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猫と能力と夢映し  作者: れぇいぐ
『貧乳と変態(狼)と誘惑』
35/75

#4 搭乗

12月24日10:20


「香恵、じゃあ気をつけて帰れよな〜」


空港場の建物の入口辺りでお父さんとのお別れをしていた。


「うん。」

「けどいいのか?お父さんも中で一緒に待ってやるぞ?」

「いいよ、お父さんは早く仕事に行って。」

「あはは、娘に心配されるとわな〜」

「じゃあ、また今度遊びに来るね。」

「ああ、お母さんによろしく言っておいてくれ〜。」

「うん、じゃあね。」

「じゃあな」


手を振るお父さんに、手を振りかえしてキャリーバックを引いて中へ入った。


(チェックインまで時間があるからのんびりしていこうかな....)


お土産売り場を徘徊して、時間を潰して、チェックインが可能になった時間になって、行こうかと思った途端だ。

何かに足が引っ張られた。


「え?」


振り向いたら大型犬ぐらいの大きさの動物が私のジーンズを引っ張っていた。

小さな声で話しかけた。


「.....あんたなにしてんの?」

「ワン」

「いや、ワンじゃなくて。」

「ワン」

「あ、ちょっと、引っ張らないで....」


それは私を引っ張って空いているベンチまで連れて行った。

私をそのベンチに座らせ、その隣にそれは乗った。


「....これで満足?カイト」

「ああ、あんな距離で聞こえる声を出していたら変に思われるだろ。」

「そうですねー、でなんでこんなとこまで来たの?」

「だからお前の事が好きに」

「そもそも人間じゃないくせに付き合えるはずが無いし。」

「....」

「ねぇ、正直に言ってくれない?」

「....あーああ。わーったわーった、本当は気になるんだよ!!偉大なるニホンオオカミが絶滅したのかがよ!!」


(偉大なるって....)


「あ、けどお前が好みなのは本当で。」

「絶対無理、好きな人いるもん。」

「はああ!?そんなやつ俺が殺して。」

「っし、うるさい。」

「....」


自分の乗る飛行機の搭乗締め切りのアナウンスが流れた。


「あ、やばい早くチェックインしないと!!」

「え、おい。俺はどうすれば!?」

「犬の真似でもしてればいいじゃない!!」


チェックインの受付に急いだ。



12:20


「ふぅ。」


チェックインを終わらせ、飛行機に搭乗し一息ついていた。


結局チェックインの時、カイトのことは適当に理由をつけ、何とか連れて行くことができた。もちろんカゴに入れられ、今頃荷物室に積まれているのだろう。


(昨日は本当に危なかったけど、流石に今日は無事に帰れますように....)


昨日の出来ことの不安がまだ残っているせいか、正直まだ安心出来なかった。


ベルトのマークが光ったので、ベルトを締めて離陸を待った


『本日は◯◯航空にご搭乗いただきありがとうございます。

ロシア△△空港12:42離陸、日本◻︎◻︎空港に19:42着の予定です。

飛行中揺れることがございますので、ベルトのサインが消えてもご着席中はベルトのご着用を.......





18:20


(無事に着きそうでよかった)


着陸まで2時間をきり、トイレから戻ろうとした時だった。


「え?」


突然の周りが真っ白に光ったように何も見えなくなって、その場でしゃがみこんだ。


(何も見えない.....)


.....



徐々に周りが見えるようになってきた。


「.....い君、大丈夫かい?」


すぐ隣に座っていたロシア人のおじさんが話しかけていた。


私はすぐに立ち上がって、答えた。


「大丈夫です....ちょっと貧血みたいで。」

「薬いるかい?」

「いや、大丈夫です、ありがとうございます。」


私はそのまま自分の席に向かった。


(別にどこも痛くないし、クラクラもしないし...どうして....?)


席に戻り、目の前の小さなモニターに映っている番組を観て時間を過ごした。

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