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猫と能力と夢映し  作者: れぇいぐ
プロローグは飛ばして読むもの
3/75

『覚醒現象』

12月25日7:04



「起きろ!ゆめと!!」


ガツンッ!


頭の強い衝撃と共に目を覚ました。

目を開ければ、姉が自分の足を掴んでこちらを見つめていた。

察するに俺を起こすために足を引っ張りベットから引きづり落とし、見事に頭が床と衝突したのだろう。


「いたいなぁ.....普通に起こせない?」

「それじゃあ、つまらないじゃない。」

「そういう問題じゃないでしょ!!

全く....もお...」


姉にいろいろな方法で起こされることがあったが、ここまで痛い思いをするのは初めてだった。

痛そうにしている可愛い弟を心配する様子も見せず、姉、園花(そのか)は散らかった夢渡の部屋を出ようとした。


「そんなことより、早く下にきて!!」


そう言って先に階段を下りたようだ。


(凄く嬉しそうな顔をしているな...どうしたんだ?気味悪いな...)


嫌な予感に警戒しつつ、一階への階段をゆっくり下りていった。


階段を1段ずつ降りればリビングの暖房の暖かさが足先から伝わってきたのが分かった。


リビングに入ると普段よりも音量を上げたテレビの音が流れていた。

どうやら「朝ネタ!!」というニュース番組みたいだ。


画面の左上に「超能力!?」というバカそうなテロップが貼られ、画面中央に「朝ネタ!!」と書かれたテーブルがの後ろに、左から順に、男性アナウンサー、若い美人アナウンサー、ボサボサの髪の清潔感ののかけらの無いスーツを着ている胡散臭そうな専門家であろうおっさんが座っていた。


彼らの座るバックの大きなスクリーンには、指の先から火を出している映像が何度も再生されていた。



「....は?超能力!?」

「そうよ♪」


(だから、こんなに笑顔なのか...)


うちの姉はオカルトチックな事が好きということで有名らしい。


(おいおい...こんなやつが弁護士になれるのかよ...)


姉の将来を心配してしまう夢渡、テレビの中から語り始めた男性アナウンサーの言葉を聞いた。



『今回のこの出来事に対し、岡類斗大学の超能力研究科の教授をお呼びしました。』

『どうも、岡大超能力研究科の萩原雅史(はぎわらひさし)です。よろしくおねがいします。』

『『本日はよろしくお願いします』』

『早速ですが萩山さん。今回<発火能力(パイロキネシス)>、<念力能力(サイコキネシス)>などと言われる超能力が、発見されていますが、何か原因などがあるのでしょうか?』


真ん中に座る若い女性アナウンサーは隣に座る専門家とやらに早速質問した。


「あれ、姉ちゃん。この女子アナっていつも噛んでなかったけ?」

「そうだったような....」

「まぁいいや。」



すると専門家はまず『萩原です。』と名前の訂正を言い、長々と語り始めた。


『今朝より、多発している超能力の発見ですが、詳しい事はまだ判明していません。しかし、二つのことははっきり言えるようです。

一つはこの現象が昨夜より降り注ぐ白い光の粒が関連していることである。

そしてもう一つが、通常の人間にはできないことを実現できる特殊な能力及び合理的に説明できない超自然な能力を指すとされていた<超能力>というものより、この現象で起きているこれらとは全く違う意味合いとなるであろうと思われていることです。』

『超能力ではないというと?』

『はい。今のところ確認しているもので分かったことでは、その超能力を使えるようになった人のほとんどが何かしら己自身の特技、体格、性格といったアイデンティティと関連していると知り、私は超能力とは言わず人間の元より持つ能力(スキル)と呼んでいます。』

『それでは、今回のこの現象はその能力(スキル)というものが表面化されたということでしょうか?』

『察しが良いですね。

まさにその通りです。

そのことにより、今まで存在していた超能力というものは、能力(スキル)という部類にされるであろうと思われます。』



「姉ちゃん、つまりどういうこと?」

「この教授は人間はもともと超能力のような力を持っていて、昨日のあの現象によって使えるようになったってことじゃない?」


(さっぱりだ....)


『なるほど。今日の○○さん(女子アナ)も珍しく噛んでいませんが、何か関係あるのでしょうか?萩野さん。』

『萩原です.... ええ、たぶん関係あると思われます。私の知る限りでは<饒舌良好(グットトーク)>と呼ばれる能力でしょうか』


ッピ


取り敢えず机に置かれたリモコンの赤い電源ボタンを押し、テレビを消した。


(能力(スキル)

はっ?今日はエイプリルフールじゃないよな...例えそうでも、大げさすぎるぞ)


「ちょっとー。いいとこだったのにー!!」


園花は残念そうにそう呟いた。


(こいつ....熱でもあるんじゃね?)


とりあえず、姉のおデコに手を当てた。


(ってあれ、それってどっちかっていうか俺の方じゃないか?)


「ちょ、冷たい!!」


実の姉に手を()ぎ払われた。


「熱はないか...」

「は?何言ってるの?」

「いや、何でもないよ。あれ、バイト大丈夫なの?」

「ああ!!やば、遅刻する!!急がないと今月の給料が無かったことにするなる!!」


突然焦り始めた園花はソファから立ち上がり、リビングの外へ出て行った。


(おい、労働基準法に引っかかってるぞ。)


「それじゃあ、適当に冷凍食品解かしてそれ食べて。」

「はいよ。」

「いってくるね」

「いってらっしゃい」


朝から馬鹿げたことに付き合わされ、朝食はのんびり摂るが....


「やべっ。遅刻する。」


結局自分も姉のように急ぐ羽目になってしまうのである。


(他の学校はすでに冬休みに入っているって言うのに....

それにせっかくのクリスマスなのにな....

まぁ、彼女がいるわけでもないし何かして過ごすってわけでもないけどね。)


学校へ行く準備をして、玄関の扉を開けた。


「相変わらず降ってるな....」


相変わらず小さな白い光の粒は降り止んでないようだ。


歩いて登校できる距離だが、面倒なので自転車で登校している。


さて、少し急いで家を出たわけだが。


「げ、まだ8時にもなってないじゃん。

はぁ...」


時間を見間違えたか、早く来すぎてしまったようだ。


教室に入ると、暖房の効いた空気が体を包む。

教室に生徒はまだ2、3人程度しかいなかった。


「っう。」


急な頭痛に頭をおさえた。


(この頭痛もきっと姉ちゃんせいだ。

朝からあんな起こし方するから....)


とりあえず自分の席に座り、顔を伏せて寝ようとした時だ。


「ゆ〜め〜!!」


朝からバカそうに俺のあだ名を呼ぶ声がした。

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