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猫と能力と夢映し  作者: れぇいぐ
#3 桜と入学と再開
25/75

#0.5 香月と過去

もしも可愛い女子が自分が寝転がっているベットの上に飛び乗ってくるなんて最高のシチュエーションが起きたら。。。


ただ苦しいだけだ。


「はいドーン!!」

「重っ!!」

「女の子に向かって重いって言うなんてひどいね〜」


自分の上からなかなか降りてくれない猫耳尻尾を生やした拾い猫(女の子)、カンナがいた。


「カン....ナ?.....」

「さあねー」


(目や性格がいつもと違うのできっともう一人のほうだな....)


「もう一人か....」

彼女はムスッとした顔で喋った。

「なによそれ〜!久しぶりに出てきてその歓迎の仕方は無いんじゃないの〜!」

「いきなり出てきて何だよ....

お前も知ってるだろ、いままでこと。」

「もちろん知ってるよ〜。」

「じゃあほっといてくれよ。またさっきみたいなことは言いたくないんだ。」


(また、いや。これ以上誰かに当たって傷つけたくない....)


再びカンナの表情が変わり、真剣な表情になった。

「それは無理な話よ。」

「何でだよ。俺の気持ちなんかわかんないくせに。」

「分からないわ」

「なら。」

「けど分かる人のことなら知ってるの!!」

「?」

「その人は長い間一緒に過ごしていた香月(かづき)っていう、自分の娘の様な存在がいなくなっちゃったの。」


(なんでこいつがそんなことを...?)


「いなくなったって?」

「香月って子はある日をさかいに突然家出をしてしまったの。

その時は不安で不安でしょうがなかった。」

「その時はってことはまた会えたんだろ?」

「うん、部下も使って何としてでも見つけ出そうとしたの.....

結局数日後にはその子から会いに来てくれたそうだけど、自分の知ってるその子はいなかったの。」


(え?)


「え、だって会えたんじゃ。」

「その子は記憶を失っていて、すぐに逃げてしまったの。

「自分の知っている香月はもういないのか....」って心のなかで悲しんでいたの。

けど彼は香月が記憶を戻すのを待ったつことにしたの。

その時のために、いつでも彼女に何かしてあげられる様に準備しているの。」

「....」

「最終的には数ヵ月後に記憶のある香月と会うことができたの。

彼にとっては数ヵ月が3年ぐらいに感じたみたいだけど、会えた時は本当に嬉しそうだった....泣いてまでくれた...」


カンナの目からは涙が出て、頬をつたって下に垂れた。


(なんでこいつが泣いてるんだ....?

....香月....記憶喪失....逃げた....)


あの日のことが頭のなかで映像化された。


じゃあ最後に俺から聞いてもいいか?」

「なんだ?」

「娘さんの名前は?」

「ん?娘?」

「そうだよ、いるんだろ。あれ、お孫さんの方か?」

「なぜ?」

「だって、あんたのデスクの壁に大事に額縁に入れてる絵が入ってるじゃん。」


それは、小学生低学年の子が描いた絵だ。 中年ぐらいの男性と、7歳くらいの女の子が描かれていて 、真ん中辺りには「大好き」って書かれていた。


「ああ、そうだな。私の娘だった。名前は香月 カヅキ だ。」 だった? 「香月か、いい名前だ。愛されてるんだから、大事にして やれ。

くれぐれも実験台なんかにするなよ。」


「...香月って...」

「私よ。っていうか初めてあった時にも言ったでしょ!?」

「ああそう言えば...」


(正月の時だっけ.....岡類斗大の教授がお父さんっていってたな....その件に関してすっかり忘れてたな。)


「ゆめとが聞きにいかないなら私から教えてあげる。

私の物語。」

「....」


・・・・・・・・・・・・・・・・・


私は元々この「能力辞典(スキルブック)」を持ったまま、いや、能力は元々みんな持ってるものね。

その能力に目覚めた状態で生まれてきたの。

要するに先天的能力者よ。


けど私が喋れるようになった歳から難しい言葉ばかり喋るようになっていたらし。


私はただ頭に思い浮かんだ言葉を喋っていたの。

その頭に浮かんだ言葉が能力辞典(スキルブック)によるものだった。

もちろんそれが能力だとは誰も思わなかった、自分でも意味も分からず喋られる物は喋っていた。


初めは両親もさほど気にしていなかったらしいわ。

しかし私が幼稚園に通うようになってさすがに怖くなって来たらしい。


中2病みたいなことばかり喋る少女。


まだ知るよしもない難しい言葉を次々と口に出す少女。


幼稚園でも周りから気持ち悪く思われていたらしく、とうとう両親も怖くなってとうとう私を捨てたの。


私は児童養護施設に預けられた。


初めは寂しかった。

お父さんとお母さんに会えないこと、

ただ頭に思い浮かんだ言葉を口のしただけで気味悪がられること。

そんな時だった、お父さん....萩原との出会いは。


「やあ、君が香月ちゃんかな?」

「うん....おじさんだあれ?」

「おじさんはね萩原(はぎわら)影徳(えいとく)。今日から君のお父さんだよ。」

「....私といても気持ち悪いだけだよ?」

「私はそんなこと気にしないよ。」

記憶操作(メモリーオペレーター)


私はつい頭の中に浮かんだ言葉を口にした。


「?」

「あ...ほら、こんな感じによくわからない事を言っちゃうの.....」


萩原は突然ポケットから手帳を出して私が言った言葉をメモしだしたわ。


「他には何もないかい?」

「え?....」

「頭に思い浮かんだ言葉は?」

「今はこれだけ...人がたくさんいる所に行くとたくさん出る...」

「そうか....わかったかい?私はそんなことを気にしないよ。」


私を受け入れてくれる人と出会えてとても嬉しかった。


・・・・・・・・・・・・・・・・


「なあ、あの男はお前を利用したかっただけじゃないのか?」

「初めはそうだったみたい。けど...」


・・・・・・・・・・・・・・・・


「今日からここが君のおうちだ。」

「わあ、おじさんのおうち広いね!!」

「ここはおじさんのおうちじゃないんだ。おじさんの仕事場の大学だよ。」

「え、なんで?」

「おじさんのおうちは狭くて二人も入らなくてね。

しばらくの間はここで我慢してくれるかい?」


萩原と出会えた私は嬉しくて、そんなことは気にしなかった。


「うん。」

「よし、いい子だ。」

頭を撫でてくれた。

「えへへ。」

「さて、まずは買い物に出掛けるか。」

「うん!」


たくさんの人がいるところに出た私は、頭の中にたくさん浮かび上がって来た言葉を口にするのを我慢した。

(けど、やっぱる気持ちわらがられるのは嫌だ...)

「んんん....」

「どうしたんだい?」

「な...何でもない....」

「無理しなくてもいいよ。言いたいことがあったら言っていいんだよ。

君が我慢することはないんだ。」


そう言われて気持ちが緩んだ私はたまっていたものを口に出した。

口に出た言葉は全部能力の名前だった。

けど、その頃の私にそんなことを知るよしはなかったわ。


そんな萩原は私が次々と口にする言葉をを一生懸命にメモをしていた。


そんなやり取りをしながら買い物を終わらせて大学に戻った。


「ただいま〜」


私は嬉しくて嬉しくてしょうがなかった。


「さて、私はそろそろ帰っちゃうけど何かあったら言っていいよ。」

「おじさんは帰っちゃうの?」

「うん。」

「私も...」

「ごめんね、それはできないんだ...」

「...」

「また明日も会えるから我慢してくれるかい?」

「...うん...」

「あ、そうだ。最後に香月ちゃんに聞きたいことがあるんだけどいいかい?」

「....いいよ。」

「君の能力は?」

「え?」


いきなり分からない質問をされて怯んだ。

けどすぐにある言葉が頭に思い浮かびそれを口にしてしまった。


能力辞典(スキルブック).....

....え?」


なぜ今口に出してしまったのかわからなかった。


「やっぱり....」

(どういうこと?私の.....のうりょく?)


まだ能力なんて言葉の意味も知らなかった私だけど、この質問の対して答えた言葉だけはしっかり覚えていた。


「じゃあね、香月ちゃん。」


そんな言葉が私の考えていた事を遮断した。


「え....あの....明日も会える?」

「ああもちろんだ、私は君のお父さんなんだから」


萩原は優しい笑顔で私の頭を撫でてくれた。

そしてはやから出ていこうとしたときだ。


「.....じゃあね、おと....お父さん!!」


お父さんは驚いたようにこちらを見つめ、再び笑顔でこういった

「じゃあね、香月。」


そして次の日もしっかり来てくれた。

そして毎日出掛けたり、いろいろ喋ったりした楽しんだ。


お父さんの誕生日に絵をプレゼントしてあげたりと....


私が小学校を卒業するまえにお父さんの研究に部下ができた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


(ん?一応こいつも学校には通ってたんだ。)

「それがあのゲイ二人組ってことか...」

「ゲイ?ちゃんとしたカップルだけど..まぁいいわ。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・


中学生になってこの能力を制御できるようになってきたわたしは試しに自分に聞いてみた。


(私の能力は何?)

そして即座に頭にいろいろな文字が思い浮かんだ。


[能力辞典(スキルブック)、能力についての知恵、能力の基本、情報....]


そんないろんな言葉が頭のなかで飛び回っていた。


そして私はさらのに力について聞いた。


そして能力について理解することができた、しかしひとつ疑問に思った。


今まで私の見たなかで能力何て使える人は見たことなかった。

なぜそんな情報を私が知っているのか?

それに生まれたときから…


そんな悩みを持ち続けて、さらに自分自身が能力辞典とは関係なしに能力に関する知識を理解していった。


そしてさらに二年がたってゆめとと出会う数ヵ月前、やっと気づいたの。


自分が今いる場所に、お父さん....いや、教授の目的がね....


なぜ自分が大学の研究室の一部に住み着いているか、しかも超能力研究科なんて怪しい所にいるのかと....そしてそのその分野に関連性の高い私の能力(スキル).....


けど私を受け入れてくれたお父さんがそんなことを....

いや、能力が目的だから....


しかしお父さんを信じることにした。


そしてあなたに合う前日、そしてあの事件の当日.....クリスマスイブの夜。

私は部屋に一人になったとき机の上にあった[岡類斗大学超能力研究所予算書]というものを見つけた。


暇だったのでそれをパッと見てみた。

私はあるところに目をつけた。


[研究材料費…138万]


(この分野でそんなに費用のかかるものがあったっけ?....)


少し不安が出てきた。

そしてデスクに置かれたパソコン

つけ、予算書というファイルを開いた.....


「去年は103万...一昨年が...94万...その前が98万....あれ....11年前だけたった2万?それより以前も全く使ってない.....

11年前って私がここに拾われた年だったっけ!?」


自分を利用するために拾った....お父さんのふりをした....?


そんな事を考え出して不安で、怖くてしょうがなかった.....そしてそんな時だった.....辺りが眩しくなって真っ暗の世界に閉じ込められた.....


そして私がその暗闇から出たときはすでにゆめとの家にいた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「用はお前....香月じゃないカンナが出たときはその不安と恐怖だけ残ったままで、よくも分からず岡類斗大から逃げ出し....猫になった状態で逃げ回って俺に拾われたと?」

「わざわざまとめてくれてありがとう。」

「けど何で目覚めた時表に出なかったんだ?」

「たぶんあの光が原因で能力が安定されず、表に出られなかったみたい。」


(だからあの光の粒が止んだ元旦に会えたって分けか....)


「そういうわけね。」

「都合よく心を読むな!

....あ」

「調子出てきたじゃない♪」

「け、けどお前のいってた俺の気持ちがわかるやつって話とは...」

「あるわ。」

「....」


・・・・・・・・・・・・・・・・・


実はゆめとが学校とか行ってる間にお父さん....萩原と会ったの....


初めは私一人で大学に行って真実を聞こうとしたの....


けどなかなか真実を知る恐怖心に勝てなくて家から出られなかった。


そんなことをしているうちに向こうから会いに来てしまった。


初めは合うことさえ怖かった....

けどずっとこのままじゃいけないと思って、合うことにした。


萩原は隠し事ひとつせず、全部話してくれた。


拾った動機は本当に研究材料として利用するためだった。


それを聞いた時は怒りと裏腹に悲しくて泣きたいくらいだった。


けど私と過ごしているうちに本当に娘ができたようで嬉しいって言ってくれた。


本当に一緒に過ごそうとも考えててくれていたらしい、けどいろいろあって....


.....


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「どうした?」

「う、ううん。ごめん続けるね。」


カン...香月の目から少し涙がこぼれていた....


・・・・・・・・・・・・・・・・・


そして私がいなくなった途端萩原は死ぬ気で探したらしい...


そう、部下も利用してしまうほどに....見つけて連れ戻して話がしたいと思っていたらしい。


けどゆめとに助けられちゃって、逃してしまった。


もう会うことはできないのだろうって思い始めてとても辛い思いをしたって言ってた。


もう自殺しようとするぐらいだったらしいわ。


(....それじゃあ香月を連れ去った俺を殺しにかかるのも無理ないか.....)


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「だからだいたいわかるの、もう一生会うことができないのが怖い....話すことも一緒に出掛けたり遊びにいったり出来なくなるのが嫌でしょうがない。

さらに一言もなく突然いなくって無事かどうか不安。

そうでしょ?」

「....」


(ちょっと微妙だが、間違っていない....)


「そうだな...」

「だからそんなクヨクヨする必要ないって!!

日本は狭いんだからまた会えるって。

私の時よりは確率低いけど...」

「何?そんなにクヨクヨさせたいの?」

「だからそんなんじゃないってば〜」

「....ありがとう香月。気持ちは楽になったよ。」

「ならよかった。

じゃあ、ちゃんとカンナちゃんにも謝っておけよな!!」

「ああ。」


ベットから立ち上がって部屋から出ようとした香月を呼び止めた。


「あ、ちょっと待った!」

「何だよ、まだ何かあるのかい?」


振り向こうとしたカンナにさらに声をかける。


「まって、そのまま振り向かないで」

「な、なに?」


自分もベットから立ち上がって後ろに這い寄った。


「....え?....なにするつもり?....エロいことしたら許さない....」


そんな独り言を呟く香月の両耳(猫耳)を思いっきりひっぱった。


「イタタタタタタ!イタイよ!イタイってば!!」

「お、やっぱりカンナとリアクションも違うな。」


そんな香月を見てみた喜ぶSな俺がいた。


「イタイ!!離せ!引っ張るな!!」

「さっき俺にブレスした仕返しだ〜!!」

(それにこの耳を触れるのはこいつが出てくるときだけだろうし、これから触れる機会も減るし今のうちに....)


悩みなんて忘れて一晩カンナ(香月)をいじった。


あ、性的な意味はまったくないよ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・

3月2日

7:40


目が覚めたとき目の前に耳も尻尾も生えていないカンナがいた。


「そういえば昨晩はやり過ぎたかな...」


昨晩は最後に耳と尻尾をくすぐっていじっていたら香月の精神力が切れて寝てしまい、移動させようにも自分も結構疲れていたのでそのまま寝てしまた。


自分はカンナの寝顔をみて呟いた。


「昨日はごめんな、カンナ。そしてありがとう、香月。」


そう呟いてベットから起き上がり下へ降りた。


階段を降りた所で家を出ようとしていた姉に会った。


「おはよう、ゆめと」

「おはよう。」

「いつもより早いね。」

「いや、普通に学校に遅刻だから!!」

「あ、元気出てきたみたいね。」

「まぁね。」

「へー。

あ、そうだあんたに手紙よ。」


そういって姉が一つの封筒を自分にシュって投げた。


それをキャッチした自分はその封筒を確認した。


「自分に手紙?」


その封筒の差出人は聞いたこともない高校。


私立(しりつ)水屯(すいとん)高校からだった。


けっこうスラスラ行きました。


次回は....20日前後かな。


ストーリーの流れはすぐ出るんだけど、いろいろ設定を考えるのが大変です


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