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猫と能力と夢映し  作者: れぇいぐ
#2 夢渡とカンナと香月
22/75

#5 もう一人の

「その名前で呼ぶな。」

(お、やった反応してくれたぞ。)


「まぁいい、てめえに仲間がいたところでもう遅いんだよ」

「おいミヤビさっさと出てこい。」

「な、ずっと近くにいたのか!?」


.....


岡の上から音が小さくなった除夜の鐘しか聞こえなかった。

さっきみたいに木の上から降ってくるわけでもなく、茂みからも出てくる様子はなかった。


「は、はは。驚かせやがって…」

「あいつまた遊んでるな....」

SSTの男は少しキレ気味で呟いた。

(遊んでるのかよ!!)

「よし....じゃ、じゃあ。お前を殺してやる...」

声が少し震えていた。

きっと殺すのに恐怖感が襲ってくるのだろう。

この不良はまだ善、いや人間としての道徳は捨ててないようだ。

しかしあいつを殺すことによるグループで高い地位に立てるという欲求もとても強いようだ。

(人を殺すことにまだ迷いを持てるやつをそのまま殺人者にさせるわけにいかない...)


しかし先に声を出したのは不良のもう一人の男の方だった。

「なぁ。も、もういいだろ....

俺は知ってるぞ、お前がこんな道を選んだ理由を。」

「う、うるせえ。」

「お前は別に悪くねえ。班のメンバーがたまたまダメな奴だっただけだ。

だからお前が悪いって訳じゃねえよ。」

「嘘だ。小さい頃から班長や委員長になったりしたけどメンバーは全くまとまんねえだろ?」

(それって自分が悪いんじゃね?)

「お前だって知ってるだろ?

半年前の遠足で班員が事故を起こしたのは俺が悪いって。

せんこうからは俺を責めるし、クラスの奴だって俺が悪いみたいに思って俺を冷たい目でみてくる。

もういやなんだよ!

俺には権力なしでリーダーになる資格がねえんだよ。

だからこいつを殺して大きな権力を得て、その権力でこのグループのリーダーになって誰も逆らえないようにする!」


(内容事態呆れてしまうものだけど.....

そんなのおかしくないか?権力で人の上に立って逆らわなくさせる。

それって昔の貴族とかと変わらねえじゃん.....)

とうとう我満出来ずに口にだしてしまった。

「いいや、それは間違ってる!!

権力で上に立って誰も逆らわせないようにする。その時点でお前は人の上に立つ資格なんてねえよ!!」

「黙れクソガキが!!!」

(あれ、俺の立場ひどくない?一応主人公な訳だから説教タイムはくれないわけ!?)


もう一回説得を試みた。


「いや、だからさお前の能力って...」

「邪魔するんじゃねえ!」

男は手に持っていたナイフをこっちに投げつけた。

ナイフは回転せず綺麗に真っ直ぐ顔の正面に飛んできた。


「ッ!?」

自分も驚いたが、投げた当の本人も投げるつもりは無かったようで驚いていた。


人間は顔の真っ正面に真っ直ぐ飛んでくるものに反応して避けることがなかなか出来ないものだ。

だから遂に目を瞑ってしまう。

けど目を瞑ったところでほとんど何も回避することは出来ない。


(やばい.....死ぬ.....)


このままではそのナイフは自分の額にグサッと刺さって致命傷だ。


しかし、再びあの甲高い音が響いて何かに当たってパキッという音がした。


「....な!どう言うことだ!?こいつの能力は使えないはずだろ!?」


そんな声が聞こえた後、さらに音が連続して出てきた


ピキッ


ピキッ


ピキッ


(この音は英くんの能力...けどあいつは暗示構成で封印されてるはずじゃ....?)

自分は何が起きたかよくわからないままそーっと目を開けた。自分の足元には投げつけれたナイフが地面に刺さっていた。

そして不良能力者のいる方に目を向けた。


ちょうど3本の細い光の針は不良能力者の右手首、左右の足首をかすめて消えていった。


「う!うあああああ!!」

不良能力者は驚きと痛みで叫んでいた。

英くんって奴も目を見開いて驚いていた。

「...な、なにがあったんだ....」


頭の中がぼーっとして何が起きたかわからない。

(そう言えば前にもこんなことあったっけ.....確か岡類斗大の時だっけ....

どんな感じだっけ...?)

薄まる意識のなか頑張って思いだそうとしたが、結局何も考えることができず倒れた。



?:??


「うう。」

身震いと同時に目を覚ました。

「....おはよう。」

目を開いた先に見えたのはカンナが覗き込む顔と真っ暗な空だった。

「カンナ...?」

「...なに?」

(地面に寝転がってるのに妙に頭の辺りが高いし....柔らかい....

!?)

「....」

(まさか膝枕されてるとは....)

カンナの膝の柔らかさと温もりは気持ちよかった。

「もうちょっと....このままでいいか?」

(うわ、何言っちゃってるんだ俺!!

気持ち良かったからつい言ってしまった....)

「....いいわよ。」

「....」

この気持ちよさをもっと感じるためこれ以上口を開くのを止めた。


1月1日。元旦

1:20


「ありがとうカンナ。」

目を覚ましたままこの状態でいたのは 十数分くらいだ。

気持ちよかったが体は地面に横たわっていたため体が痛い....

「....」

自分は起き上がって体を伸ばし、カンナに訪ねた。

「何が起きたかわかる?」

「...知らない。」

「分かった。じゃあ誰かいなかった?」

「...ミヤビと男の人がいた。」

(やっぱりミヤビと知り合ってたか。)

「それで、ミヤビと仲良くしていた男は何か言ってなかったか?」

「....ご苦労って言ってた。」

「それだけ?」

「....それだけよ。」

「それでその青いリボンは?」

猫耳が生えていない頭に一つの青いリボンが飾ってあった。

「....ミヤビから貰った。」

(これを渡そうとしてたのか)

.....

「帰るか....」

(二回もこんなことがあるとあまり動じなくなってしまった。

それに寒い。)

「....うん」


林から階段に戻り上へ上った。

(せっかくきたのにちゃんと参拝しとかないとな....)

2、30段くらいの階段を上ります終え、本堂の前で何人か並んでる後ろに並んだ。


「そうだ...お金お金...」

ジャンパーのポケットに両手を突っ込み財布を探った。

右手のに財布の感触があった。

そして、財布が入ってない方のポケットには何も入っていないはずが、一枚の紙切れが入っていた。


「ん?」

自分は並んでいる間その紙をを読んだ。


[今回はご苦労だった。

君のお陰で色々な手間が省けたよ。

まずマッドグループのメンバーを捕まえられた。

後は猫娘に能力を抑制する物を渡せた。

そして、五大能力者(ソース)の最後の一人を見つける事が出来た。]


(ソース?あの不良が五大能力者(ソース)だったのか?

初めて見た。)


[君は他の奴らと同様その能力については知らないみたいだから猫娘にでも聞いとけ。]


「.....」


ぐしゃ。


投げやりな文にイラついてその紙をグシャグシャに丸めた。


(ソースに俺は別に関係無いんじゃないのか...?)

「なあカンナ。五大能力者(ソース)って知ってるか?」

じーっと立っていたカンナが振り向いた。

突然カンナの雰囲気が変わり頭にはリボンの上から猫耳が生えて....

「っておい!帽子帽子!!」

持っていた帽子を無理やり被せた。


五大能力者(ソース)(スキル)力を司る能力者の持ち主。

能力(スキル)をも作り出すことのできる能力(スキル)

能力(スキル)を上昇することのできる能力(スキル)

能力(スキル)を低下することのできる能力(スキル)

能力(スキル)をも入れ替えることのできる能力(スキル)

能力(スキル)をコピーすることのできる能力(スキル)

この五つの能力をそれぞれ」

「ちょっと待った。能力(スキル)ばっかで全く頭に入んない!」

「やり直す?」

「いや、いい。

お前いつものカンナじゃないよな?」

「私はカンナよ。」

「いや、そう言うことじゃなくて、雰囲気が。」


良くみたらいつもの灰色にで透き通った瞳が茶色に変わったような気がする。


「いつものカンナだニャ♪」

「....嘘だ!!カンナは語尾に[ニャ]なんてつけない!!

つけるのは俺を迫るときだけだ!!」


カンナ?は近寄って自分の胸に寄り添い、上目遣いしながら言った。

「今日はずっと一緒にいたいニャ。」

前で並んでいた数人の人がこっちを睨んでいた。

「わ、あ!?わ悪い、嘘だ嘘だから。」

「知ってるわよ。

ゆめとって本当に面白いねぇ。」

「....お、お前....」

「さて、私が誰かって?」

「どこぞの目録の図書館的な...?」

「何を言ってるの?」

「いや、何でもありません!!」

「私はカンナよ。」

「それはそうだけど違う人格とかそんな感じなのかってことだよ。」

「他の人格ねえ。確かにそんな感じよ。

この私は能力事典(スキルブック)を使える私であって、ゆめとの知ってるカンナではないね。」

能力事典(スキルブック)を使うときにはこの人格になる必要があると?」

「ん〜、なんか違うけどそうなるわね。」

「ってことは戻ることも出来るってことだな。」

「そうよ...」

「そうか...」


心の中で安堵した。


「そんなにあっちのカンナが好きなのね。」

「す、好きって訳じゃない。

慣れてるからだよ。」

「ふ〜ん。」


(疑われてるな。)


「...本物が私なんだけど....

まぁいいわ。今はこのリボンのお陰で能力が抑制されて上手く出てくることができるってわけね。

これで擬獣法(アニマニフィー)も制御できるわ。」

「うー...ん」

「で、五大能力者(ソース)について知りたいんでしょ。」

「一応知っておきたい。」

「分かったわ。えーっと...まずあなたは最後の能力を持ってるってことは分かる?」

「俺がとかじゃなくて....ってどゆこと!?」

「何よ。まだ気付いて無かったの?」

(....そうだな....)

「何かしら能力を持ってるってことは薄々気付いてはいたけどね....五大能力者(ソース)とは思わんよ!!

あ、けどそう言えば岡類斗大の教授が何でその事を俺に言ったのが分かった!!」

「ん?お父さんのこと?」

「へ?」

(何だ?いろんな事が発覚してるぞ!!)

「え、今お父さんって...?」

「も〜、今はあんまり時間ないからその事はまた後で!!」

「....分かりました。」

(ミヤビッチよりはまだおとなしいけど、調子狂うな....)

「で、五大能力者(ソース)についてでいいの?」

「あ、うん。」


そしてさっき聞き取ることの出来なかった内容をゆっくり話してもらった。


「それで、ゆめとの場合最後の一人能力をコピーできる」

「いや、ちょっと待って。それは本当?」

「本当よ。」


まさか自分が能力を持ってることに驚いた、それに五大能力者(ソース)と言われるものだとは思わなかった。


「いままで気づかなかった何て鈍感すぎるわ。」

「ほっとけ!」

「三回も同じような事があったのに気づかなかったの?」

「わかんねえよ!毎回気絶しちゃうんだもん....って、3回?」

(あれ、岡類斗大とさっきだろ....二回じゃん?)

「ほら、一番最初会った時ゆめとは記憶昇華(メモリーアップ)を持ってた」

「それって?」

「記憶がよくなるってだけよ。」

「そう言えばその日塾で単語テスト満点取ったな....

それに頭痛がひどかった。」

「頭痛は副作用ね。まだ未熟だから副作用が生じちゃうようね。」

「なるほど...じゃあさっき気絶しちゃったのも...」

「そうね。」

「ふむ....ん?そもそもいつ記憶昇華(メモリーアップ)何て言う能力を?」

「園花の能力(スキル)だからじゃない?」

「姉ちゃんも能力者なのか。。」


さすが驚き疲れてしまった。


「話変えちゃうけどさ、君は別の人格みたいだけどいつものカンナの時の記憶があるってこと?」

「そうよ。」

「...」


「けど、私が出ている間、要は能力事典(スキルブック)を使っている時のあっちのカンナは記憶出来ていないと思う。」

「...カンナがよくボソッて能力(スキル)のことを話した後にに訪ねたら「知らない」って言ってたことは本当だったってことか....」


ちょっと悪いなって思いつつ呟いた。


気分を入れ換えてもう一度訪ねた。

「じゃあ、その最後の能力について何かない?」

「これ以上五大能力者(ソース)に該当する情報がないわ。」

「何だよ....じゃあその能力名とかも?」

「知らないわ。」

「...自分で考えるしかないか...」

「イマジn」

「いや、それはアウトになる。」

「まぁいいわ。」


「それじゃあ、そろそろカンナちゃんの精神力が持たないみたいだから...」

「あ、ちょっと待って。

最後に一つだけ。」

(そう。一番気になっていたことだ。

この子が普通のカンナの時の記憶を持つなら分かるはず...)

「あ、あの。さっきのあれって....」

「あれって?」

「普通の時のカンナがさ、俺を茂みに連れ込んで....」

「....教えな〜い、、、」

「え、おい!」


カンナは目を閉じて開いた瞳の色はいつもの灰色に戻っていた。


「....じろじろこっち見て何よ?」

「え、あ。いや。何でもない」

(本当に記憶がないのか....

教えないでおいた方がいいのか?)


「....」

「あ、そうだ。そのリボンずっとつけてろよ」

「....どうして?」

(能力が抑制されてないと困るから....)

「こっちのほうが似合ってから...さ...」

けど、思った通りに言えなかった。

なぜだろう...自分でも良くわからなかった。

しかも普段じゃ言わないようなことを言ったせいか、恥ずかしい。

「.....」

(うわ、引かれたか?)

「...分かったわ。」

(ふう。)


突然覚醒しましたw

今回はフラグ回収が多いです。

では次回は9日にインターハイがあるのでちょっと遅くなります

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