#6電気使い
21:50
「うえ...き....気持ち悪い....」
結局途中でカイトが私を持ち上げて、4時間はかかる距離を1時間ちょっとで 走ってしまった。
「なぁ、もーちょっとで着くんか?」
「うん、もうすぐそこだから....」
ヨレヨレの足で前に進む。
「ねえ、犬の格好に戻れないの?」
「狼な!!」
「戻って貰わないと家に連れてけないんだけど....」
「え、俺は香恵ちゃんのそばにいていいの!?」
突然今までとは違う態度をとってきたので気持ち悪くなってしまい断ってしまった。
「...やっぱ無理。」
「え....まぁええわ。俺は野宿で十分。いつでもお前に会えるならな。」
「.....」
正直に引いてしまった。
「はぁ....やっと着く...」
やっとの事で家に着くと思って安心し切っていた。
しかし...
「ん?.....危な!!!」
突然後ろからカイトが飛びついてきて押し倒された。
パチパチっと、電撃のようなものの音がした。
「ふぅ、危なかったなー。」
「ねぇ、何どさくさに紛れて....」
カイトの両手はピッタリ私の両胸に。
「え、ああ、これ?うん。触りたかったからついで、ブァホ!!」
「え?」
取り敢えずカイトの顔をはたいた....つもりが、予想以上にカイトがぶっ飛んだので驚いた。
しかし、そんなことを気にしている場合ではないらしい。
「あらら、避けられちゃった上に危機感さえ感じさせられてないね〜」
「うるさいミヤビ。」
「あらら〜英くんったら恥ずかしがっちゃって〜可愛いんだから」
「おめーらの目的は何だよ。」
私にぶっ飛ばされたカイトは、壊れた瓦礫の中から立ち上がり、向こうにいる男女に尋ねた。
「俺たちの目的は」
「あー!分かったぞ!おめーらもこの胸が目的か!!
ぜってーおめーらには渡せねえから!!」
(こいつ何言ってるの!?)
「だから俺たちの目的はお前に」
「この無駄のない胸の大きさ!まさに芸術と言っていい位の物なんだ!だからお前らには絶対渡さない。」
「だから、人の話を聞きなさいよ〜!!」
薄いワンピースをきたショートヘアの女性がこちらに襲いかかるような勢いで走ってきた。
「おとなしくあれで気絶してくれればここまでしないのに。」
そのままカイトの首を腕で巻き締めていた。
「ちょ、え?」
カイトは軽々しくその女性を投げ飛ばした。
投げ飛ばされた女性はそのまま空中で1、2回転して綺麗に着地をした。
と同時にその後ろか稲光のような電撃が飛んできた。
けど私は何故かそれを避けられた。
(え?)
自分でもよく分からないが、何故か身体中に力が湧いてきて、五感が敏感になっているような気がした。
「な!」
向こうも驚いたようだ。
「どういうこと...?」
カイトは動揺している私のそばに来てはしかけてきた。
「なぁ、超能力って本当にあるみたいだな。」
「え?どういうこと?」
「ほら、あんなに軽々と高く飛べるやつなんていないだろ。」
(4時間の距離を1時間で走った人はいるのに?いや、一応人ではないけど)
「それに体から電気を出すなんて、俺が見てきた人間では不可能だろ?」
「う、うん。」
「俺が人間になれてるのも、お前が全体的に強化されてるのだって、超能力なんじゃねえの?」
「けど、なんで今?」
カイトは空を見上げて言った。
「多分これだ。」
(空?....!?)
「この光?」
「ああ、多分これだろ。」
「これが降り始めたのってたったの数時間前でしょ?」
「なのに何であいつらはこんなに平気で超能力を使っていられるのかってことだろ。」
「うん。
...初めから超能力の存在を知っていて...」
「ああ、そしてあいつらは何かを隠してる。」
「けど、どうすれば。」
「聞き出すに決まっているだろ!!」
カイトは男と何かを話していた女性の方に向かい、すぐに捕らえた。
「ちょっと〜、今話してたのに邪魔しないでよ〜!」
「この脂肪だらけのやつは俺に任せてあの電気野郎を。」
「け、けど。」
(いきなり超能力者と戦えって言われても!!)
「誰が脂肪だらけよ〜!!」
女性は骨がないかのようにスルリとカイトから逃れ、そのままカイトの後ろから踏み倒した。
カイトは踏み倒されながらも笑みを浮かべて言ってきた。
「お前だって今は力を持ってるんだ。」
(そうだ、今は身を守る術があるんだ...)
私はゆっくりと男の方に歩いた。
「お前には用がない。」
男は片手の手のひらをこちらに向けた。
ビリッ
(....右。)
一歩左に移動した。
電撃はそのまま私の右を通りのけ、電灯に当たり、電灯の電気が消えた。
「な。
これならどうだ。」
男は片手をアスファルトに付けた。
ビリッ
(下...)
高く飛んで、アスファルトを飛び飛びに迫ってくる幾つかに分散した電撃を避けた。
(アスファルトに散りばめられたごく少量の砂鉄を使って攻撃するとか...)




