#3 〈能力事典〉
「お、おい。なんのつもりだ?」
「.....静かにして。」
「...」
突然の出来事に驚いてしまった。
(それにしても本当にこいつの体暖かいな.....
ん?っていうかちょっと熱い気が....)
自分の背中に回してたカンナの手が緩んだ。
ドン。
「うおお。」
今度は突き放すように胸を押され、
自分はバランスを崩しうしろに倒れた。
「...うう。どうしたんだよカン....ナ?」
目を開いたらカンナの顔が目の前にあった。
緊張して自分の鼓動が早くなる。
(まるであのときみたい....だな。)
再び6日前のカンナを拾った夜のことを思い出した。
家に連れ帰ったあと、二階の階段から降りるときカンナが足を滑らせ、階段から転げ落ちた時のようだ。
「.....静かにして。」
二度目の忠告だった。
自分の目の前にあるカンナの顔は熱でもあるかのように赤く、少し荒れた呼吸が自分に当たり、少しくすぐったい。
「カンナ....お前本当に熱でもあるんじゃないのか?」
「....確認してみる?」
カンナは地面から手を放し、体重を一度後ろに下げたあと右手で自分の前髪を上げ、左手で自分の前髪を上げた。
「!?」
カンナはそのまま顔を近づけ自分の額とカンナの額を合わせた。
カンナの顔との距離がさらに近い....
合わせた額から熱が伝わってきた。
「おまえ、熱あるじゃねえ...ッ!?」
最後まで言えなかった。
カンナの唇が自分の唇に触れ、塞がれた。
要はキスをされた。
「ん!?」
(ちょ.....)
自分とカンナの速まった鼓動が聞こえる。。
10秒ぐらいたって口から呼吸ができるようになった。
「ぷはぁ....
お、おまえ!!」
「......私のファーストキスよ....」
「俺もだよ!
じゃなくて!」
「....黙って....」
「ッウ....」
何かしらの威圧感に負けてしまった。。
「.....ゆめとに会えて本当に良かった...」
「....」
「....私を助けてくれて...心配してくれた....」
「....」
「...そんなゆめとのこと[ゴォーン]!!」
「....え?」
鈍い鐘の音で続きが聞き取れなかった。
「...本当に有り難う....」
「.....」
カンナは気にせず会話を続けた。
「....これからもよろし.....」
「カンナ....?
おい!?.....」
何も反応がない....
「無茶しやがって....連れて帰るの大変じゃねえかよ。」
(しかも耳と尻尾がばれないようにするのとか、ハード高いし....)
「可愛い女子が目の前で抱きついてきてるのに、正気でいられるなんてすごいね~!」
「いや、もう正気でいるのは精一杯だよ。そろそろ一線越えちゃうところだったよ」
(本当はそんな勇気がないだけなんだけどね。)
「.....ってだれだよ!?」
「あれー?もう忘れちゃったのー?」
「え?」
白いワンピースの女の子が空から、いや木の上から飛び降りてきた。
そう、さっき屋台の中ですれ違ったのは能力発生事件の晩に会った女の子で。
ワンピのスカートの部分が空気で浮いて見えることのできる下着を視界から逃さなかった。
「ほー、意外な黒か....」
「こらあ! 変なもん見るな!!見るな!!」
「大胆だね~。白いワンピに黒は目立つんじゃない?」
「英くんはこっちだと喜ぶんだもん!」
(英くんってやつは彼氏か....危ないな、いろんな意味で。)
カンナを側の木の幹に座らせ、彼女の正面に胡座をかいた。
「で、いつから見てた?」
「最初から。」
「あ゛ー!!」
(これはマジで恥ずかしいって!!)
「僕もドキドキしちゃったよ~」
「いや、忘れてくれ!せめて見なかったことでいうから!」
「やッだね~。これをお手本にして英くんにも...いやこれじゃあアプローチが足りないね....後ろに回って手足の自由を奪ってから......うん、これだ。
これでいこうかな!」
(英くんとやら、早くにげろ!!)
「冗談はさておき。」
彼女の顔が真面目になった。
「僕のことは覚えているね?」
「あ、うん。24日に俺が電柱にぶつかったときだろ?」
「お~。よく覚えてるね!」
「バカにされてる?」
「いやいや、そんなつもりで言ったんじゃないよ。
正直僕は君が誰だか覚えてなかったけどね」
「お前が覚えてなかったのかよ!!」
(いきなり真面目な顔になったから構えちゃったじゃん!)
「いやーまさかあの時に会った子がカンナちゃんの恋人だったとはねー」
「いや恋人じゃないし、いろいろ会って居候的なかんじだから。
ってかなんでカンナのこと知ってるんだよ!!」
「この前友達になったんだ~。」
「カンナの言ってた耳と尻尾を隠す方法を教えたのって...」
「そう、僕だよ。
まぁ、自己紹介しよう。」
「いや、今はこいつを連れて帰らなきゃならないから。」
「いや、連れて帰ってゆっくり寝かせても治らないよ?」
「どういうことだよ。」
「これがただの熱だと思う?」
「ああ、そうじゃなきゃ猫の発情期とかか?」
「ある意味近いね。」
「マジかよ!?」
「取り合えずカンナちゃんのことは大丈夫だから。」
「いや、せめて暖かい場所くらいには....」
「カンナちゃんや僕らは外の気温なんか関係ないから。」
「ん?」
(こんな寒い中でも薄着でいられるのはそういうことか。)
「って、「僕ら」?」
「あー、もう話が反れてく!!
取り合えず僕の話を聞いて!!」
「...分かりました」
「僕の名前はミヤビ。」
(雅の精神なんて無さそうだけどな)
「で、君が夢渡くんでいいんだね?」
「ああ。」
(カンナが言ったのか....)
「で、まずは何を聞きたい?」
「君たちの事。」
「スリーサイズは上k」
「いやいや、そういうのじゃなくて。」
「え、この前会った子だったら聞いてくるよ?」
「そんな腐った変態と一緒にしないでくれるかい?」
「スカートの中覗いたくせに。」
「それは不可抗力だ。」
「まぁいいや。
僕らはSSTって言う団体の一員なの。」
「エスエスティー?」
「スキル・サーチ・チーム。
能力について関与する団体。
能力を調査したり開発したり。」
「能力について....?」
(萩原にも関係あるのかな....)
「うん。それでね、僕やカンナちゃんはちょっと特殊なの。」
「どゆこと?」
「カンナちゃんは猫になれるじゃん?」
「そうだね。けどそんなに珍しいのか?」
「う~ん、猫になれるのはただのおまけみたいな.....能力ではあるんだけどね....」
「おまけ?」
「擬獣化はおまけ、本職は能力事典。」
「?」
「カンナちゃんって妙に能力について詳しくない?」
(そういえば、知らないはずの能力について喋ることがあるな...)
「....」
「それもね彼女の能力、能力事典。きっとこの能力は先天的なものだから、親のかわりになってた岡類斗大の教授も詳しくなったんだと思う。」
「ん?岡類斗大って.....萩原のことか?」
「確かそんな感じ。」
「親のかわりって....カンナのことを利用していたんだろ?」
「んー、多分違うと思うよ。まぁ詳しいことは知らないから自分で聞きに行けばいいんじゃなーい?」
(うわ、なげやりになった!)
「で、カンナちゃんの能力で何か気づかない?」
「え、いや。わからん。」
「うーん。前に会った変態くんの方が頭の回転が早かったか~」
「おい、その変態より俺の方がバカってことなのk」
「うん。」
(即答か!!)
「気づくのを待つとなると一千年か二千年ぐらいはかかりそう。」
「かからねえよ!!」
「月に代わって教えるよ?」
「いきなりパロを連用するな!」
「でさ。ほら、いまのところ能力って1人一つじゃん。」
「....なるほど。二つ能力を持ってるカンナはおかしいってことか?
けどさ、別におかしくないんじゃない?1人や2人そういう人がいてもおかしくないんじゃ....」
「それがダメなんだよな~。普通ならつ二つの能力を使えても体がもたないんだよ。
それにカンナちゃんの能力、擬獣化はともかく能力事典.....生まれた時からその能力を持っていて、それに能力発生事件より前から能力について詳しいのはおかしくない?」
「確かに...
けどカンナはその事を自覚出来ていない?」
「そう。私が推測するに、カンナちゃんの記憶喪失や、能力をうまく扱えていないのは能力発生事件が原因だと思うんだ~。」
「なるほど...」
(カンナにあったのは発生事件の後だからその可能性は高いな。。。)
「うん。じゃあ分かってもらった訳だし帰るね~」
「おう。」
「ってちっがーう!!」
(1人コントしてるやつ初めて見た…)
「カンナちゃんは能力に関してとっても詳しい能力を持っている貴重な存在ってことは分かった?」
「あ、ああ。」
能力事典が貴重な存在ってのは初めて聞くが分かったことにした。
「であるからしてカンナちゃんは今暴走しちゃってるわけ。」
「いや、接続詞が適切でないうえ説明不足で理解できないんですけど!!」
「なんで理解してくれないのかな~?
変態くんや変態狼、ショタコン娘理解してくれるのにな~!!
君って変態に負けるほどバカなの!?」
「ック!」
(俺より変態で頭の良いやつが友達にいるから言い返せねえ....)
「というか何で変な人が五大能力者だったり、僕やカンナちゃんみたいな存在だったりするわけ~?」
「いきなり愚痴るなよ。。。」
「あ、けど英くんは別だよ~。五大能力者の英くんは変な子じゃないよ~。
僕は英くん一筋だよー」
「いや、お前も十分変人だ....
てか分かった。分かったから。頑張って理解するから!」
「あ~。本当なら今頃英くんと楽しく過ごしていたのにな~。
けど大事な友達のためだ。
カンナちゃんは能力発生事件によっておかしくなった。」
「うむ。」
「で、その事件から1週間がたってその環境に慣れたんだけどね、ほら。
あの光の粒が止んじゃったじゃん。」
「あ....」
(そういえば徐徐に降る量が減ってたな。)
「また環境が変化したおかげでまたおかしくなっちゃったてこと~」
「なるほど。で、環境に慣れるまで待てばいいってこと?」
「そんなんだったら僕が来た意味ないじゃん。
ちゃんと...」
ミヤビは白いワンピについてるサイドポケットに手を突っ込んで何かを取り出そうとした。
「....」
突然黙りこみ額から汗を流していた。
「....まさか無くしたとか....」
「い、いや。僕がそんなことするわけないだろ!!屋台に夢中になって走り回ってる内に落としたりなんて.....
あ。」
「バカだな。」
「君に言われたくないな!!」
「お、可愛い子見っけ~。」
突然別の声が割り込んできた。
声の聞こえた方を向いたらいかにも不良っぽい男二人組がいた。
「俺たち新年早々ラッキーじゃね?しかも1人は寝ていてやり易いじゃん。」
「ねーね。そこのお嬢ちゃん。」
1人の男がこっちに声をかけてきた。
「そんなガキなんかより俺たちと遊ばない?」
「なんだよてめえら!!」
「ガキに用はねえ!」
「ん?!」
もう1人の男がこっちを睨み付けてきた途端身動きがとれなくなった。
「こいつの能力があれば邪魔できねえぜ??」
ここにきて意外と凄い能力者が出てきたな。。。
「さて、そこの彼女も....って、え?」
ミヤビはいつのまにか消えていた。
「っち、逃げられたか。」
(っく。何が友達のためだよ。逃げてんじゃねえか!!)
「まぁいい、そこの寝ている女の子でも連れて行っちゃおうぜ。」
「そうだな。背は低いけど体は出来てる見てえだしな。」
「や、やめろ!!」
次回はゴールデンウィーク明けかな、、
ゴールデンウィーク中は別の話を投稿します。




