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猫と能力と夢映し  作者: れぇいぐ
#1 猫と少女と五大能力
5/75

猫耳の少女 ☆

挿絵(By みてみん)

12月25日19:25


久しぶりに友達と遊び、勉強続きだった毎日には良い気分転換になった。

満足した夢渡は急いで夕食を口へ流し込んむ、再び勉強の檻に囚われに外灯の灯りを頼りに暗い道を自転車で漕ぎはじめた。

あ、能力がどうたらで騒がしくなるだろうしこの世の中受験どころでは無くなるのでは?

なら、勉強しなくてもいいじゃないか?

なら塾も開いてないんじゃないか?


そんな考えが、塾へ急かす足を遅めさせた。

のんびり漕いでいると昨夜のあの電柱の近くまで来た。


「はぁ・・・」


電柱に衝突してしまい、ましてやそれを知らない人に見られて心配されてしまったうという、恥ずかしい出来事が昨日あったことを思い出し、呆れ際にため息をついてしまった。


(ってか何で昨日は電柱なんかにぶつかったんだっけ?

確か突然何も見えなくなって・・・)

なかなかそんなことになったか見当がつかないままその電柱を通り過ぎようとした時だった。


「ん?」


電柱に何か気になるものを見つけたのか、自転車一度止め、足で後ろに戻り電柱を調べた。

その

すると電柱の影に一匹の真っ黒な猫が足や体の一部を怪我していて、辛そうに倒れていた。


(猫?それにこれって、誰かに傷つけられた感じだ・・・

いったい誰がこんな事を・・・)


「ん?」


誰かの気配を感じ、後ろに振り向くが誰もいなかった。


「気のせいか。」


その傷ついて自力で動けそうにない猫を優しく持ち上げて、自分のマフラーで包みこんで自転車のカゴに入れた。


「もう少し我慢してろよ・・・」


猫をあまり揺らさないように気をつけながら自転車を漕いで、途中のコンビニで包帯と小さめの牛乳パックと深めの紙皿を買っていった。

(まさか猫を助けるのにこんなに金を使うとは・・・)


自分では稼げない夢渡には少々痛い出費だった。

コンビニの前でまず怪我をしている後ろ足に包帯を巻き、再びマフラーで包む。

やっとの事で塾の駐輪場につけば、自転車をおける場所を探し、そこへ停め、先ほど買った牛乳を紙皿に入れ、こぼれないように安らかに眠る猫の隣にそっと置いた。


(猫って普通の牛乳を飲めるっけ?

まぁ一応置いておこう。

けど、授業にも大分遅れちゃったな〜

本当に塾閉まってないかな・・・)


しかし、そんな善良な行動をした夢渡に現実はそう甘くは無かった。

塾の窓から見える明るい光を見て、覚悟を決めた。

残り1時間の授業はほとんど俺の説教で潰れてしまった。



22:00


猫のことが心配になったので、先生に引きとめられる前に、授業が終われば急いで塾をを出て駐輪場へ向かった。


(流石に死んではないよな。)


自分の自転車のカゴには猫の遺体なんてシャレにならない想像をしてしまった自分を最低だと思ってしまった。

少なくもなく多くもない数の自転車から自分の自転車の場所を思い出す。


「ん?」


自分の自転車のカゴには、はみ出してしまうくらい大きい何かが入っていた。

近くによって見えるとこまで来て、何があるのかわかった。

そのカゴにいたのは一人の少女だ。


(ちょっとまてよ...これ本当に俺の自転車だよな・・・)


自転車を確認するが、やっぱり時俺のだ。


(お...女の子!?

これはクリスマスの奇跡というのか...?

サンタさんありがとう!

これは俺にも彼女ができて、学校卒業するまでにもう一つのほうも卒業出来るってことですよね!)


とかそんなのは甘い考えだった。


(なに!?耳と尻尾....だと!?)


その少女は人間にはついているはずのない猫のような耳と尻尾のようなものが生えているのに気がついた


(まさか、どっかの星から地球と交友関係を結ぶためにきた、宇宙人だったり。ある日、道端で死んだ猫を埋めてあげたら、怪異に取り付かれたーっとか、ある文系部に入ったら先輩に猫耳をつけられたとかだったり....)


そんなアニメのような馬鹿な話を考えはすぐに断ち切った。

問題はそんなことではない、いや、確かに猫耳も問題だけど。

その少女は何も着ていないということだ。唯一少女の露出を少し抑えているのが、マフラーということだ。


(マフラー一枚....エロイッ!!!

18禁だろ!!

リアルでこんなことあり得ねえだろ!!)


この状況に適応できていない夢渡は頭を悩ませていた。


(そうだ。まてよ、これは見間違えだ。最近寝不足だからなぁ。

よし。こういう時はとりあえず、目を閉じて素数でも数えばいいか。)


「1..2、3、5、7

って、1って素数に数えるっけ!?

ってかこれって緊張をほぐす方法だろ!」


ゆっくりと目を開けるが

やはり、少女は消えない...


(ん?ならこれはまさか、本物じゃないよな...)


少女に歩み寄り、少女の頭についている耳をつまんでみる...


「ンンゥゥ...」


まるでこの耳が彼女の一部のように反応したみたいだ...

何故か彼女の顔が赤くなっていた。


(なら尻尾は??)


今度は反対側に移動し、少女の尻尾を掴んでみる...


「キャッ!!」

「おぉお!!」


突然奇声をあげた彼女に夢渡も驚いて思わず声をあげてしまった。


「起きたな。」


少女は周りを見渡し自分に話しかけてきた。


「....ここはだれ?...私はどこ?」

「どう寝ぼけたらそんな疑問詞の使い方になるんだおい。」

「....あなたはいつ?」

「だから疑問詞が滅茶苦茶になってるぞ。

そんなことより...」


やばい、俺の視線が勝手にいけない部位に....



急いで自分は彼女をカゴから抱き上げ、後ろの荷台に座らせ、自分のロングコートを着せた。


女の子を裸で抱き上げたなんて....


「...顔が赤いよ」

「お前のせいだ。それで....お前の名前は?」

「...知らない」

「...はぁ...住所は?って名前も知らないんだから、知るわけないよな。。。

じゃあ、交番に...ってそれじゃあ俺が捕まる!!」


ロングコート一枚の女子を警察に連れて行くなんて、自首しに行くようなものだ。


「....ねぇ...さっきから一人でなに言ってるの?」

「このままじゃ(らち)があかないし、いったん俺の家までこい。」

「....誘拐ってやつ?」

「もうそれでもいいからとりあえず俺にしっかり掴まれ。」


少女の手が俺の身体に腕を回して、身体を寄せた。

少女の意外な大きさの胸が背中に当たる。


(ちょっ...

あれ?温かい?

外でこんな寒い格好でいたのに?)


今一度振り向いて彼女の格好を確かめる。

素肌の上にコート一枚とマフラーを首に巻いているだけだ。

コートを着せるまではマフラー一枚だけだったはずなのに....

体が冷えている様子はなかった。


(俺のマフラーだよ...な。

てか、裸マフラーだったのか。。。どうして気づかなかったんだよ俺...)


何もせずのいるより先に家に帰ったほうが良いとおもい自転車(チャリ)を漕ぎ始めた。


数分漕いだあと、人通りが全くない道を走っていたおかげか、黒い車が後ろをゆっくり走っていることの気がついた。


(何だあの車。)


狭い道だから自転車が邪魔で追い抜かすことができないのか。

そう思い、途中で道を曲がった。


(げ、何だ。道を譲ってあげたっていうのに....)


ならもう一度。

しかし、車は夢渡たちの後を追いかけるように徐行し続けた。


(これは...まさか...)


そして突然少女が、「...逃げて」と耳元で呟いた。


それを聞いて足腰に強く力を入れて自転車の速度を一気に上昇させた。


「なんだよあの車!」


軽く後ろを向いてその車を確認した。

フロントガラスは若干暗くて見えづらかったが、車には二人。そのうち一人の男性らしき姿が車の窓から乗り出していた。


すると、パンッ!という銃声が響き、その後、一瞬で俺の顔の横を熱気を帯びた何かが通り越した。


(....なんだ今の!?)


「.....〈発火能力(パイロキシス)〉。」

「パ....イ...ロキシス?」


発火能力?

聞いたことあるな....そう今朝のテレビで.....

それじゃあ今のが能力(スキル)ってやつか!?


「ってなんで記憶喪失のくせにそんなこと知ってるんだよ!?」

「...知らない」


パンッ

2発目だ。



「ヤベッ!」


とっさに角を曲がって回避した。


「くそっ!

なんで俺たちが怪しい奴らにストーカーされ、挙げ句の果てに襲われてるんだよ!?」

「....あなたに恨みがあるんじゃないの?」

「あんな能力(スキル)を使う奴ら知らねえよ!!

ってか、お前が原因だろ!絶対。」

「....知らない。」

「おい。」


逃げつつも悠長に会話しているが夢渡は必死に自転車を漕ぎ続ける。


すると後ろの車から二人の声が聞こえた。

一人は少し太い声で、もう片方は少し枯れているがだいぶ低い声だった。


「もっとうまくやれないの!!」

「仕方がねぇだろ!!!練習がする時間がなかったんだからよ。」

「なら、ダーリン。私と交わりなさい!!私がが仕留めるわ!!」

「わかったよ、ハニー」


(なんだよこのリア充。)


今後ろを向けない状況で声でしか相手を判断できなかった。


「何が目的だ....まさか....俺の体!?

ごめなさーい!!俺はノンケなんで!!」

「....何を言っているの?」


そんなふざけたことを言っている夢渡にもう一度後ろから銃声が襲いかかる。


バンッ!


(っく。逃げ道が無い!!)


運悪く道はまっすぐの一本道。

不幸中の幸いか、敵の攻撃は夢渡たちには当たらず、カゴに入った鞄に当たった。


「ちょ!!俺のバックがぁぁ」

「...多分〈水操能力(ウォーターフォロー)〉だわ」

「何だよそれ!?」

「...水を自由に操れるの」

「なるほど、それって操って水圧で穴を開けたのか。

って、それやべぇじゃん!!」


流石に能力者相手に焦り出す夢渡。

そこへ容赦無く命令する猫耳少女。


「...もっと早く漕いで」

「お前....ここで見捨ててやろうか!?」


こいつが原因だ...なら本当にこいつを落とせば狙われないじゃ無いか?

ってバカ、ここで落とせばあの車はねられて死ぬだろ。


次の攻撃が来る前に信号機のある交差点を通り過ぎた


「ん?」


急に車の音も二人の声も聞こえなくなったので、少し気になり一度スピードを落とした。

後ろを向くと車は信号に足止めされていた。



「ちょっとダーリン!何で止めちゃうの!?」

「いや、赤信号だし。」

「こんなところで信号気にしなくてもいいでしょ!」

「いや....この前免許奪われそうになったから...」

「それはあんたのせいだしょ!!」

「というか、パンクした。」

「はぁあ!?」


止まった車の中で二人は口論していた。


「人通りの少ない道なのにわざわざ止まるとは...」

「....安全運転ね」

「几帳面だな!...しかもパンクしたなら好都合、さっさとにげる!!」

「....」


すぐそこの角を右曲がり、そのすぐ角をもう一度右に曲がった。


「....戻ってない?」

「いや....いいんだ....俺の家はすでに通り過ぎてるからな。」


流石に一度通り過ぎた場所にわざわざ戻りに行っているとは思わないだろ。

これも居場所を特定されないための行動。

まぁ無意味だったかもしれないな。


「はぁ....よし...さっさと家に帰ろう」



「はぁ...はぁ....はぁ....逃げ切れたな。」


二人乗りをして早く自転車を漕ぐのはだいぶ辛いものだった。


「ふぅ。」

「...お腹空いた」

「...お前...」


(もう叱る気力も湧かないぞ....)


少し焦り気味に自転車を家の裏側に持って行き、少女の手を掴んで家の中に連れ込んだ。







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