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猫と能力と夢映し  作者: れぇいぐ
#3 桜と入学と再開
27/75

#2 登校初日

今回は早期連続投稿します。

4月3日

新入生説明会にてこの学部について校則を教えられた。


1:この学部は能力(スキル)研究に携わるが、学ぶ内容は普通科とほぼ同じとする。

しかし校則は普通科と異なる。


2:校舎内で能力(スキル)を使う許可をするが、学校関係、第三者に迷惑がかかった場合それ相当の措置を取る。

校舎外で起こったことは学校は一切責任を負わない


3:普通科校舎にて能力(スキル)を使うことを禁ずる。


4:能力科、普通科との合同行事も能力使用を禁ずる。


5:なお能力向上を図るため、能力(スキル)同士でコミュニケーション(喧嘩など)を取ることを許可する。しかし、校舎内で殺害行為に至らず、相互で承認がなければならない。


(重要なことはこの程度かな。

ってか喧嘩は許してくれるんだこの学校....怖えな.....)


集会が終わり一人ずつ別の部屋へ招かれた。


扉の先は面接会場なようなもので、真ん中にパイプ椅子が一つ。

それと向かい合う長机と面接官らしき人が3人いた。


しかし、一つ気になることがあった。

何故か部屋のすみにトランプやバットなどを並べた机が置かれていたのだ。


(おいおい、物ボケしろとかじゃないよな...それに面接なんて聞いてなかったぞ...)


そんなことを考えてうろたえていたら、向こうから話しかけられた

「ええと、君が抽選で選ばれた特特待生の白地(はくち)夢渡(ゆめと)くんだね。」


「は、はい!」


何にも言わなかったせいか印象悪くしちゃったようだ....


「ではこれから能力(スキル)検査を始める」

「え?」

「入学するにあたりこちらも個人の能力(スキル)は把握しなくてはならないからな。

では君の使える能力名もしくは名前はつけられていないができることが教えてもらえるかい?」


(いきなりすぎるな...隠さないといけないんだっけ?)


「え、ええと。」


(だめだ...何て言えばいいんだ....)


面接官の一人が話しかけてきた。

「口で言えなくてもそこらの道具を使って実証すればいいぞ。

動物や人間が必要だったらそこにいるから話しかけてくれればいい。」


(え、あの道具たちってそのためだったの?

じゃあ、あの物置机の隣に立ってるチワワをリードを持ってる河童の姿をしてる人って実証用の人だったのか....)


あんまり顔を合わせたくなかったので、チワワを引きつれた河童....カオスな光景は見なかったことにしていたが、何のためにいたのか知った途端可哀想に思えた。


チワワが。


(けどそんな場合じゃない。

どう言い訳すればいいか考えないと...)


面接官の一人がなかなか反応しない自分を察したみたいで、あることを教えてくれた。

「まだ能力が使えないならそれでもいい。

人間みんな何かしら能力を持っているが、目覚めていない人もいるってだけだ。

この学科は別に能力(スキル)が使えないとだめっていうわけではないからな。

それに、能力に目覚める過程もこの学科の研究内容でもあるからな。」


(それなら言っちゃえばいいか。)


「まだ能力(スキル)が使えませんし、どんな能力(スキル)を持ってるかもわかりません。」


「わかった。また半年後に聞くことになるからな。」

「はい。

では失礼します!!」


部屋から出て一息ついたところで隣の部屋から出てきたカンナに出会った。


「あ、カンナ。」

「...ゆめと。」


カンナの頭とお尻から生えてる猫二点セットを見て理解した。


「やっぱり能力辞典(スキルブック)の方は隠してその擬獣化(アニマニフィー)の方を教えたか。」

「...当たり前よ。」


自分が出た部屋の中にまた別の入学生?が入るのを見てすぐに帰ることにした。



16:30

徒歩で5分、電車で乗り換え一回、15分程度。

さらに自転車のないカンナに合わせるため、駅から自宅まで徒歩15分。

計35分ぐらい。


8日から3年間ほぼ毎日この道登校時間だと思うと呆れてしまう。


それが高校だから仕方がないんだろうけど。


それに同居人のカンナと一緒になるのだろうし....


入学式までのニート期間どうしようか悩んだ末。

最終的に残りの5日間はほとんどがカンナの買い物などに付き合わされる羽目になった。



4月8日

13:20


入学式を終え、カンナと2人っきりで「Σ(シグマ)ナルド」という大手チェーン店のファーストフードで昼食をとっていた。


「以外と普通な入学式だったな。」

「...あたりまえよ。」

「何か能力(スキル)を使ったパレードみたいなのをやると思ったんだけどなあ。」

「...普通の高校に期待しすぎよ。」

「だって能力科なんて史上初なんでしょ。珍しいじゃん」

「...大学でもあるんだからそこまですごくはないと思う。

「そっか。」


(うーん。2人っきりで、ファーストフード、それに同じ高校の制服か....

カップルみたいだな。)


「...全然見えないわ。」

「だよなー。ってか勝手に俺のこころを...あ。」


カンナの視線はレジの上に飾られてたこのお店のメニューの一部だった。


「わりい。って、お前まだ食うつもりかよ!!」

「....当たり前よ。」


カンナ側の机の上にはすでにビック的なバーガー二つとポテトにコーラ、さらにナゲットが食い散らかされた後があった。


(そういや、こいつ焦げた卵焼きを平気でくってたな...

こいつの胃袋どうなってるんだ?)


気づいたら目の前にカンナはいなくなり、レジに向かっていた。


カンナが注文に行っている間暇なので、今日貰った入学生名簿を眺めることにした。


今年から能力(スキル)研究科が加わり、

普通科が3クラス、能力(スキル)研究科が同じく3クラスという形になっている。

普通科とは違う校舎になるが、クラス順は一緒になっている。

はじめA、B、Cが普通科。

残りのD、E、Fが能研科だ。


自分とカンナは運良く同じF組になっている。



入学式が始まるまでの間の時間に他の生徒が話しているのを聞いた話だが、能研科のクラスはその生徒のレベル順になっている。

っていう噂らしい。


もちろん所詮は入学生だからこの学校について話すにはまだ早く、信用出来ないが....


現に無能力者の自分がいるということから一番低いF組というのは道理がいってしまう。

あと、少し気になったのがこのクラスに同じ苗字が3人もいるということだ。


(落合が同じクラスに3人もいると気持ち悪いな。

まぁ、カンナを含めると白地も2人いるけどな。)


気になったのでその落合という苗字の後の名前を読んでいった。


(落合 黄華.....落合....昇....!?)


とても良く知っている人の名前が出てきて驚いた。


(い、いや。それは無いよな....苗字が違うし、しかもあいつに兄弟はいないし....ただのマグレだろ。)


カンナがセットを持って戻ってきた。


「...俺の金なんだと思ってるんだお前は...」

「....知らない。」


(くそ....家の帰ったら覚えとけよ。)



4月9日

7:37


入学して二日目になった。


「この制服も二回目か...」


カンナと2人で駅のホームのベンチで電車が来るのを待っていた。


乗り換えの会駅で、こっち方面は基本的に乗る人が少なく、電車も15分に一本とかなのだ。


その駅のホームには通勤中のサラリーマンや、私立にでも通う小学生、同じ高校や違う高校の制服を着た人が何人かいるが、都心の半分にも満たない人数だ。


「なあカンナ。」

「...なに?」

「カンナって勉強とかできるの?」

「...いきなりなんなの?」

「いや、だってもう何ヶ月も学校に通ってなかったじゃん。」

「...そうね。どうかしら。」


(こういうのって、大抵テストで学年一位をとったりする感じなんだろうな。)


電車が来た。


始発なので余裕で席に座れた。


それから10分乗って、歩き、学校についた。


ショートホームルーム(SHR)が始まる10分前にはついたようだ。


教室に入り席に座った。


カンナとは同じ苗字になっているので、前後の関係になっていて、カンナが前になっていて話しかけやすかったが、カンナは既にいろんな女子たちに話しかけられていて、話しかけづらかった。


ぼーっとしていたら2人の男子が話しかけてきた。


「お前ってどこ中から来たの?」

「え、ああ。関喃(かんのう)中学。」

「え、どこそれ。あっちのほう?」


指差されたたが、どっち方面か分からないので適当に応えた。


「うん。たぶんそっち。電車できてる。」

「へえ。すげえ。わざわざ電車で来てんのかー。

俺とこいつは同じく中学で、近いからよ自転車で登校してるんだ。」


となりにいる控えめな男子が応えた。


「うん。軒並くんとは小学校から一緒なんだ。」

「そんなの言わなくてもいいだろー。」


(へえー...昇と自分みたいだな....)


「ええ、と。」

「ああ。白地、白地夢渡。」

「でさ。夢渡は部活決めたの?」


(うわ。いきなり呼び捨てか。まぁそっちの方が親しみ易いよな...)


「そっか。部活か...全く考えてなかったや。」

「そっか。まぁ俺たちも中学までは陸上やってたけど、高校では何やろうか迷ってるんだよなー。」

「へぇー陸上かー。」


すぐに時間になり、鐘がなった。


「あ、じゃあ。また!」

「お、おう。」


(何か昇みたいだな....)


教室に眼鏡をかけた男の人が入ってきた。

多分先生なんだろう。


「はい。じゃあ挨拶からだ。

えーと出席番号1番目のやつ。」

「は...はい。」


女子が立って号令をした。


「き...起立。

き...きょうつけー。

れ...れい....」


(締まらない号令だな....)


「「おはようございます。」」


「ちゃく...せき....」


それに続いて先生が挨拶した。


「はい。おはようございます。

ありがとう有山(ゆうやま)さん」


「...」


(あれ、出席番号が一番ってことは[あ]か[い]じゃないのか?

俺だけじゃないよな。おかしいと思ったやつ。ってか「ゆ」ってほぼ最後じゃん。)


やはり何人か気づいたらようでちょっとざわついていた。


「はい。じゃあ出席をとる....ぞ...

あ!

はい。じゃあ早速自習だ。」


そう言って眼鏡をかけた先生がさっそうと教室を出て行った。


「え?」


何人かの人がそうつぶやいて、出席簿を忘れたということに気づいて、笑い声が聞こえてきた。


(本当に先生なのか....?)


真面目オーラとは反面にドジっ子のようだ。


数分して、息切れをしながら先生が戻ってきた。


「はい、じゃあ自習終わり。

はい。出席をとります。

有山(ありやま)さん。」


「は...はい。」


(...やっぱり間違えて覚えていたのかよ!!!)


「はい。じゃあ前に出て自己紹介して。」

「え....あの....ちょっと。」


(いきなりすぎて困ってるぞおい。)


消極的な少女がゆっくりと自己紹介して時間を稼いでくれたおかげで、他の生徒はスラスラ自己紹介できた。


「はい...じゃあ次は落合さん。」

「はい。」


髪を両側で少し結っている少女が教台の上に立って自己紹介を始めた。


とりあえず自分の自己紹介を考えるので精一杯だった。


「はい...じゃあ次は落合。ん?

落合が3人か。じゃあ、昇。

....昇?」


(先生が下の名前で呼ぶと違和感あるな...

ん?てか早速欠席?)


「いないのか昇?」


ガララ。

突然教室の扉が開き、一人の男子が息切れをしながら返事した。


「は...はい!!」

「お前いきなり遅刻か。」


(先生には言われたくないんだが....

この声....やっぱり....)


見たことのある薄黒い赤色の髪。

登校初日にカーディガンのみで登校する態度...

そしてこの声....


薄々感ずいてはいたが、本当だったとは思わなかったので驚いて叫んでしまった。


「の...昇!?」

「あ...ゆめじゃん。」

「いやだから、「ゆめじゃん」じゃなくてさ!!!」


「はい。お話は後でで、自己紹介だ。」

「はーい。落合昇です。えーっと。えーっと7月14日生まれ、好きなものはおんnじゃなくて、可愛い女子です。体型重視ですけど。理想のスリーカッ

「はい。もう十分です。今日の放課後職員室で待ってるよ。

はいじゃあ次は...はい。三人目の落合くん。」


(いきなりかましてるな...)




ホームルームが終わり、すぐに昇の席へ言って脳天チョップを食らわせた。


「って!いてえな!!いきなりなんだよー」

「こっちが聞きてえよ!!」


カンナが割り込んで聞いてきた。


「...だれ?」

「ああ、そういえば言ってなかったな。こいつが親友の(じょうが)(せき)(のぼる)

そしてこいつはカンナ。」

「よろしくカンナちゃん。」

「.....」


「あれ?俺いきなり引かれてる?」

「まぁ自己紹介であんなこと言ってるしな。」

「というかお前に姉以外の兄弟いたっけ?」

「あ、まぁいとこってところだ。」

「へぇー」

「ってか何で苗字変わってるんだよ」

「ほら考えてみ...苗字が変わる原因を...」

「再婚!!」

「おお....どうした。何か頭冴えてるな。」

「まぁ、高い高校に受かってるわけだからな。」

「そっか....がんばったな。」


昇がもう自分のことを察してくれたみたいで、なんか謝っているようにも聞こえた。


「で、お前の母さん再婚おめでとう。」

「いやー。ありがとう、ありがとう。」


(お前に言ってる訳じゃないんだがな。)


「え、じゃあさ。このクラスの....


お互いの事情を話し合って登校初日が終わった....


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