#4 〈暗示構成〉
ピキッ
そんなカン高い音と同時に細い針のようなものが、カンナに触れようとした男の手の甲をかすめた。
その針のようなものはそのままカンナには刺さることなく、空気になったかのように消えた。
かすめた手の甲からは以外と多くの血が垂れ落ちてた。
血管を切ったようだ。
男は自分の手の甲から血が出てるのを見て叫んだ。
「いってえええ!!」
男はもう片方の手で血を止めようと、包んだ。
次に叫んだのは能力者の方だった。
「ど、どうした!?」
ピキッ
再び同じ音が響いた。
音がした方から発射されたのは不良能力者の方でなければ、一度やられた男でもなかった。
自分の右手の横をかすめた。
さっきの男と違って浅い切り傷だったので叫ぶ程の痛さではなかった。
(イテッ。)
痛むので無意識にもう片方の手で押さえた。
(....ッ..何で俺なんだ?
味方でもなければ敵か?)
「....って、体が動かせる!?」
何かの催眠術から目覚めたようなスッキリさがした。
「ッチ!」
不良能力者から憎しみのこもった舌打ちがはっきり聞こえた。
次に違う男の声が聞こえた。
「レベルが低ければこんなもんか....」
不良能力者の後ろの木陰から髪をを後ろに下げたスーツを着た男が出てきた。
不良能力者は後ろを向いて、その男を確認しては叫んだ。
「な、なんだと!?俺の<不可動作>にケチつけてんじゃねえ!」
「俺は君の能力にケチをつけてる訳じゃくて、能力のレベルを低くしてる君の低い精神力、知力、体力、社会的地位、人間関係、その他もろもろのことを言ってるんだよ。」
(うわ。ボロクソ言ってるな。)
「て、てめえ!!」
不良能力者はこめかみを浮かべその男を睨んだ。
(またあの能力だ)
近づいて来ていたスーツの男の動きがピタリと止まった。
「自分自身の能力に気づいてるんだろ?」
「は?」
(は?)
訳が分からなかったので自分も心のなかでハモらせてしまった。
「君は別に動きを止めるだけの能力じゃない。」
「....」
「能力の対象に暗示をかけてその通りにさせる能力。敵を操れる一種の能力、<暗示構成>。」
「....」
不良能力者は男の話を止めるようなこともせず、ただたんに黙りこんで話を聞いている。
「けれど相手の動きをを止めることしかし無い。
それは何か制限がある。
さしずめ軽い衝撃で暗示が解ける。
歩かせたときの足にくる衝撃で解けるとかだろう。」
「じゃあ、わざわざ俺にお前の能力を使わなくてもいいじゃねえかよ!!」
「そして騒がしいあいつにすぐ能力を使わないことから、同じ対象に再び使うには時間がかかるか、二人同時に能力を使うことが出来ないから。」
(こいつ、スルースキルまで持ってるのか....)
「....当たりだ。
てめえは誰だよ..?」
「俺はSSTの開発兼調査兼取締り課の課長だ。」
(課長とかすげえな。ってどんだけ兼任してるんだよ。)
はかなく心のなかでつっこみを入れてるうちに不良能力者が何かに気づいたかのように話した。
「SSTって最近俺らの仲間を捕まえてるってやつらか!」
(え、そんな組織でもあったの?)
「お前らはマッドグループのやつらか。」
不良能力者は逃げるようとはせず笑みを浮かべた。
「「ちょうどいい」」
二人の口が同時に開いた。
不良能力者の方は呑気にスーツを着た男に近寄った。
「この課長とやらを殺せば俺はグループのトップに立てるってわけか。」
それに対しスーツを着た男はこう答えた
「私的な事情も達成でき、さらに獲物まで捕まえられるとは運がいいな。」
余裕の笑みを浮かべていた。
「動くこともできず能力も使えないてめえにはただのしゃべる屍だ。」
不良能力者のポケットから折り畳み式のナイフを出してきた。
しかし持ってる手は少し震えているように見える。
「俺以外に動ける奴は他にいるからな。」
「後ろのガキのことをいってるのか?
あんな無能力なガキに何ができるって言うんだ。」
(....さすがに今のはイラッてきた。
さっきからずっとだけど)
「あんなやつじゃない。俺の組織の奴だ。」
「おい、あんなやつってどういうことだよ!!」
遂に声に出してしまった。
「他の組織の奴って.....」
(そういえば逃げやがったミヤビッチもSSTだな。)
イライラのせいか勝手にあだ名をつけてしまった。
ちなみに「ミヤビ」と「ビッチ」をかけたつもりだ。
ビッチというよりヤンデレだが取り合えず嫌がりそうなのを選んだ。
「英くんってお前か!!」
いままでかきためていたものを間違えて全件削除してしまい絶望的な状態から、2日間でこれを書きました。
勿論短くなってしまいました
これからテスト期間なのでのんびりと
次回は25日前後で。




