#5 香ンナ月2
理不尽じゃない?
だって、元々は私の体なのに何の記憶もないもう一人の私が出てきて私の体を使っている。
寝たり、食べたり、喋ったり、夢渡と...遊んだり....
私は基本見てるだけ、出ようと思えば出られるけど長くは出ていられないし、それはおかしいの。
元々は私の体なのに、なんで私が後ろからでなくちゃいけなくなっているのか。
私が表にいるのが当たり前じゃなくなり、私でない私が表にいるのが当たり前になっている。
高校生になり、私はその高校生活を楽しめない。
私の存在さえ知らないもう一人の私が私の夢渡との高校生活を送っている....
「おかしい....おかしいよ...なんで....なんでなんでなんでなんでなんで....」
誰にも聞こえない、届かない私の声が暗闇に響く...
「もう嫌....こんなところに....いつまでも.....どうして....
何で聞こえないの.....何で分かってくれないの....」
ここ数日同じようなことを言い続けていた。
「ねぇ....私...私...もう我慢できない...無理...1人でこんな....おかしいおかしいおかしい...」
1人で、いつまでもいつまでも呟いた。
そんな時だった。
彼の声が聞こえた。
「どうしたんだ?」
まるで直接私に尋ねているような。
私は驚いてそれに反応した。
「...!聞こえるの!?え?」
なんで彼が私に!?
「その声は....いやけど何で...どういうこと?
どうして?
どうやって?」
「だから、どうしたんだよ。」
「....やっぱりその声....ゆめ」
しかし、彼の声は突然聞こえなくなり、私の体に変な違和感を感じるのが分かった。
「なんか、いつもと違う感じ....何があったの....」
ここ数日中に引きこもって、外の様子を見ていなかったが、この状況下では外を見ざる負えない。
外はいつもと変わらない景色。
またカンナが夢渡のベット寝ていたのか、目の前には夢渡がぐっすり寝ていた。
けど違う、私の中が何か違う。
自分の体が自分じゃない何かに触られているような....
自分の中の声に耳を貸した。
『やっぱり....奇妙な感覚だな....ってそんなのはどうでもいい。
なんで、俺とカンナが入れ替わってるんだよ!!』
カンナの口調じゃないし、この声....
って、入れ替わってる!?
夢渡が私の中に?
しかし、そんな声はこちらから届くわけがない。
私はすぐに自分の能力<能力辞典>で原因を探した。
これじゃあ、夢渡と話せなくなる....
<魂交換>...じゃあ、私も夢渡の体にいるはず...
だとしたら<性転換>?いや、そしたら容姿だけが変わる....
頭の中でいろんな能力の情報を引き出した。
<不規則運命>?
それでもここまで限定されることはない...
なら....五大能
最後の結論にたどり着こうという時に、突然呼び出され表に出された。
もう私の出番ね....
目を開けた先には夢渡...いや、今はカンナがこっちを見つめてくる。
私はまず一番に、初対面への挨拶をする。
「始めまして、カンナ。」




