#6 あの日から
「....お賽銭は?」
「え、ああ。そうか。」
(もう賽銭箱の前まできたのか。)
急いで財布の小銭を漁り、五円玉を二枚取りだし、一枚をカンナにあげた。
二人で五円玉を賽銭箱に投げ込んで、鈴を鳴らし手を合わせた。
(そうだ、お願い事考えてなかった!!
うー...んどうしようか....
無難に健康か?
いや、最近の俺のことだ。平和でも祈ろう。)
自分の願いが終わった後カンナの方を向いて、終わったかどうか確認した。
「...うん。」
終わったようだ。
「帰るか。」
賽銭箱を次の人に譲りもときた道をもどりはじめた。
☆
1:47
階段を降り、いくつか片付けを始めている屋台の並ぶ道を歩いた。
「なぁカンナ。なに願った?」
参拝の後によくある質問をした。
「....金持ちにn」
「お前は小学生か!!」
「...小学生の方がまだましなこと願うわ。」
「もっと自分のレベル下げてどうする!!」
「...別に何も考えてなかった。」
「なんだ。」
「....ゆめとは?」
「え、俺?
俺はな〜
...あ、ちょっと待って!」
自分の目に映ったのはある娯楽の屋台....
一つの鉄砲にトルクを詰めて、一つの景品を狙い、後ろに倒し景品を自分の物にする。
射的屋だ。
(まてよ....これって!?)
「ちょっと遊んできていいか?」
「...うん。」
カンナの手を引っ張り射的屋に向かった。
「二人分お願いします!!」
そういって店主の人に1000円札をだした。
それと交換に10個のトルクの入った銀皿を渡してきた。
(500円で玉は一人五つか。一発100円はでかいな.....けど、やってみる価値はあるな。)
自分の能力を実際に使ってみようと思っている。
(あの男が使っていた、あの光りの針のようなものがまだ使えるはず....
けど、どの景品を狙うかだな。)
棚上に並ばれた景品をざっとみた。
(携帯ゲーム機とかは無駄に重りをつけられて倒すのはほぼ不可能だ。
かといって、ココアブレットとかの駄菓子を狙っても意味無いな。)
「あ....」
やっといいものを見つけることができた。
長方形の紙袋に18禁とかかれている物を。
(あの中身って....大人の本だよな。。。
ま、まあ。俺は特に欲しいものがないから〜昇のためにも〜取っておこうかな〜)
「おいカンナ。これお前のぶんだから、頑張れ。」
カンナに半分のトルクを渡した。
「....うん」
「使い方は分かるよな?」
「....わかってる。」
(よし、これでカンナの目は背けるぞ。)
早速鉄砲にトルク詰めて、右手を引き金に、左の人差し指を筒にぴったり着くように構えた。
(イメージとしては左の指先から出す感じだな.....)
マッドグループの男に使ったときは指先などで標準を合わせず狙うことが出来たが、まだ慣れていないから岡類斗大の発火能力の人のように指先で狙ってみることにした。
(鉄砲は景品の上辺りを狙って....揺れた所をこの能力で.....)
標準を合わせ、引き金を引いた。
パン
それと同時に脇腹に凄い衝撃がきた。
「グフッ!!」
「.....」
「カンナ....お前か.....」
「...やっぱりやり方が分からないわ。」
自分は脇を押さえながらつっこんだ。
「うそだろ!!撃てたじゃん!?」
「...どうすればいいか分からないわ。」
棚に並ばれた景品を指差して言った。
「そこの景品を狙って落とすんだよ!!」
「....分かったわ。」
(カンナめ...も、もう大丈夫だろ...)
5つ中の2つ目のトルクを詰めて、再び構えた 。
(狙いを定めて....
だめだ、さっきのこともありちょっと集中できない。)
とじていた右目を開きカンナの方に目を向けた。
カンナはしゃがんでこっちに向けて銃を構えていた。
「ってうおい!!」
パンッ
「あ.....」
2発目を無駄にしてしまった。
「って、なんでまた俺を撃とうとしてりんだよ!?」
「....景品をって....」
「俺は景品じゃねえよ!そこの棚にあるのを狙うんだよ!!」
「....うん。」
「お前のせいで二発も無駄にしたじゃん。」
取り合えず俺だけ先に3発目を撃つのは不味いと思ったのでカンナの二発目を見守ることにした。
「じゃあまずはピラミッド状に縦に積まれたあのお菓子でも狙えば?」
「....うん」
パンッ
トルクは三つ積まれた内の右下に当たり全てが後ろに倒れた。
「お、おお凄いな。」
正直に驚いた。
「じゃあ、もう大丈夫だな 。」
(さて、こっちももう一回....)
☆
残りの三発を景品に当てることが出来たが、最後の一発以外はあの能力は発動されなかった。
(何で一回しか発動しなかったんだ?
...まぁいいや。反動もきて結構辛いしあまり考えない方がいいな。
ところでカンナは?)
「す、すげえな!!」
残りの一発に集中してるカンナのそばにはさっき落としたお菓子と、安物のヨーヨー、10センチくらいの可愛いテディベアがあった。
(最初の一発以外は百発百中百点満点だな。
実は最初の一発も狙ったのか?)
パンッ!
考えてる内にカンナの鉄砲から最後の一発が放たれた。
そのトルクが狙って飛んでいったのは80センチぐらいのピンクのリボンを付けた猫のぬいぐるみだった。
(それはさすがに無理だろ....)
凄い勢いで飛んでいったトルクはそのぬいぐるみのおでこ辺りに当たり、ぬいぐるみが大きく前後に揺れた。
前へ後ろへと2.3回繰返し後ろに倒れ落ちた。
これは自分も店主も驚いた。
「まじかよ!お前凄いな!!」
「...うん。のびの○たに負けない腕はしてるわ。」
「うん、やめよう。映画だとかっこよくみえる冴えない男の名前を出すのは。」
店主は悔し半ばの笑顔で倒れた景品をカンナに渡した。
「お嬢ちゃんおめでとう。」
☆
1月1日2:20
沢山の荷物を持って無事家に着いた。
ゆっくり玄関を開け中に入った。
もちろんどこも灯りはついていなかった。
「カンナ静かにしてろよ。」
「...ゆめとに言われたくない。」
「なに〜?」
小声で会話をしながら自分達の荷物の中に景品を詰めて、各自自分の部屋に戻り布団の中へ入った。
☆
5:10
「おいゆめ!起きろ!」
布団を剥ぎ取られ寒さと一緒に目が覚めた。
「寒っ!!」
「ん〜なんだよおじいちゃん。」
(まだこんなに暗いじゃん....)
やはり昨晩の疲れでまだ眠たい。
「ほら、さっさと着替えろ。」
「え?何で?」
「出かけるんだよ。」
「どこに?」
「ほら、初日の出だよ。」
「.....え?」
電気の着いた居間に行ったらみんな起きて出かける準備をしてたが、カンナは眠たそうにしていた。
もちろんカンナは車の中で寝ていた。
(お前は電車の中で寝過ぎて眠れないんじゃ無かったのかよ!)
☆
5:57
車で10分。
初詣に行った神社のある丘の裏山に登った。
頂には自分達と同じ目的できた人たちが数人いて、そのほとんどが年寄だった。
頂から東を向いているベンチに座り待機していた。
赤い光りが現れたと同時に回りから
「おお。」
という感動の声が聞こえた。
こんな感動の瞬間でも隣に座っているカンナは寝ていた。
(年をまたいでまでいろんな事があったが、無事に年が明けたんだな〜)
1週間のカンナとの出会いからを振り返っていた。
(といっても半分近くは塾だがな....)
辺りをみたら見にきた何人かの年寄たちが手を合わせ目をつぶって呟いていた。
自分のおじいちゃん、おばあちゃんも仲良く手を繋いで日の出を眺めていた。
(そう言えば初詣の時に願うの忘れてたな....)
ロマンチックな雰囲気を壊してしまうようだが、一応願わせてもらおう。
「受験に受かりますように。」
雰囲気を台無しにするようなことを呟いたあと寝ているカンナの口から寝言が聞こえた。
「....側にいられますように....」
また聞き取ることが出来なかった。。。
そして十分程して山を降りることにした。
「園花ちゃんは?」
おばあちゃんが尋ねてきた。
(そう言えばいなかったな。)
姉の携帯に連絡してみた。
裏の林の中から着信音と同時に姉の姿が出てきた。
「何してたの?」
「え?探してたの」
「何か落としたの?」
「いや、えーっとね.....
あ、そうだ!
ツチノコ探してたの!」
(ん?なんだ?さっきの間は...)
「園花ちゃん面白いわね〜。
ツチノコなんて存在するか分からないわよ。」
「だから探してたの!!」
(まぁ、姉ならあり得るけど....やっぱ引っかかる....)
しかしそこでおじいちゃんが会話を遮るかのように言った。
「なぁ、もういこうや。
これから初詣に行くんだろ?」
「え?」
つい驚いてしまった。
「どうした、そんな驚いて。」
「あ、いや。」
(深夜にカンナと家を抜け出して行ったなんて言えないしな。)
「疲れちゃったからさ。」
「こんなんでバテちゃうようじゃ子供なんて作れねえぞ!」
「生活でってこと!?それとも夜の営みでってこと!?」
「夜の...イテッ!」
「私は貴方のそんなところが嫌いよ。」
おばあちゃんがあぶない言動を止めてくれた。
「ああ、悪かった!!悪かったってば妙さん〜」
そしてほぼ寝ているカンナをつれて初でない初詣に再び長い石段を上ることとなった。
☆
1月1日
9:20
「短い間でしたがお世話になりました。」
「お邪魔しました。」
「...お邪魔しました。」
「じゃあゆめ。受験頑張れよ!」
ガッツポーズでこっちに向けてきたおじいちゃんガッツポーズで返した。
「おう!!」
「女の尻を追いかけていたいなら高校に受からなくちゃならねえぞ!」
「夢渡くん頑張ってね。」
そう言っておばあちゃんは自分に小さい封筒を渡してきた。
「これって...?」
「お年玉よ。」
こころのなかでガッツポーズをした。
「そしてはい。園花ちゃん。
今は両親がいなくて、大学やらと忙しいけど頑張ってちょうだい。」
「ありがとうございます。」
姉の元気が無いように見えた。
「最後はカンナちゃん。」
(カンナの分まで準備していたのか。)
「夢渡くんのことを宜しくね。」
「....はい。」
「じゃあまたいつでもいらっしゃい。」
「今度は孫を連れてきてくれよ!!
って、ああ!」
「え、え?どうしたの?」
様子からしてふざけたことを言っておばあちゃんにやられたわわけではないようだ。
「あ、うちの畑がまた荒らされてる....」
隣にあるまぁまぁ広い畑を向いた。
植物たちの茎が折れていたりと凄い荒らされようだった。
「だ、大丈夫?」
「あ、ああ。大丈夫だ。お前らはもう帰ちゃっていいぞ」
「う、うん。頑張って。」
枝野と書かれた札がかかった門を出る辺りで振り返った。
おじいちゃんがしゃがんでいた回りの荒らされていた植物がみるみる内に回復して元通りになった。
そして、おじいちゃんは立ち上がって畑から出ると、おばあちゃんが空に手を当て、そこから小さい黒い雲が出てきて畑全体に雨が降った。
「.....」
「...行こうゆめと。」
「ああ。」
☆
11:05
再び新幹線に乗った。
カンナは相変わらず寝ていたが姉はずっと外を眺めていた。
(昨日から元気がないな。)
そのときは、これから自分も元気を無くしてしまうとは思いもしなかった。
☆
16:15
姉とカンナとは駅でわかれ、自分はあるところに向かった。
射的の景品を昇に渡すためだった。
(この前のビデオのお詫びをしないといけないしな。)
そのために射的であの18禁と書かれた物を手に入れたのだ。
駅から15分くらい歩いて昇の家の前まで来た。
昇がどんな顔をするか想像しながらワクワクしていた。
インターホンを押した。
反応が無かったのでもう一度押した。
(何か様子がおかしい...)
「...あ。」
インターホンの隣にかかっているはずの上ヶ赤とかかれている名札が無かった。
それから卒業まであいつと会うことはなかった。
中学編...序章?に近いものがほぼ終わり!!




