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猫と能力と夢映し  作者: れぇいぐ
『カラフルアフターデイズ』
40/75

#1 後日談1

「今はこの狼のせいで香恵(かえ)殿の精神は不安定じゃからそっとしておくのがよいの。」


自分は急いで青野とカンナを病院に連れていった。


カンナは頭を軽く打ち、少し切ってしまった程度で、重症ほどではなかった。


青野も少し疲れているとのことで保護者が迎えに来るまで病院のベットで寝かせることになった。



寝てしまっているカンナは、背負って家まで連れて帰ることになった。



青野に関しては


能力(スキル)の使用のしすぎなどが原因で精神力(メンタル)が底をついてしまったようだ。」


その医者は<精神表示(メンタルビジョン)>という、相手の精神力などを知ることができるという能力を持っているらしい。


「おい君。」


「僕ですか?」


「そうじゃ、この診察室にいるのは寝ている二人を覗いて君しかおらんだろう。」


「はい...」


「君は能力(スキル)を使うたびに気絶しておらんか?」


「え?」


(そういえば、相手の能力(スキル)を少し使っただけで意識が飛んでるな...)


「やっぱりの。わしの目には君の精神力(メンタル)と君の使う能力の消耗も見えておるんじゃよ。」


「はい...」


「君はどんな能力を持っているか分からんが、今に君の精神力(メンタル)じゃあ体が持たんぞ。」


「....」


「そこの嬢ちゃんたちも消耗の激しい能力を使っておるが、底知れぬ精神力を持っておるから良いものも....」


「じゃあ....じゃあどうすればいいんですか?」


「精神力を高める方法など沢山あるわい。

結局のところは君自身だ。」


(....やっぱり気持ち次第ってことか?)





(このままじゃカンナ....いや、青野もそうなのかもしれない....誰一人と守ることが出来ない...どうにかしないと...)


ゴールデンウィークが終わってしまう。


5月 7日

10:40


家では元気に過ごしているカンナだが、医者から安静でいるようにと言われている。


姉はまだ帰っておらず、カンナと2人。

ずっと家で過ごしていた。


「....私はいいからプール行って....」




「カンナも一緒に来れないんじゃ意味がないよ。」


(姉もそのためにチケットを渡したんだから...)


「....」


「まぁ、また今度みんなと一緒に遊びに行こうぜ。」


「...うん」


「ところでさ、精神力を鍛えるいい方法ないか?」


「....さぁ」


「そっか。」


(滝に打たれるとか?って言うと思ったのにな....まぁいいか、また香月が出てきた時にでも聞けばいいかな。)


「暇だな....」


「...うん。」


14:30


[204 青野香恵様]と書かれたプレートのが隣に付けられている扉をノックした。


トントン


「入るよ」


「はい。」


「大丈夫?」


「うん。大丈夫。

ごめんね。」


青野が自分から謝るのは珍しいことだった。


「受験が終わってから、周りにきつく当たっていたのは覚えてたけど...なんでだろう....よく覚えてない。」


(きついのはいつものことじゃ...)


「本当に何も?」


「うん。

あ、けどカイトと関わってるのはしっかり覚えてるよ。」


「....今回の件カイトって狼のせいか?」


「....違うと思う。

カイトは悪いやつじゃないの、特殊な変態だけど....寂しがり屋なの....だから責めないであげて。」


(....他人をかばうなんて青野にしては珍しいな...)


「ああ...分かった。」


しばらく沈黙が続いた。


(そろそろ行くか....)


「ねぇ。」


「ん?」


青野は照れ臭そうに言った。


「何か中2の頃みたいだね。。。」


(ああ、そういえば。)


「青野が熱を出して、俺が学校のプリントと一緒にお見舞いに行ったんだっけ。」


「うん。」


「いやー。この前もお前の家に行ってお母さんと会ったけどやっぱり違うな〜。

胸が」


昇の様に冗談半分で言ってみた。


(これで少しでも元気になるか?)


「....そうだね」


(ぎゃ....逆効果!?

やべ....)


「ま、まぁさ。そんなの関係ないよね。」


「そう?」


「ああ」


再び沈黙。


(そうだ、これなら元気になるか?)


「そうだ、今度皆でプール行くんだけど退院したら青野も来る?」


「え?いいの?」


「ああ、むしろ来て欲しい」


(主に昇を叩いてほしい。)


「ありがとう。」


「....」


(気まずいな....)


「ねえ。」


「え?」


「一つ聞いていい?」


「ああ、何?」


「あの子のこと好き?」


「あの子って?」


「いつも白地君の隣にいる子。」


(カンナか....)


「す、好きってわけじゃないよ。

放っておくと危ないっていうか、そういう奴だから。」


「そう?なら良かった....」


(なら良かった?)


「それじゃあね。」


「ああ、お大事に。」


病室の扉を開け、外へ出た。」


「....ありがとう」



5月10日


既にゴールデンウイークが終わり、通常に学校が始まった。


いつも通り、カンナと2人で駅から学校に向かう途中だ。


その後ろから青野が来て挨拶した。


「おはよう。」


「お。おはよう青野。

....お前、もう大丈夫なのか?」


「大丈夫。

いつまでも休んでたら、本当に取られちゃうからね。」


青野はカンナの方を睨んで言った。


「じゃあ、先に行くね。」


そう言って先に行ってしまった。


そして隣にいたカンナは俺に向かって聞いてきた。


「....私、嫌われてる?」


「知らない。」


そう言い返してやった。


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