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猫と能力と夢映し  作者: れぇいぐ
#3 桜と入学と再開
29/75

#4 転換

5月3日

6:43


「.....ええええええええ!!」


ゴールデンウィーク初日...そんな女の子の様な声の叫び声と共に始まった。


起きたら目の前に自分がいるのだから。


とりあえずそのだるい体を起こした


(肩が重いのか...胸が重いのか?...胸が....)


下を向いて自分の体をみた。


黒い生地の下から膨らんだ胸。


とっさにその膨れた胸に手を当てた。

というより掴むような感じだ。


掴まれた胸からはいつもとは違う感覚...けど掴んだ小さい手には一度掴んだことのある感覚があった。


(間違えてカンナの胸を掴んだ時....

カンナ!?)


まさかと思いながらも部屋の窓に映った自分の姿を確認した


(おいおい....やっぱり。)


そこには猫耳フードを被ったカンナの姿があった。


(ってか、このパーカーをパジャマに使ってたのかよ....ん?)


お尻のあたりがモゾモゾしてくすぐったかった。


尾てい骨辺りに手を当てた。

ウネウネとうなぎのようなものがズボンの中で動いていた。


カンナの能力(スキル)である擬獣化(アニマニフィー)のしわざだ。


(...へぇ...尻尾があるってこんな感じか....ってことは、耳も。)


少し違和感のあったフードの中に手を突っ込み耳を探した。


(やっぱり....奇妙な感覚だな....ってそんなのはどうでもいい。

なんで、俺とカンナが入れ替わってるんだよ!!)


「おいカンナ!!!」


今の小さな手で自分の体を揺らして起こそうとした。


「起きろ!!!」


自分の口から出る高い声に違和感を感じながらも起こそうとした。


「おいってば!!」

「....ん?」


やっと起きたようだ。


「これどういうことだよ!!!」


寝癖のひどい本当の自分の体が起き上がって、眠そうに目をこすって答えた。


「...なに?」

「いや!なにじゃなくて!!!」

「....私?」

「やっと気づいたか!」


(うわ。女々しい....というか、中は女子だからな...)


「って、これってどういうことだよ!?」

「....何が?」

「気づいてないのかよ!!

だから、お前と俺が入れ替わってるってことだよ!!」


カンナは自分の手をまず見て、体を見て、股間を握った。


「ちょ!!」

「...ほんとだ...」

「何で確かめるのにわざわざ俺のあそこを握るんだよ!!」


(まぁ、俺もこいつの胸を揉んでしまったが...)


「ってか、お前の体が目の前にあることでおかしいと思わないのかよ!」

「....夢渡のコピーする能力かと。」

「俺の能力(スキル)はそこまで万能じゃねえよ!!」


「...どういうこと?」

「こっちが聞きたいわ!!

その前に何で俺のベットで寝てるんだよ。」

「...園花(そのか)がいないから」

「何でだよ!」

「...じゃあ、能力辞典(カヅキ)に聞いてみる?」

「え、まさか俺のベットにいた理由をか?」

「....違うわ。」


(今回の入れ替わりの原因か...

話をいきなり変えるなよ...)


カンナは目を瞑って集中した。


けど数秒したところで諦めたように言ってきた。


「...能力(スキル)が入れ替わってるってことではないみたい。」

「じゃあ俺が自分で呼び出さなくちゃいけないってことか?」

「...そうね。」


(カヅキが俺の中から出てくるってことは、俺の意識はなくなるってことだよな...)


「そうだ、香月を呼び出す前に昇に連絡してもいいか?」

「...うん」


(多分すぐに解決出来るような問題じゃないし、昇はあんまり巻き込みたく無いし、プールの件も話しておかないといけないからな。)


勉強机の上に充電されていたスマートフォンをとり、昇の携帯に電話をした。


ピピピピピ....ぴぴぴ...ッピ。


いつもより出るまでの間が長い気がしたが、電話に出てくれたので気にしないことにした。


「あ、もしもし?」

「....」


何も返事がなかったんので心配して、もう一度声をかけた。


「もしもし?」

[....あ....あー。あー。]


(ん?何か聞いたことのない女性の声がした。)


[あ、もしもし?おぬしが夢殿か?]

「え、あ。はい。そうです。

貴方は?」

[ん?....]


突然返事がなくなってしまった。


[あ、わし?ワシはユキエじゃ。]

[[ワシはそんなバカみたいな喋り方はせんぞ]]


おかしな口調で喋る女性の後ろから昇の声のようなものが聞こえた。


「....昇とはどういう関係なんですか?」

[え?....昇君とわぁ。えーっと〜

体の関係見たいな〜]


また口調がおかしくなっていた。


「え!?」


(あ...あいつ。そんな関係を持つ人がいたのかよ....

妬ましい...)


[[バカ...ワシはお主とそんな....]]


また電話の向こうから昇のような声が少し聞こえた。


「あの、そこに昇がいるんですか?」

[え?昇は今忙しくて電話に出られんのじゃ。]


(また口調が戻った....おかしな人だな...)


[何か伝えることがあるならば、ワシが伝えるぞよ。]

「あ。はい。お願いします。

えーっと。今日は急な用事が入って、プールに行けないからまた後日連絡するって伝えてください。」

[おう....じゃなくて...わかったぞよ...ではまた今度]

「はい。」


ッピ


(ん?また今度?)


「...ねえ。」


隣に座っていたカンナが自分の体の腕を引っ張ってきた。


「ん、何だよ?」

「...大丈夫なの?」

「何が?」

「...声。」

「....あ。」


自分がいまカンナの体にいてカンナの声で親友の昇の携帯に電話していたことに気づいた。


「ま...まぁ大丈夫だろ。

出たのが昇本人じゃないし、初対面の人だったし....」

「....」

「よし、じゃあ能力辞典(スキルブック)を呼び出せばいいんだな?...」


(まぁ、原因が何もわからん以上、能力に最も詳しい、能力辞典が必要だよな。)


慣れない体でゆらゆらと歩き、リビングのソファーについた。


「集中すればいいんだな。」

「....うん」


ソファーに座り、目を瞑り集中した。


数秒して自分の体にさらに変化が起きていることに気づき始めた。


(....能力辞典...能力辞典だろ....

うん?何で体が?耳とかはもう出しっ放しのはずじゃ....)


様子がおかしいことに気づき目を開いた。


「え?リビングってこんなに広いっけ?」


そんなことを言っている自分にカンナが手鏡をこっちに向けてくれた。


鏡に映っていたのは一匹の黒猫だけだった。


「...猫?

って、擬獣化(アニマニフィー)じゃねえか!!!

...って、え?

なんか、クラクラする....」


そんな一人でツッコミをいれていたら、頭の中がクラクラして、そのまま倒れてしまった。



「ここは?」


辺りは真っ暗で、何もない。


とりあえず歩いた。


歩いても歩いても何も見えない。


(どういうことだ....さっきカンナと一緒にいたはず...)


まだ歩き続けた。


真っ暗中をずっと...ずっと....



8:40


「....ん....?

っは!?」


また気絶してしまったようだ。


(これでも能力がある程度使えるように、精神力鍛えたはずなんだが....

まさか猫になるだけでこんなに消耗するとは....

それじゃあ、いつも耳と尻尾が出ないようにしてるカンナってすげえ精神力が....

まぁいいわ。)


寝転がっていたソファから体を起こし辺りを見渡した。


もう一つのソファに自分が...いや、カンナが座っていた。


「おいカンナ....泣いてたのか?」

「....」

「どうした?」

「...いや、何でもない。...それよりゆめとは?」

「俺?いや、別に....ちょっと疲れたぐらい....そういや、なんか変なところにいたような....」

「....ならいい。...原因がわかったわ。」

「え?なんで?」

「...香月から聞いた。」

「何でお前が香月を知ってるんだ?」

「...さっき会ったから。」

「....そっか。」


(自分の中にもう一人の人格があることをしって怖くないのか?...あ。だから泣いて....

あんまり触れない方がいいな)



「で、何が原因だ?」


そこで出たのが、実に数週間ぶりに聞く言葉だった。


「....五大能力(ソース)










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