどっちがいい??」
(この笑顔....から逃げたい...)
「それ、どっちみち警察行きだからっ!!
しかも、誤解だだから!!!」
「何が誤解よ、可愛い女の子を裸にして猫耳や尻尾をつけさせて、更には呻き声まであげさせて。。」
「ちが!!」
「ゥンンン...」
(お、おいぃぃぃ!!
気持ち良さそうな声出すなよ!!!)
「ほら、どうする?島流し?それとも火あぶりの刑?」
「死刑処刑決定なのか!?しかもいつの時代だよ!?」
「どうする?」
(だ、だれか...俺に救いを...)
☆
12月26日6:30
(もう朝か...)
そう、姉の誤解を解くのにすんごい時間がかかったのだ。
自分が何を言ってもまともに受け入れてくれず。
目が覚めた彼女に誤解を解いて貰おうとしたが、彼女は起きて早々
「...ねぇ....もっとゆめとの牛乳頂戴。」
なんて言って、更に誤解を招くようなことを言いやがって同じことを繰り返した末、最後には彼女の耳と尻尾を姉に触らせて、本物だとわかってもらい、彼女は記憶喪失で俺が塾行く途中で拾った猫である可能性があるといったら、嬉しそうにして納得してもらえた。
(良かった...姉がオカルト好きで...ここまで行くと、変人だけどね...)
こうして、いま6:30に至るのだ。
結局、今日は一睡もすることはできず。疲れ切っていたので学校をサボり、底なし体力の姉が家を出たら、自分の部屋に向かい、寝た。
あの謎の猫耳少女はというと、姉を納得させたあと、すぐにリビングのソファで夢の国へ行った。
☆
11:50
んん...苦しい....
体が...動かない!?
これが金縛りってやつか!?
目を開けると目の前に彼女が。
「うぉおお!!」
「んん...おはよう」
(こいつが俺を縛ってたのか。)
「お、おはよう?って苦しいんだけど。」
女に抱かれている。。。通常的な意味で。
普通なら喜ぶべきシチュエーションなのかもしれないが、こんな俺には引いてしまうくらいの状態だったのだ。
「....そう...おやすみ...」
「おい寝るな!!」
「....ゆめと大胆...」
「「今夜は寝させないよ」みたいなことじゃなくて、起きろってことだよ!!!苦しいんだよ!!」
「...私じゃ...だめ....?」
「....」
変な質問をされ、少し戸惑ったがやがて自分がからかわれていることに気づき、その質問をスルーしこちらから質問した。
「ってか、なんでここにいるの?そして俺を抱きしめてる!?それも力いっぱい。」
「...お腹空いたから起こしに来た」
「普通に起こせないのか!?」
「見てたら眠くなっちゃって...」
「ああ、眠くなっちゃったのね。
けどさ、どうすれば上半身裸になるわけさ!?」
「...暑いから」
「じゃあ、俺の布団に入るなよ!!
と、とりあえず服をきてください。お願いします。」
ベットの上に半裸の少女と同じ布団の中。こんなとこ見られたら、今度こそ信じてもらえないだろう。
彼女はベットのしたへ投げ捨てられていた、姉の昔の部屋着を着てくれた。
「...さて、下に降りるぞ。」
そう言い、自分はパジャマから着替えるため、彼女には先に降りてもらったのだが
ガチャ
「...お腹すいた」
「び...びっくりした...
わざわざ着替えてる途中に、同じことを言いにきてくれるとはいい度胸しておるではないか。」
「...いやぁ。」
「褒めてないから。
ほら、わかったから、先に行ってろって...」
「...うん。」
彼女は頷いて下へ降りてくれた。
(全く...あいつには恥じらいというものがないのか?)
「よし...」
着替え終わったので、自分も下に降りることにした。
☆
「おい、テレビつけてくれ」
「...何で...?」
「寂しいからだ。」
ずっと二人きりなのに何の会話もせず、ただ沈黙が気まずいのだ。
「...自分でつければ...?」
(こいつ何様だ!)
「こっちはお前の為に料理してるんだぞ。こら。」
ちなみにメニューは玉子焼きだけである。
お手軽だからだ。
自分が好きだからとか、冷蔵庫に卵しかないとかって理由ではない。
(そんなのどうでもいいよな!)
「....わかった」
ッピ
(そうそう、素直につければいいのに...
でも、うちの家のテレビって電源ボタン押しても効果音しないはずなんだが...)
「....怖い話してあげる。」
突然の彼女の口からそんな話題を出したことに少し驚いたが、少し時間が経ってあることに気がついた。
「おい、部屋を冷やしたところで俺が絶対に怖がるとか思うなよ。」
部屋の中が冷えてきた。
「お前、それエアコンのリモコンだ。」
「...あら」
....
やがて彼女はテレビのリモコンで電源をつけ、テレビのモニターに映像が映し出された。
『最近話題となっているこの事件に関し、大学教授の鍵原さんをお呼びいたしました。』
また見たことのない女性が画面中で話しかけていた。話していた。
たぶんこの番組の司会を勤めているのだろう。
テレビにの右上に薄く「はなまれ!!」というテロップが貼られている。
一度は聞いたことのある名前だった。昼のニュースバラエティー番組のタイトルだ。
(普段は学校にいて、俺とはあまり見たことのない番組だけどね...)
『萩原です。』
再びテレビで見たと思えば、名前を間違われていたようだ。
やはり、今世間で話題になってる〈能力〉という物の影響か、こういう手の専門家はよく番組から出演依頼が増えているのだろう。
『今回の超能力の件に新たに情報を得たと聞きましたが...それがどういったことでしょうか?腹原さん』
『萩原です。』
(この司会また間違えやがった....絶対わざとだろ...何か恨みでもあるのか??
もしかしたら、この摸擬原ってヒト、影が薄くなる!!!とか相手の自分に関する記憶を消せる!!みたいな能力を持っていたり...
あれ、この人の名前って?)
『萩原です。』
「聞こえてるのかよ!?」
「...うるさい」
「お、おお。悪い...」
テさりげなく叱られてしまった。
「...お前、まさかこのおじさんの能力とかわかったりする??」
「...〈薄影能力〉だと思う」
「だから、何でわかるんだよ!?」
「...知らない」
昨日の夜と同じだ...
記憶喪失のくせに、なぜか能力について詳しい。
自分が変なものと関わってしまったのではないかと思い始めた。
「....匂うわね」
「ああ、確かに怪しい匂いが....
ん?ちがう、なんか焦げくさ....い...あ!ああ!!!」
調理していた卵から煙が出ていた。
急いで火を消した。
ソファでくつろいでるだけの彼女はこちらを向いて要求した。
「...ねぇ....まだ...?」
(まぁいいや、これでも食わせておけばいいか。)
俺は焦げ玉子を皿にのせ、ご飯をよそった茶碗と箸と一緒に食卓に持っていった。
もちろん自分の分は用意しなかった。
「ほれ。」
「....何これ?」
「あ、やっぱ無理か。
え?」
彼女は箸でそのちょい黒い玉子をパクリと口に入れ味わって飲み込んだ。
...
「....まぁまぁね」
(まじか!こんなの食えるのか、すげえな。
まぁ、いいや。それよりテレビ...)
『はい、我々はある二つのことを調査により見つけました。
一つはこの能力にはいくつかの類に分けることができること。
二つ目はそれらの能力にはレベルというものが存在することです。』
『それはどういうことですか?杉原さん?』
『萩原です。
まず、その調査について説明します。
我々は10代から50代の方々に約1000人に能力についてアンケートを取りました...
一つ目の質問「あなたには能力がありますか?」という質問に対し、
約53%が「する(確認済み)」、
約42%「わからない」
4%「そんなのあるはずがない」
1%「ある(未確認)」となりました。...か』
それを聞いて、その残り1%はきっと重度の厨二病なのではないかという案が夢渡の中にはあった。
『この結果より、全員が全員能力を持っているというわけではないことがわかり、その次に
「「はい(確認済み)」を選んだ方はその能力について教えてください。」
という質問に対し、様々な能力が見つけられました。
そして、2〜10人は似たような能力を持っている中、たった一人だけ誰とも違う能力を持つものがいたのです。』
『それはただの奇遇なのでは?』
『いえ、おそらく必然でしょう。』
『なぜ、そう言い切れるのですか?』
『実は更に全く同じアンケートを同じく1000人ずつで、全く違う人物に計20回程行いました。』
(たった1日で約2万人以上にアンケートって.....これまたすごいな...)
『結果、被らない能力を持つ人は1万人に一人しかいないことが分かりました。』
『なるほど、要は600人に一人しか持たない能力ということでいいのですね?』
『はい、そういうことです。
我々は他の人とかぶる能力をもつもののことを「通常能力者」と呼び、その600人に一人やという特別な能力の持ち主を「特別能力者」と呼んでいます。』
『では、レベルがあるというのは?』
『ええ。先程のアンケートの二つ目の質問ですが、あくまで似たような能力が多いということであって、全く同じことをできる人は多くはなかったです。
最も多いと思われる〈発火能力者〉で例えてみましょう。
ある人は、指から小さな火を出す程度。
ある人は、指から火をだし、更に力を込めると火の玉を飛ばすことができたり。』
(これは、昨日俺たちを追って来た1人が使っていた能力だな...)
『ある人は、手の平から火の塊を出したり、と言った様に順にできることが増えています。
この結果より、能力には強さがあり、それらに〈レベル〉という段階があると推測します。』
『そのレベルは幾つあるのですか?』
『まだ、推測でありますが1〜10位はあると思われます。』
(10段階か...これまた細かい。)
『そのレベル大きさには、前回話した能力の種類と似たように、能力を持つものの、性格や気持ちの強さ、広さ、職業の位...』
(気持ちの広さが追加されてるな...って職業の位!?不公平じゃねえか!!)
『と言う何かしら所持者と関係していると思われます。』
『なるほど。ありがとうございました。ではお時間になりました。今日は岡類斗大学超能力研究科教授の乃木川さんにきていただきました。
では、みなさん良い能力ライフを』
『はぎわ...』
専門家が名前を訂正しようと言いかけたところでCMに入った。
(能力ライフってなんだよ!!お前ら慣れるの早すぎるだろ、もうちょっと混乱していてもいいだろ!!)
そんな世界に1人文句を言う中学生がここにいた。
「はぁ...なんでテレビにまでツッコミいれなくちゃいけないんだよ....」
「...おかわり」
「まだ食うの!?」
「...うん」
「はいはい。」
あんなダークマターを食わされてまだ食欲があるとは大したものだ。
「...おいしい」
「今度は失敗しなかったからな。」
「....さっきの方が良かった」
「お前は味覚障害者か!?」
「....いやあ....」
「褒めてないから!
さて...」
(こいつにどんな質問しても無駄だしな....)
ふと昨日と今日の彼女の不思議な言動を思い出した。
(そういえば、こいつ妙に能力には詳しいんだよな...)
「おい。俺にどんな能力があるか分かるか?」
「...ねぇ名前で呼んで...」
「お前が知らないんじゃ呼びようがない!」
「...じゃあ、決めて」
「えっ?」
(そうくるか....
うーん。なんかないか....)
突然初対面の人にあだ名を付けて!と言われるよりも難易度の高い命名の仕方だ。
『9月行われた「神奈月祭り」は地域の住民の協力により盛大に行われ、大成功いたしました。
屋台には、おなじみのたこ焼き、わた...』
付けっ放しのテレビは引き続き地域情報番組が放送されていたらしく、その映像が表示されていた。
(そういえば祭りか~..行きたかったな....塾をサボってでもいくべきだったな~神奈月祭り...)
「神奈....」
「...カンナ...いい名前ね」
「え?名前?...
あ、ああ。じゃあ、カンナでどうだ?」
「...いいわ」
「おお」
まさか近所の祭りの名前から取るとは思わなかった。
「じゃあ、カンナ。俺にどんな能力があるか分かるか?」
「....さぁ...」
「ないってことか...」
「....いや、あるわ」
「え、あるの?」
「...うん」
「そう。」
(能力なんて不可思議なことに別に興味があるわけではないからあまり詮索はしないが...)
「俺にも能力があるんだね。どうせろくな物じゃ無いんだろうな。」
「......」
「さて....どうしようか。」
(することが無いな...
とりあえず今日は家で静かに過ごすとするか。
流石にカンナがあんな格好(猫装備一式)じゃあ外に出られないしな...
よし、何かヒントになるものがでるまで質問責めとするか.....)