#2 後日談2
目覚めたら森にいた。
そこは見覚えのある、森だ。
そうあの狐、ユキエが守っている霧狐山の中にいた。
(あれ、なんでここに....)
そう、昨日まで自分のベットに横たわっていたのだ。
(ああ...ここにいるってことはユキエは?)
葉っぱで作られたベットか体を起こし、辺りを見渡した。
「カラダもおもいぃ.....」
変な違和感を感じた
(あれ、胸が重いような...肩がこりそうだ....え?
ええ!?)
「えええええええ!?」
自分がユキエになっていることに気づき、叫び驚いた。
(...ちょっと待てよ...
この体が自分の体がなら、自分が好き勝手触っていいと....)
「揉み放題キター!!!」
両手をゆっくり自分の胸の当てて、包むように掴んだ。
「....ん....」
(確かに大きくて柔らかいけど、自分が触ると変な感じだ...)
『昇殿は何処に!?』
直接声が頭に聞こえたように感じながらも、近くに誰かがいるのに気づいた。
「ユキエ!?」
ガサガサ
葉っぱの踏む音と共に自分の体(昇本体)が現れた。
「俺が二人!?」
「そんなリアクションはいらぬ、それ以前にお主ワシ、ユキエがいることに気づいておろう。」
「ふむ、なるほど。
体は入れ替わり、俺はユキエの能力心読術が使えるようになったと。」
「相変わらず察しが良くて助かるわい。
所でお主、ワシの体で何かしおったか!?」
(ギクッ)
正直に言うほど俺はバカではない。
「いや、そんなことする暇無かったぜ。」
「っく。こういう時に心読術があればのう....」
(そっか、今のこいつは心が読めないんだ!!)
こんな状況でも動揺しない昇だった。
「けどさ、お前が言う心読術って、勝手に頭に入ってきちゃうものじゃなかったっけ?」
「ほれ、お主。その髪飾りの鈴。」
「....黒塚が仕込んだのか。」
「まぁ、あやつはいい奴じゃよ。」
(そう言われてもあいつは容赦無く人にナイフ向けたからな.....)
「もういいじゃろ?元の体に戻る方法を探すぞい。」
「えー?もっと楽しみたかったのにー。
むしろ当分このままで...」
「嫌じゃよ!こんなもやしみたいな体じゃ、まともに体を動かせんではないか!!」
「おい、これでも鍛えてるんだぞ!ユキエには敵わないが....」
ピピピピ
そんな中に突然電話がかかってきた。
とっさに自分の腰に手を当てポケットを探すが、今は自分の体で無いことに気づいた。
もちろん着物にポケットがないことに気付いた。
「おいお主、どうすればいいのじゃ!?」
バイブで震える腰に手を当てて聞いてきた。
「と、取り敢えず俺の真似して出てくれ!!
ほら、携帯を開いてその青く光ってるボタンを...」
ユキエに支持を出すがうまく使えないようなので、携帯を奪い取り自分が出ることにした。
『あ、もしもし?』
「....」
(あ、ゆめか。)
『もしもし?』
「....あ....あー。あー。」
まず、ユキエっぽい声を出すために喉の調節をした。
『ん?何か聞いたことのない女性の声がした。』
(お、これは大成功だ。)
「あ、もしもし?おぬしが夢殿か?」
『え、あ。はい。そうです。
貴方は?』
「ん?....」
(そうか、初めてだからキャラ作りしなくてもよかったのか。)
けどすでに遅かったので、この調子で続けた。
「あ、わし?ワシはユキエじゃ。」
そう自己紹介したすぐ隣で聞いていたユキエが突っ込んできた。
「ワシはそんなバカみたいな喋り方はせモゴモゴ!!」
急いで口を封じた。
『....昇とはどういう関係なんですか?』
「え?....昇君とわぁ。えーっと〜
体の関係見たいな〜」
「え!?」
『あ...あいつ。そんな関係を持つ人がいたのかよ....
妬ましい...』
(ははは、本当だと思っていやがる)
「バカ...ワシはお主とそんな....」
「....ちょ、やめろ!!」
『あの、そこに昇がいるんですか?』
(ほら、ユキエが邪魔するから....)
「え?昇は今忙しくて電話に出られんのじゃ。」
『また口調が戻った....おかしな人だな...』
(俺に伝えたいことがあるみたいだから、聞いておくか。)
「何か伝えることがあるならば、ワシが伝えるぞよ。」
『あ。はい。お願いします。
えーっと。今日は急な用事が入って、プールに行けないからまた後日連絡するって伝えてください。』
「おう....じゃなくて...わかったぞよ...ではまた今度」
『はい。』
ピッ。
「....はぁ...なんだこの疲労感...」
「それはこっちのセリフじゃよ....
所でお主の友達はあんな女の子っぽい声をしておるのか?」
「え?そう?いつもあんな声だが。」
(ってか女の子っぽい声か?)
「まぁよい。早く元に戻る方法探すのじゃ!!」
「ふっふっふ。方法を探すのに俺が必要なんだろ?」
「分かっておるなら、話は早い。早くワシの心読術で....」
「へぇ〜。俺は別にこのままでも困らないし〜。むしろ嬉しいぐらいだし〜」
「お主一体何を企んでおる!!」
「まぁ、元に戻る方法を見つけたいなら。俺の言うことを....」
「お主がそのつもりなら、ワシだって!
もし探してくれないと言うならば、ワシはお主の体で真っ裸になり、外を歩き回るぞ。」
「へぇ〜、別にそんなことしても今更だぜ。」
「...お主....一体周りからどんな風に思われておるんじゃ....」
「それ、お前が解決してくれなかった俺の悩みだよ!!!」
「なら分かった!その悩みを今度こそ」
「もうそんなこと気にせず生きていくって決めたも〜ん。」
「....分かったのじゃ....言うことを聞けばいいんじゃろ....」
心の中で始めてユキエに勝ったという優越感を感じた。
「で、俺はどうやって探せばいいんだ?」
自分はこの能力の使い方を知らない、知るわけがない。
「そうじゃな....お主の能力、<限界突破>を使うときと同じ、お主の精神を集中させながらイメージすればよいかの。」
「ふむふむ。
そうだ。」
ふとある事に思いついた。
ユキエの手を握手するように両手で握った。
「何じゃ?」
「ほら、<限界突破>を使えば簡単に...」
「無理じゃ。」
「え?なんで?」
「ワシはお主ほどの精神力をもっておらぬからな。
お主の精神力なら、ワシの能力もすぐ簡単に扱えるはずじゃ。」
「そうか。分かった。」
自分は目を瞑って、心の中でイメージした。
(俺たちの体を入れ替えた張本人....
そんな能力を持つ人....)
徐々にキーワードを絞っていった。
(....頭の上と腰の辺りがなんかムズムズする...)
体に変な違和感を感じつつも、能力に集中した。
(....んー。
後は....俺達のことを知ってる人か?)
「っぐ!」
突然頭に暗闇のような謎のイメージが入りこんできた。
「どうじゃ。見つかったかや?」
「ああ...こころは読めなかったが、場所は特定出来た。」
「そうか、なら早く行くのじゃ!」
「あれ。」
目を開けたらまたさっきとは違う光景になっていた。
目の前には自分の体の足があり、景色全体も全てが大きくてなったようになっていた。
「ん?あれ、大きくなった?」
「違う、お主が小さくなったのじゃよ。」
「え?」
「多分、精神力が乱れて元の姿(狐)になったのじゃよ。」
「えええ!?」
ユキエの体になったのはそれほど気にしていなかったいや、むしろ嬉しい....触れれば、けど狐になるとは思いもしなかった。
「ワシってこんなに小さかったのじゃな。」
.....
「そうじゃ。」
ユキエは目を光らせて、俺の方を眺めた。
「.え?...なに?」
「お主...わしになんでも言うことを聞けと言ったのう?」
「あれれ...俺の笑顔ってそんなに怖かったっけ〜」
そしてユキエは俺に両手を差し伸べて、あちらこちらと体を触ってきた。
「ぎゃー!!!!」
「ふふふ...ワシはワシの弱点である部分を熟知しておるからな。」
「や、やめ!!!くすぐったい!!!」
「さっき言ったことを撤回するのじゃ!」
「やめ!!!わ、分かった!!!分かったから!!!!早く離して〜!!!」
☆
「く...苦しい。。。」
「シー!我慢するのじゃ....」
ただいま、電車の中でさらに自分のバックの中から少し顔を出し、呼吸した。
(....ユキエはこのバックの中で半日過ごせてたのか...すげェな....)
「ほれ、着いたぞ。」
「よし、じゃあ。そこまっすぐ行って....左.....」
先月入学した学校に向かう道を歩いていく。
「ここがお主の学校か。」
「そうだよ。
まぁ今回はここじゃなくてその隣の公園だけどな。
あ、その前に何か力戻って来たっぽい。」
「え、あ!ちょっと待つのじゃ!!」
「あ、もう無理。」
力が入ったのと同時に力が抜けて、よくわからない状況なり、気づけば今朝起きたときと同じ視線の高さに戻っていた。
ユキエは焦ってバックから着物をとって、俺に着せた。
「ふぅ....」
「あ、あれ。カンナちゃんじゃん?
あれ、その向こうに青野!?」
「おい、お主!!急げ。逃げられるぞ!!」
「え!?なに!?」
近くの植木から狼が出てくるのが見えた。
「狼!?」
「驚いてないで追うのじゃ!!」
「ああ!」
走って逃げてく狼を後ろから追いかける。
「はぁ...む、無理じゃ。この体じゃ....」
「任せろ!!」
(ヤバイ!!この体すごいな!!)
力を入れたら思った以上に体が軽くなり、早く走れた。
(よし...今だ。)
狼のそばまできて、狼を掴みに飛びかかった。
「どりゃ!!」
「うお!?」
狼の口から驚く声が聞こえた。
(こいつもユキエと同じやつか?)
「て、てめぇ、何者や!?」
なまった喋り方に自分も驚いた。
「お前が原因だな。」
「っち。香恵の敵か!!」
「青野とどんな関係だ!!」
「うるせえ!!香恵の胸は俺のもんじゃい!!」
「へ?」
「はぁ、はぁ。でかしたぞ昇殿...」
後ろからユキエが歩い来た。
「あんなもの胸とは呼べん!!」
「はぁ?あれこそ立派な胸だ!!」
「....お主ら一体何を話しとるんじゃよ....」
「いやいや、あれはただの板だ!!」
「うるせぇ!!おめぇのはただでけえだけの付属品だろ!!
どうせ、すぐ垂れて汚い胸に」
「どりゃああ!!」
「ぐはっ」
突然ユキエが狼に向かってかかとを落として、倒した。
「....お前....」
「こやつがワシを侮辱するからじゃ。
さて、さっさといけどるぞよ。」
そういって何処から出たか分からないロープを両手で握って此方を見つめる。
狼はまるで狼人間のように男の人間の姿になっていた。
「げ!」
全裸の男をみて、ユキエは後ろを向いてロープをこっちに向けて言った。
「お主が縛れ。」
「え〜!やだよ!縛るなら女を縛りたい〜」
「いいから早くして欲しいのじゃ。」
「はいはい。」
俺は渋々ロープで裸の男を縛り初めた。
「...よし、これでいいか?」
「もっと強く縛っておけ。」
「お前....」
さらに強く縛っておいた。
その時だった。
また視界が変わって、今度こそ着物を着たユキエの姿があった。
「元に...」
「戻ったのじゃ!!」
「これでひと段落か...」
「そうじゃな。
後は青野という娘の方じゃな。」
「ああ、戻るか。」
それから男を引きずって公園に戻り、怪我した夢たちと交流した。
☆
5月某日 13:50
「これが先日起きたことだ。」
『そうか、じゃあ五大能力者は四人で揃った訳だ。』
「ああ、んでもういいだろ?ちゃんと報告したからお前の目的を教えろよ。」
『まだだ。最後の一人が確認出来なきゃ』
『英くーん。カンナちゃんいなかったよ〜。』
『うるさい。』
「分かったよ...じゃあまた何かあったら報告すればいいんだな?」
『ああ、それじゃあな。』
ピ。
携帯の通話を終了させ、ポケットにしまった。
「やっぱり黒塚教えてくれないぜ。」
「そうか。まだ教えてはいけないということじゃの。」
「ああ....入れ替わってるあいだにこころを読めばよかった....」
「もう遅いの。」
「そうだ!!!」
「な、なんじゃ唐突に。」
「お前の着物を汚しちゃったから洗濯してやるよ。」
「何じゃ。
まぁよい。
特に変なこと企んでる訳ではなさそうじゃからな。」
俺への疑いのなくなったユキエは狐の姿になって、着物から出てきた。
「な!お主それは!?」
「へへへ。あの時からずっと隠し持ってたんだよ。」
俺は黒塚の持っていた心読術を妨害するというガラス玉のかけらを、ユキエに見せた。
「お主!!計ったな!!」
「お前がバカみたいに弱点を教えるからな。
さて、言うことを聞いてもらうか、くすぐられるか、お前の人間姿の恥ずかしい姿を見せるか。」
「っく!
逃げるが勝ちじゃ!!!」
「あ、待て!!!」
狐を追いかけて霧狐山の奥へ走った。




