#1 入学案内
~入学案内のお知らせ~
白地夢渡様
貴方はこの度、抽選により私立水屯高等学校への特特待生として入学する権利を得ました。
私立水屯高等学校校長
織田柳 展夫
でかい封筒にはそうかかれた証明書のようなものが一枚。
そして入学に関する詳細が書かれた紙が二枚入っていた。
[白地夢渡様はこの度、抽選により特特待生として入学する権利を得ました。
いわゆる超高校級の幸う]
「ぐふん」
(危ない...殺人しないと卒業できない校舎で学級裁判しなくちゃいけなくなるところだった....)
心のなかでつっこみを入れ読み続けた。
[今回の特特待入学について]
(けど何で今更こんなものを...
しかもとても怪しいな。)
[入学学科・・・能力研究科
次年度より新たに能力研究科という学科を儲けまして、その一期生として入学を受け入れます。
費用・・・特特待生のため入学費、施設費及びに授業料など全額3年間こちらで負担いたします。]
「!?」
(すべて無償.....しかも三年間
けど....絶対なにかあるって....)
そんな不安を抱くが、全額負担しなくていい、それに3年間....
そんな特特待生に選ばれたという喜びが大きかった....
[今回得たこの権利は3月20日までのとなります。
入学を希望される場合は直接こちらに来ていただくかたちとなります。
詳しいこと、分からないことがありましたらこちらにご連絡下さい。]
最後には担当の名前とメールアドレス、電話番号が載せられていた。
そして自分専用に書いたのか分からないが、実筆でこう書かれていた。
[きっとあなたの望むものが見つかるはずです。]
(だいたい残り二週間か....
まぁ当然か...
いや....にしても....)
目にはいったのは「入学学科…能力研究科」というところだ。
「怪しすぎるだろ...」
少し考えてあることを思い出した。
自分が五人しかいないすごい能力をもつ一人であることを....
(じゃあ実験台ってことか?
ん?けど水屯高校は俺のこと気づいてるってことか?
けど何故わざわざ抽選だなんて遠回しに?
いや、そもそも抽選なんかで選んでいい学科なのか?
じゃあやっぱり罠?
けど俺のことはあの萩原っておじさんとSTTのやつらしか....)
考えれば考えるほど混乱してきた。
入学しなければいいってだけの話なのに最後に書かれていた「きっとあなたの望むものが見つかるはずです。」というのが気になってなかなか決心が着かない。
「...誰かに相談したら?」
「うああ!かづ.....じゃなくて」
(昨日のことが忘れられないみたいだな....)
「カンナ!驚かすなよ。」
「...誰かに相談したらしたらいいじゃない....」
「まぁ確かに....じゃあ誰に?」
「....ミヤビちゃんとか?」
「あんな神出鬼没なやつじゃあ、いつ会えるか分からないし、そんなことに詳しいか分からねえじゃん!」
「....じゃあ岡類斗大学の?」
「そういえば....」
「悪いとは思っている。だから何か手助けしてほしいことがあったら私のところへ来い。」
岡類斗大の教授、萩原の台詞を思い出した。
(あれ、萩原だっけ?
なんて、萩原だよな...
記憶操作も対象にとって存在感が大きくなれば効果も薄くなるみたいだな。)
そんなどうでもいいことを考えるのはやめ、本題に戻すことにした。
「確かにあの人なら何か知ってるかもしれないけど....
どうしてその人がすぐに出てきたんだ?」
「....知らない。」
「そもそもお前あのおっさんのこと怖がってたろ。」
「....あの人は優しい」
「え、お前記憶が?」
「...バーゲンダッツくれた。」
「買収か!!
ってか冬休みのあのアイスクリームのゴミはお前だったのか!!」
「...よく覚えてるわね。」
「まぁな...」
(姉ちゃんの記憶昇華のおかげであの事件から岡類斗大までのことだけ気持ち悪いぐらい鮮明に覚えてるんだよな~)
「...それで行くの?」
「行くけど...お前も来るのか?」
「....もちろんよ。」
昼過ぎに家を出て岡類斗大学の前についた。
今回は正々堂々と萩原教授に用事があると受付に言って通してもらった。
「たった3ヶ月だけどここに来るのが久しぶりに感じる...」
前回は恐怖感と正義感でここに来ただっけ。
[能力研究科]
そんな表札の掛けられた扉の前についた。
「...何でためらうの?」
「いや....前回見たいのこの扉を開けたとたん襲われたりしないか怖くて。」
「....」
恐る恐る扉を開いた。
シュッ!
グサッ
「うわっ!!」
目の前から銀の針のようなものが飛んできて驚いてしまった。
しかしその針はすぐ横のダーツ板のど真ん中に当たっていた。
「ちょ。危ねえな!おい!」
ほぼ真っ正面に立っていた萩原がこちらに気づいたように話した。
「ああ、すまんすまん。もう来たか。」
そしてそのあとに続いて眼鏡をかけたあの黒づくめの男が喋った。
「だから言ったじゃないですか。扉の前にでダーツをするのは危ないって!」
そしてもう一人大人っぽい女性の声が聞こえた。
「仕方がないじゃないダーリン。
この部屋じゃあ扉までの距離が長いんだもの。」
(....あれ?なんかおかしくないか?)
「あの....あの時のオカマですよね?」
「だからオカマじゃないって言ってるじゃないの!!」
「え、けどあの男をダーリンって....」
「だから正真正銘の女だって!!
あの時はちょっとアレルギーで声がおかしかっただけよ....」
「え?嘘...」
眼鏡をかけたも一人が眼鏡を手でかけ直して言った。
「ほんとだこの糞餓鬼。」
「やめろ松本、睡蓮。カンナのいる前でみっともない姿を見せるな。」
「「はい!」」
(すごい忠実だな...)
「で、夢渡くんがここにきたってことは何か相談でもあるんだろう?」
(夢渡くんって.....うえ。)
呼び方が変わったことに違和感を感じた。
「は、はい。
えーっとこれを見てください。」
☆
3月2日
15:02
「なるほど。用は入学しても大丈夫か?ってことか?」
「え、いや。入学するとは....」
「それは別にいいとして....能力研究科についてなら聞いたことはある。
あの事件以降、政府もいろいろ考えたらしく、結果高校生に能力について学ばせるついでにそれらの高校生のもつ能力を研究することになったってな。けど高校でこの学部を設立するのは世界初だと思う。」
「けど俺の能力って...」
「自分の能力にやっと気づいたか?」
(元旦にやっと気づけたからな....)
「はい。」
「五大能力者の一人.....」
自分は萩原がそう呟いたあと続いて喋った。
「能力を真似る能力。」
「....まだ名前を決めてなかったの?」
モノホンの女性の黒づくめがちょっとイラつきながら聞いてきた。
「あ、はい。すみません。」
オカマと勘違いしていたことに罪悪感を感じていて、つい謝ってしまった。
「希少な能力の名前は自分で決めるしかないからかんがえておくんだな。」
眼鏡をかけた黒づくめが話がそれ始めているのを戻そうと、話を切った。
そして萩原が再び呟いた。
「しかし高校初のこの学部をもつのが水屯高校とは....」
「そういえば水屯高校ってSSTとの連携したんですよね?」
以外と物知りな眼鏡づくめが萩原にたずねた。
「そういえばそうだったたな。
そうか....ならその学校にこの学部が設立されてもおかしくないな。」
今ので一つ気になることがあったので聞いてみることにした。
「あれ、同じ能力について研究してるのに何で知らなかったんだ?」
「SSTと私たち岡類斗大は無関係ではないが、そこまで深い関係ではないんだよ。
あくまで私たちは「超能力」という分野を研究していたからな。」
「なるほど。」
「まぁグダグダしていたらカンナちゃんがバーゲンダッツを食べ終わってしまう。」
隣に座っているカンナを見たら無表情のままアイスクリームをすくったスプーンを口の中に入れる様子が伺えた。
(どーりでなんか甘いにおいがするわけだ!!)
「結論からいうと入学は余りお薦めできないな。」
「どうして?」
「やはり本当の目的は能力の研究だと思っている。
そして君が抽選で選ばれた訳ではなく、その希少な能力が選ばれたという可能性も高いからな。」
「じゃあ止めるしか...」
「しかし!」
「?!」
「君にはその高校に入学して調査してほしい。」
「....は!?」
「実はSSTの下のやつに同僚がいてな、余り良い噂を聞かない。
だから君にはその能力を隠して入学してしてほしい。」
「何で俺がそんな危険な目に合わないといけないんだよ」
「まぁそうだろうな....しかしSSTの目的が明確にできないといつ君たちが殺されても分からんよ。」
「え?どういう意...」
最後まで言い切る前に先に言われた。
「それにかづ....カンナちゃんもその高校に入れることに決めたから、カンナちゃんが危険な目に合うぞ。」
「何でカンナが出てくるんだよ!」
カンナがアイスを食べ終え、会話に参加したかのように一人で呟いた。
「.....高校に入れてくれるって前に約束してくれてた。」
「えええ?聞いてねえよ。」
「....俺のことはほっといてくれ。。」
「ああ、ああ、ああ。俺が悪かったってば。
わかりました。
俺も入学します!!」
(カンナめ....俺の弱みを....)
「よし。
ではカンナの入学はこちらから手続きをするから後は自分でやってくれ。」
(くそ、またなげやりか。)
「そうだ、あと君の能力はあまり表沙汰にするなよ、
というより学校のやつらにばれないようにしろ。」
「え?」
「だから君は五大能力者の一人であることを忘れるな。
水屯高校はお前の能力を知ってるかもしれないし、知らないかもしれない....いや、SSTなら知ってる可能性が高いか...」
「あ、それならすでに知られてるはず。
確か、ミヤビッチっていうサル娘と英くんって名前のいけすかないやつだったっけ。」
「まぁすでに接触したわけか。
それでもばれないようにしろ。」
「まぁ俺は目立つようなことはしねえから。」
「....よく言うわ。」
(こいつ射的のことまだ覚えているのか!?
ってか、お前の方が逆に目立ってなかったか?)
☆
その後入学の際、学校生活で気をつけることを言われ、家に帰り入学の手続きをした。
随分と遅い更新になりました。
次回は8月中盤で、2,3日連続で出そうと思います




