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猫と能力と夢映し  作者: れぇいぐ
#4 能力対決とマッドグループとSST(上)
49/75

#4 すれ違い

6月8日

11時過ぎ


(我慢してくれって言われても....

けど俺は何も出来ない....

ミヤビッチを捕まえて吐き出させるか....

けど連絡先も知らないし....)


夢渡は岡類斗大学から出て、適当に行ったり来たりしていた。


「あー!どうすればいいんだ!!」


幸い辺りには誰もいなかったので少し騒いでも平気だった。

けど、騒いだところでどうかなるわけではない。


「君はレディーを助けたいかい?」


そんな美声が後ろから聞こえた。

振り向けどついこの間見た顔の男の子だった。

金髪で少し癖っ毛でまるで何処かの国の大富豪の御曹司のような男の子。


「お前は。....えっと....」


自分は彼の名前を知らないが、すごい能力を持っていたのは覚えていた。


「ああ、<絶対王政(ソロキングダム)>の。」

「僕の名前は王坂(おうざか)ルイ。

ルイと読んでくれればいいさ。」


(苗字は日本人なんだな。)


「それで、俺になんのようなんだ。」

「君がガールフレンドを救うのを助けてあげようと言ってるんだ。。」

「が、ガールフレンドじゃないって!」

「じゃあ何でそこまでして助けたのだい?」


(なんでって....)



「そ...それは心配だからに決まってるだろ。

あいつの能力は貴重だから何されるか....」

「そうかい。

ならなおさらすぐにでも助けに行かないとならないな。

君も知っているだろう、SSTは学校の生徒を秘密に拉致している噂を。

。」


ルイは自分の髪をつまんでクルクル回してそう言った。


「ああ。」

「君はガールフレンドを助けたい、そして僕たちも今君の能力を必要としてるんだ。」

「だから、ガールフレンドじゃ...え、俺の能力?」


(コピー能力のことか!?)


「君のその<軽業(アクロバット)>があれば僕たちも助かるんだ。」

「あ、」


夢渡は自分は塀の上を平気で歩いていたり、家を飛び越えていたりしていたことに気がついた。


(通りで体が軽いのか、けどいつコピーしてたんだ?)


「僕たち僕たちって言っているけど、お前以外に誰が...」

「僕はねSSTに敵対している<マッドグループ>のリーダーさ。」

「マッドグループ....」


その名前を聞いて元日に実家の神社で起きたことを思い出した。


「なぁ、今年の元日、ある田舎で起きた事を知っているか?」

「田舎..?そういえば他の県でバカなことをした誰かがSSTに捕まっていたな。」

「...すまん、この話なかったことにしてくれ。」

「え、ちょっと。」


夢渡は王坂を後にしてその場を去った。


(ふざけるなよ...カンナに手を出そうとした奴らが....本気で俺を殺そうとしてたじゃないか....)


王坂はそれほど残念そうな顔をせずに、両手を腰に当ててため息ついて呟いた。


「まぁ、いずれ彼はこっちにくるさ。」

「ルイ兄!」


王坂の後ろから突然出てきた少女はそう叫んで言った。


美時(みとき)。」

「うまく逃げられたよ!!」

「偉いじゃないか。」

「それでさっきの男の子は?」

「彼?ああ、大事な人をSSTに連れて行かれた同士さ。」

「へぇ〜、仲間が捕まっちゃったから増やしてるんだね!」

「ああ、そうさ。」



12時前後


夢渡は家を屋根を上を跳んで昇の家へ向かおうとしていた。

この<軽業(アクロバット)>は忍者にでもなったように体は軽くなって早く移動できる。


(電車よりもこっちが手っ取り早いな。)


自分が偶然この能力をコピーしていたことを幸運に思いつつ先を急いだ。


「ここか。」


多分1時間はかかる道を10分ちょっとでついてしまったようだ。


初めて一人でこさせられた時は「上ヶ赤」という表札と間違えて探していたため、相当時間がかかったというどうでもいい過去を思い出してしまいながらも、インターホンを押した。


「はいはーい。」


インターホンの向こうからは呑気な女の声がした。


ガチャ。


「あ、夢渡くん?今日も昇に用事?」


出てきたのはエプロンを着た黄華(おうか)だった。


「ああ、ちょっとね。」


(昇なら助けてくれる。青野の時みたいに何か知ってるかもしれないし。)


そう思い、わざわざ昇の家まで着た。


「ちょっと待っててね〜。叩き起こしてくるから。」


(まだ寝てるのかよ....)


玄関の外からでも昇の悲鳴と騒ぎ声は聞こえた。


「...ああ...ゆめ?どうした?」


寝起きでボサボサの髪を掻き毟りながら昇は夢渡に聞いた。


「いま大変なことになってるんだ!」


夢渡の焦り具合を察して昇は目を覚ましたようだ。


「なんだ?どうしたんだよ!?」

「カンナが誘拐されたんだ!!」

「本当か!?誘拐した奴らはやっぱりカンナの体目当てか!?」

「....ふざけてる状況じゃないぞ?」

「や、やっぱり<能力辞典(スキルブック)>目当てか!?」

「ああ、そうみたいだ。それで昇にも助けて欲しいんだ。」

「ああ、俺も手伝うさ!!誘拐した犯人とかってもう突き止めてたりしてるか?」

「確信じゃないんだが...SST...」


その言葉を口にした途端、昇の表情が変わりまさかの返事が返ってきた。


「ごめん、お前の手助けはできない。」


(え?)


「おい!どういうことだよ!」


昇の両肩をつかんで顔見つめたが、昇は顔を合わせようとはしてくれなかった。


「手伝えないんだよ。」

「だから!!どういうことだって!!」

「俺も....俺もSSTだから。」


(昇がSST?嘘だろ?)


「おい、嘘だろ....というかなおさら協力してくれよ!!」

「すまん...それは出来ない。それに俺は何もSSTの事は知らないし、情報を提供することも出来ないんだよ。」


それは嘘ではなさそうだった。


「それでも!」

「無理だ!俺にも約束があるんだ....」

「親友のお願いでもか!!」

「親友でもだ....」

「もういい!!」


夢渡は昇の家の前から消えるように跳んでいった。


(また....また昇は俺を裏切るのか....)


「マッド....彼らと協力しよう....」


親友にも裏切られた夢渡は濁った瞳でそう呟いた。



夢渡くんがうちに来るのはそう珍しいことではなかった。


両親とペットがいない家には義理の兄弟にになる昇と2人きりだった。


昇は相変わらずこの時間まで寝ていた。


私はお昼の支度をするためにエプロンを着て料理をしていたところだった。


(半年前の生活とは大違い....)


お父さんが再婚して、兄弟もできた。


静かだった家は両親がいない時間でも寂しくはない。


ピンポーン


突然のインターホンの音で私は急いで火を止めてインターホンのボタンを一回押して「はいはーい。」と言いながら玄関へ向かった。


家の前に立っているのは夢渡君だった。

きっと今日も昇と遊びに来たのだろう。

まだ、私のことを思い出していないのだから.....


「あ、夢渡君?今日も昇に用事?」

「ああ、ちょっとね。」


私は見てすぐに分かった、彼は何か焦っている様子で、緊急な事態なのだろうと。


「ちょっと待っててね〜。叩き起こしてくるから。」


私はそう言って昇の部屋へ向かった。


(はぁ...相変わらず休みの日はこんな時間まで寝てるんだから....)


「起きろ昇。」

「....むー。」

「むーじゃない!!」


そう叫んで彼の布団をひっくり返した。


「い、イッテェエエエ!!」

「ほら起きろって!」

「もっと優しく起こしてくれよ!!」

「夢渡君が来てるよ!」

「え?あ、遊ぶ約束してたっけ?」

「知らない、早くしたに行って合ってあげて。」

「はいよ〜。」


昇は半ば眠そうに部屋を出て階段を降りていく。


それから私は昇の後ろで彼らの会話を聞いていた。


「もういい!!」


夢渡君はそう叫んでどこかへ跳んで行ってしまった。


「ねぇ、カンナちゃんが誘拐されたんでしょ?助けてあげないの?」

「しょうがないんだよ.....そう言われてるんだから。」

「...あんた、そんなろくでなしだったの?

小学生の頃あんたが夢渡に言った言葉覚えてないの?

「逃げるな!立ち向かえ!!」って!!」

「何にも知らないくせに!」

「だっさ。もういい。

私は助ける。」


私はそう昇に言い残してエプロンの結びをほどきながら自分の部屋へ向かった。


昇は一人で床を見つめながら辛そうに呟いた。


「何も知らないくせに.....」


今回は他で2視点です。


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