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猫と能力と夢映し  作者: れぇいぐ
#4 能力対決とマッドグループとSST(上)
46/75

#1 能力対決

6月5日


ゴールデンウィークが終わり、1ヶ月。


とうとう始まってしまった、水屯(すいとん)高校初の能力対決(スキルマッチ)

史上初の能力科はSSTという能力(スキル)に関わる秩序を守る団体との連携により自分たちの世代から作られたもので、それは能力(スキル)に関わる研究のためとも言われている。


その研究の一環として生徒同士での能力(スキル)を利用したコミュニケーションと軟らかく言っているが、ケンカをを許している。


もちろんそれにも条件があり、「殺してはいけない」「お互いに承認し合わなければならない。」といった人徳的なルールはしっかり設けている。

もしそのルールを破ったらどのような処罰を受けるかは誰も知らない。


この学校の保健室の教師は治癒能力(キュアスキル)の上位レベルの持ち主らしく、殺されなければ怪我は治せる。

だからこそこの能力対決(スキルマッチ)という制度を設けられるのだろう。


よく知りもしない制度を使おうとする生徒は入学からしばらくはいなかった、大分学校生活に慣れ、クラス内でのグループができ互いの好き嫌いも明確になってくるに連れ、雰囲気が変わっていった。



12:13


「....暇....」


学校の昼休み、教室に戻ろうとカンナと一緒に廊下を歩いていた。

そんな中、カンナはボソって呟いた。


「おい...いいじゃないか平和なんだから。」

(カンナが来てからこんなに平和に過ごせたことはなかったんだからさ...)

「....暇すぎる....」

「また事件に巻き込まれてたいのか?」

「...」


中学のいつもの頃のメンバーに、カンナと落合2人が加わった平和な学校生活を送れている。


教室に入ろうというところで、一つ先のE組から走って青野が出てきた。


「あ、はく....ゆ...夢渡くん!!」

「え、あ。」


最近馴れない呼び方をされて、上手く返事も出来なかった。


「ちょうどいい!購買に行きましょう!!」

「え、ちょ?」


青野に腕を引っ張られ走って購買に向かった。


途中落合トリオが教室に向かうのを見て、昇に声をかけた。


「あ、昇!」

「お?何だ?青野とイチャイチャしちゃって〜」

「そんなんじゃないって!!それよりお前も購買に行かない?」

「んじゃあ行く.....ぐえっ。」


俺たちを追うように走ろうとした昇を黄華(おうか)が襟を掴んで引き止める。


「だめだよ?せっかく弁当があるんだし、お金を無駄に使っちゃダメでしょ。」

「あ、おい黄華邪魔するなよ!!

それに薄い本なんか買っているお前にお金の無駄とか.....」


既に距離が離れ、聞き取れなかった。


「やっぱり遅かった....」


購買に沢山群がる生徒を目の前に青野はがっかりそうに口にした。


「そうだな、しょうがないさ。」


購買は普通科と能力科の校舎の間にあり、人数の多い普通科が沢山占めている。


「ん?」

「何?」


購買の前で群れているのはパンを買いにきたのでがなく、何かを見に来たって感じのようだ。


「ちょっと見に行きましょう。」

「え、まじで。」


ブレザーのポケットに突っ込んでる手の腕を引っ張られ群れの中に入った。


「おい!それは俺が先に取ったマンゴーメロンパンだろ!!!」

「何を言っているだい。

それは僕のものだろう。」


スポーツ刈りのガタイの良い男と金髪で以下にもぼっちゃまそうで、ひ弱そうな少年が購買の限定パン<マンゴーメロンパン>を奪い合っていた。


(あの大きい奴は俺と同じクラスだっけ.....)


彼らの言い争っている間に一人の眼鏡をかけたパッツン頭の小柄な少年が割り込んだ。


「ならば能力対決(スキルマッチ)で決めませんか?」


眼鏡を掛け直して言い争う二人にそう言った。


能力対決(スキルマッチ)?」

「この学校に設けられた能力を使った対決さ。」

「ほう、この僕にはふさわしそうじゃないか。」

「いいじゃねぇか。」

「よし、決まりですね。」


提案した少年は眼鏡を抑えて不穏な笑みを浮かべた。


「ちょうどここは能力科の校舎でもあるのでここでやりましょう。」

「おう。」

「いいでしょう。」


周りもざわつき始めた。


能力対決(スキルマッチ)だって?」

「え、まじで?」

「ちょっと知らせてくるわ。」

「よーっし。いけー!野山ー!!」


徐々のギャラリーが増えて騒がしくなっていく。


「それでは、1年D組 <規制保持(ルールフロウ)>の笹暮(ささくれ)信也(のぶや)がこの戦いを見守りましょう。」


眼鏡の少年は自ら審判として名乗り出た。


「なぁ、D組ってことは....」

「私達よりも強力な能力(スキル)を持ってるってことね。」


実際は俺と青野は<五大能力者(ソース)>という最も希少な能力を持っているが、諸事情で隠さなくてはならないのだ。

今の自分は<無能力者(ノーン)>としてF組、青野はカイトの<人体強化(ヒューマンアライズ)>によって五感および筋肉などか強化されていて、今は少しレベルの高い<強靭能力(ストロング)>として扱われ、俺の一つ上のE組にいる。


「俺はF組の野山(のやま)(ごう)、<強靭能力(ストロング)>だ」


ガタイの良い方は自らそう名乗った。


(野山はああ見えて優しいが、結構バカだ。ただの筋肉バカか?)


「っふ。君に名乗るようななんて馬鹿馬鹿しい。」

「はぁ?何だとー!?」


金髪の坊っちゃまはまるで野山を挑発しているようで、それに野山は見事のせられてしまっている。


「見た目上野山方が断然強そうだな。」

「そうね....けどこれは能力を使う戦いだからね。」

「ああ、あの金髪の奴がどんな能力を持っているかだよな。」


能力を使った戦いは何度も経験したせいか、自分達だけ周りと比べ大分冷静だ。


「なぁ、青野のクラスにあんな金髪いたか?」

「いないわよ。

多分D組じゃないかしら。」


「それでは両者、僕の言ったことを復唱しなさい。

「今対決において殺人に及ぶ行為は行わない。」」


審判の言うとおり二人は従った。


「この対決で殺しわしねえ。」

「このようなことでは人は殺す程僕は野蛮ではない。」

「「勝負があれば能力を解除する。」」

「戦いが終われば能力は使わねえ。」

「こんな奴相手に能力は使い続けないよ。」

「さっきから聞いてれば何だよテメエ!!」


さすがの野山キレた。


「これで君たちはこのルールを破ることは出来なくなった。

それでは、勝負!」


その掛け声と共に野山は全身に力を入れて、体が一回り大きくなった。


「うおおお!!先手必勝!!」


そう叫んで余裕そうに立っている金髪の少年に襲いかかった。

野山の拳が振り下ろされる瞬間、金髪の少年はボソッと何かを呟いた。


「うお!!」


突然野山は重力に押されるかのように(ひざまず)いた。


周りの野次馬もそれを見て「何だ?何だ?」とざわついていた。


そして金髪の少年はまたボソッと何かを言った。

その後野山の口が震えながらこう言った。


「こ...降参...だ....」


まさかの降参とのことだ。


「....勝負あり!」


それを聞いた審判の笹暮はジャッジした。


「おいおい、降参だってよ。」

「嘘だろ、あんなでかい奴が突然降参かよ。」

「なんだよ、こんなんで終わりかよ。」


あっけない結果に驚く者がいれば、呆れるやつもいた。


金髪の少年は一言「メロンパンは僕の物だよ。」と言ってパチンと指を鳴らし何処かへ行ってしまった。


「<暗示構成(トランスジェネレート)>...?」

「夢渡くん心当たりでも?」

「ああ、年末にちょっとな...」

(あんまいい思い出じゃないな...)


変な2人組に襲われて、ギザなやつに助けられ....


(まぁ、あとは射的で反則しただけだな。)


「...多分違う....」

「ぬお!!」


突然背後からカンナが出てきて驚いた。


「あれ?カンナちゃん。」

「びっくりさせるなよコラ。」


軽く猫耳を引っ張ってやった。


「....痛い」


カンナは<擬獣化(アニマニフィー)>という能力(スキル)を持つものと扱われているため、今更猫耳があろうとなかろうと知ったこっちゃない。


(まぁ、本人にはこれが一番安定しているんだろうけど、周りからしたら中途半端に能力を使っている物好きな人と思われているんだろうな。)


「...」

「な、何だよ青野。」


青野はなぜか俺がカンナをいじるとこちらを睨んでくる。


「そ、それよりカンナ。これが<暗示構成(トランスジェネレート)>じゃないってどういうことだよ。」

「....どちらかというと<絶対王政(ソロキングダム)>...」

「なんだ、そんなに痛そうな名前は。」

「....<暗示構成(トランスジェネレート)>は相手の意識に催眠をかけるもの。

....<絶対王政(ソロキングダム)>は相手の意識を支配するもの。」

「....は?」


(訳わからない。)


「....覚えてる?

....夢渡が<暗示構成(トランスジェネレート)>にやられた時、どうやってその能力から抜け出した?」

「え....と...<(ライト)(アロー)>で攻撃を食らって...」

「じゃあ、<絶対王政(ソロキングダム)>は外部から衝撃がきても解除されないってことね。」


隣で聞いていた青野は理解しているようだ。


「....そう。」

「え?じゃあほぼ最強じゃね?」

「...そうなるわ。」

「結構使い慣れているみたいだし、口だけじゃないようね。」

「そうだな。」

「....」

「ん?カンナどうした?」


カンナは誰もいない方向をぼーっと見つめていた。


「....何でもない....多分気のせい....」


野次馬も解散し始めて、購買の辺りはかなり静かになった。


(ん?今<能力辞典(スキルブック)>を使ったよな...)

「そういえば香月は?」

「..............知らない。」

(いつもより間があるな。)


「香月って?」

(そういえば青野は知らないっけ。

教える必要があるか...?)

「気にしなくていいよ。」

「何よそれ。」


仲間はずれにされたと思った青野はまたも嫌な顔をした。


「....ねぇ。」

「ん?何?」

「...用事は済んだの?」

「え?あ?」


購買を見たが棚にはすでに何も残っておらず、購買のおばちゃんが片付けを始めていた。


「あらま...結局買えなかったな。」

「何呑気なこと言ってるの!!これで私のお昼ご飯なくなったじゃないの!!」


青野の今日のお昼は購買食べ物だけだったらしい。


(流石にそれは可哀想だな...)

「なら俺の弁当いるか?」

「え....ほ...ほんとう?」

「ああ、全部はあげられないけど。」

「ありがとう!!」


青野はいつになく嬉しそうに言った。


今回の能力対決は馬鹿らしいことが理由だったが、この能力対決がこれから校内の雰囲気を変えていった

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